「ThinkStation P330やP920の設計は、すべてにおいて考え抜かれています。それが高い熱効率や耐久性、使い勝手の良さにつながっているのですが、製品からは設計・開発を担当した人たちの想いがひしひしと伝わってきて、感動すら覚えます」
株式会社白組
システム部 部長
鈴木 勝氏
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導入事例
「最先端と伝統技術が混在し、ハンドクラフト精神が生きた本物の映像を追求する」──。
このフレーズを旗印として掲げ、アニメーションや映画、VFX(ヴィジュアルエフェクト)、CGなどの映像を企画・制作しているのが白組です。1973年に設立された同社は、アニメ「うっかりペネロペ-Penelope tete en l’air-」やテレビドラマ「もやしもん」、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」「STAND BY ME ドラえもん」「寄生獣」「シン・ゴジラ」など、数多くの作品を手がけてきました。
そうした白組のスタジオは、本社のある青山と三軒茶屋、調布に分散しています。社員の数は、制作業務に携わるアーティストを中心に210名に上り、ジャンルや業務ごとにさまざまな制作チームが存在します。
言うまでもなく、白組のアーティストには1人1台の割合でワークテーションが貸与されています。それらのワークステーションに求められる要件について、白組のシステム部部長である鈴木 勝氏は、ハイスペックであることに加えて、熱効率の良さを掲げます。
「当社の場合、CPU・GPUのリソースをフルで使い切るようなレンダリングの処理が3~4時間継続してワークステーション上で行われるケースが珍しくありません。
この場合、CPU・GPUはかなりの熱さになるので、排熱効率の悪いワークステーションでは、トラブルを引き起こす恐れがあるのです」(鈴木氏)。
この点に関して、白組のSystem Coordinatorである藤井晴信氏は次のような説明を加えます。
「厳しい環境で利用し続けていると、完成度の高い製品とそうではない製品との差が歴然となります。スペック表には現れないその差をしっかりととらえて、耐久性・信頼性に優れた製品を選ぶことを大切にしています」
従来、白組のワークステーションは、多様なメーカーの製品が入り混じった状態にありました。
「異機種混在の状況が生まれたのは、制作現場のニーズに都度対応してきたことが主な要因ですが、このように機種がバラバラの状態にあると、機器故障時に代替部品を即座に用意できないなど、システム部としてのサポートが難しくなります。また、ソフトウェアの利用環境を共通化するのも難しくなり、結果として、アーティスト間での業務の引継ぎやシェア、切り替え、さらには制作物を通した意思疎通が図りにくくなります。そうした問題を抜本的に解決するためにも、社内のワークステーション全台を単一メーカーの機種に統一したいと以前から考えていました」(鈴木氏)。
このような考えをかたちにすべく、白組では社内のワークステーションの標準化に踏み切りました。その際に、社内標準機として選んだのが、レノボのワークステーション「ThinkStation P330 Tower」と「ThinkStation P920」です。
「レノボ製品の導入を検討し始めたのは2016年ごろに溯(さかのぼ)ります。当時から、ThinkStation Pシリーズの設計のすばらしさに気づいていました。そのころは、スペック面で現場のニーズにフィットしない点があり、一度採用を見送ったのですが、Pシリーズののちの強化でその辺りの問題が解消されたことから、標準機として採用しようと考えたのです」(鈴木氏)。
もっとも、P330 TowerやP920の導入が即座に正式決定されたわけではありません。白組では、ワークステーションなどの重要なIT機器を導入する際には、必ず実機を使って徹底的に他社製品との比較検証を行っています。
それは、P330 Tower、P920についても例外ではなく、導入の正式決定前に独自の耐久テストを実施し、カタログ値だけではわからない他社製品との性能差を確認したといいます。
