性能、コストパフォーマンス、カスタマイズ、静音性など、DV-7HDにふさわしいハードウェアを総合的な観点から選択しました。
ローランド株式会社
RSG カンパニー ビデオ開発部 プロデューサー
斎藤 康人 氏
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導入事例
HDビデオ・ワークステーションDV-7HDの専用ハードウェアにThinkStationを採用。ローランドのブランドのもとデジタル映像編集の楽しみを世界に広げていきます。
ローランドがThinkStationを選択した決め手は、
映像編集に必須の優れた静音性とものづくりの姿勢でした
性能、コストパフォーマンス、カスタマイズ、静音性など、DV-7HDにふさわしいハードウェアを総合的な観点から選択しました。
ローランド株式会社
RSG カンパニー ビデオ開発部 プロデューサー
斎藤 康人 氏
2013年、アメリカ音楽界最高の栄誉であるグラミー賞の発表で日本にうれしいニュースが届きました。ローランドの創業者、梯郁太郎(かけはしいくたろう)氏が音楽産業の発展に技術面で貢献した個人や企業を表彰する「テクニカル・グラミー・アワード」を受賞。梯氏は、電子楽器の演奏情報をコンピューターや他の楽器にデジタル伝送できる、電子楽器の世界共通規格MIDIの制定と普及に尽力し電子楽器の世界を広げたことが評価されました。
MIDIは、ローランドの企業スローガン「創造の喜びを世界にひろめよう」の具現化であり、そのための挑戦でもありました。
1972年創業以来、同社の歴史は電子楽器発展の歴史そのものです。世界初の技術を搭載した電子楽器を多数発表し、海外にも積極的にビジネスを展開。売上の8 割が海外という名実ともにグローバル企業に成長した現在も、音楽とユーザーを大切にする姿勢は変わることなく、そのことが世界中にローランドファンを広げています。
近年では、電子楽器に加え、映像機器も成長分野と位置づけ力を注いでいます。デジタル化が進む業務用音響・映像機器の分野で音と映像のトータル・ソリューションを提案できるのは同社の強みです。2004年にリリースしたビデオ編集専用機DV-7DLは、ノンストップ編集、操作のしやすさ、コストパフォーマンスの良さなどから7年間にわたってケーブルテレビやブライダル、ハイエンドのホビーユーザーに愛用されました。
「しかし、SD(最大720×480ドット)対応のDV-7DLでは、地上デジタルテレビ放送の開始などにより高まるハイビジョン(最大1,920×1,080ドット)映像編集のニーズに応えることはできません。またOSとして採用していたBeOSの開発が終了しWindowsへの変更も急務でした」とRSGカンパニービデオ開発部プロデューサーの斎藤康人氏は振り返ります。
新製品の開発では、インターネット動画などデジタル映像の活用領域の拡大といった市場の変化への対応や、これまでユーザーと築いてきた使いやすさの継承も重要なポイントとなりました。
DV-7DLの後継機として、2011年、同社はハイビジョンに対応したフォト/ムービー・エディターVideo Canvas DV-7Gをリリース。直感的で使いやすい専用コントローラー、Windows対応編集ソフトウェア、ロイヤリティー・フリー素材をパッケージにした同製品は、DV-7DLで評価の高かった扱いやすいユーザー・インターフェースを継承し既存ユーザーの間でも好評でした。しかしDV-7Gは専用機だったDV-7DLとは異なりWindowsパソコンを別途必要としていました。
「ケーブルテレビではカメラ兼エディターとして撮影から編集まで一人で行っているケースも多く見受けられます。そうした現場でDV-7DLを長くお使いいただいている理由は、取扱説明書を見なくても使うことができるほど、シンプルな操作でクリエイティブな作業に集中できるからです。ケーブルテレビやハイエンドホビーのユーザーは、映像編集には高い関心をもっていますが、ほとんどの方がパソコンに詳しくありません」とRSGカンパニー ビデオ開発部プロデューサーの青木英児氏は話します。
また、マシンスペックはどのくらい必要で、どのグラフィックカードが最適なのか。豊富な選択肢の中から、パソコンやグラフィックカードを選び、なおかつ設定を行っていくのはパソコンに慣れていない人には大変な作業です。
「パソコンの選択や設定といった煩わしさをなくして、既存ユーザーはもとよりデジタル映像を自在に楽しみたいすべての人に対し、使いやすい映像編集環境を実現する。このコンセプトをかたちにしたのがHDビデオ・ワークステーションDV-7HDです」(斎藤氏)
DV-7HDのコンセプトを実現するために、同社が導き出したアプローチがターンキー・モデルでした。編集ソフトウェア、専用コントローラー、ロイヤリティー・フリー素材に加え、ハイビジョン映像編集に最適化したハードウェアをワンパッケージ化し、電子楽器のように、電源を入れるだけですぐに編集を楽しむことができる画期的な製品です。
1台で高品位な映像編集が行えるターンキー・モデル。その実現において大きなポイントとなるのが、専用ハードウェアの最適化です。ハードウェアの選択ではローランドのブランドを冠する製品の一部となるため、性能、機能、デザインはもとより、ものづくりの姿勢も非常に重要視されました。
映像編集ではマシンの静音性は重要なポイントです。ThinkStationは他社機と比べても本当に静かでした。
ローランド株式会社
RSG カンパニー ビデオ開発部 プロデューサー
青木 英児 氏
「映像編集で自身の創造性を発揮したい」というユーザーの思いに応えるために、DV-7HDのハードウェアに求められる条件とはどのようなものでしょうか。
「まず静かさは大きなポイントとなりました。ハイビジョン映像を編集できる基本スペックはもちろん、コストパォーマンス、省スペース、カスタマイズも含めた対応力も重視しました。また堅牢性、信頼性はもとより、筺体の合わせ目がきっちりとしているといったものづくりに対するこだわりもポイントにしました。クリエイターが使うものですから、製品としての完成度は大切です」(斎藤氏)
同社の製品開発に対する厳しい目に適っていたのが、レノボのワークステーションThinkStationでした。
「音と映像を扱う編集作業では静音性は非常に重要です。複数社の製品で比べましたが、ThinkStationは本当に静かでした。緻密に設計されたエアーフローなどの技術には本当に感心しました。また外部マイクも接続できるDV-7HDでは、マシンの発する音がマイク使用時にノイズとなってしまうため、その点でも静音性は重要視しています」(青木氏)
フルHDコンテンツを扱う上で欠かせない高度な処理能力を実現するインテル® Xeon® プロセッサー、メモリの容量など同社の求める必要十分な性能を提供