「この検証で特に入念にチェックしたのは、NVMe接続のM.2 SSDの冷却性能です。具体的には、CPU・GPUを使い切るように負荷をかけた状態で、SSDの温度変化や排熱性能、電源効率、ノイズなどを確認しました」と、藤井氏は説明し、以下のように検証結果について話します。
「他社製品では、CPUの温度が90℃を超えると強制的にシャットダウンが行われ、ファンがフル回転しているにもかかわらず、一向に温度が下がらない現象が多々見受けられました。一方、P330 TowerやP920ではそのような現象は見られず、特にP920では、CPU温度が80℃後半になるとファンの回転とともにすっと温度が下がっていき、SSDの性能が劣化することもありませんでした」
白組では、2018年末からP330 Tower・P920の導入を段階的に進め、2020年2月時点で140台のP330 Towerと3台のP920の配備を完了させました。この配備により、同社におけるワークステーション運用管理や機器メンテナンスがかなりシンプルになったといいます。
また、鈴木氏は、実際の運用後に改めて気づいたP330 Tower・P920の魅力として、「静音性」や「デザイン性」「保守性」「排熱設計の革新性」を挙げます。
「P330 Tower・P920は非常に静かでファンの音が気になるようなことはありません。また、P330 Towerの場合、筐体前面に配置されたUSBポートが一段奥まった位置にあります。
そのため、ペンタブレットを(USB経由で)接続したり、ソフトウェアライセンス用USBドングルを差し込んだりしても接続部分の出っ張りがなく、何かをぶつけて、ポートを破損させてしまうリスクも小さくなります。こうした細かな配慮は、使ってみて初めてその良さに気づくものです」
このほか、運用を通じて気づいたP330 Tower・P920の設計上の革新性には以下のような事柄が含まれているといいます。
M.2 SSDに排熱フィンが備わっている
大型ファンの採用でファンの回転数が低く抑えられている
前面の吸入口がハニカム構造で効率よく空気を取り込んでいる
内蔵ディスクを、工具を使わずに取り付けられる
HDDに防振ゴムが標準でついている
GPUとM.2 SSDのPCIeスロットの位置が排熱効率のよい配置になっている
「P330 Tower・P920はともに運用を第一に考えた創意工夫が随所に見られ、部品の配置も、排熱のためのエアフロー設計もすべてが考え抜かれています。そこからは、設計者・開発者の想いがひしひしと伝わってきます」と、鈴木氏は評価します。
白組では、ThinkStation P330/P920の社内展開をほぼ終えています。
この環境整備をテコにしながら、今後は、システム部が積極的に制作現場のプロジェクトに関与して、受け身ではない「攻めのシステム部」となることを目指しているといいます。
「例えば、どのようなソフトウェアやライブラリが今後主流になるかを現場と一緒に考察し、新しいトレンドに合致したハードウェアやインフラを速やかに提供していきたいと考えています」(鈴木氏)。
また、レノボに対しても、より密接なコミュニケーション&コラボレーションを図っていきたいと鈴木氏は話します。
「お互いにモノづくりをする立場として、ワークステーションを中心に、さまざまな業界の人たちと意見が交換できる場をともに構築していければと考えています。そのための取り組みとして、私たちが検証した結果や評価などの情報を、社外へと積極的に開示していくつもりです」(鈴木氏)。
「ThinkStation P330やP920の設計は、すべてにおいて考え抜かれています。それが高い熱効率や耐久性、使い勝手の良さにつながっているのですが、製品からは設計・開発を担当した人たちの想いがひしひしと伝わってきて、感動すら覚えます」
株式会社白組
システム部 部長
鈴木 勝氏
「レンダリングのように、CPU・GPUの使用率が100%に達するような処理を長時間かけても、効率的な排熱によって安定動作を続けるのが、ThinkStation P330やP920のスゴイところです。スペック上は同じに見えても、完成度の高さの違いで実性能に大きな開きが出ることを改めて感じています」
株式会社白組
System Coordinator
藤井 晴信氏
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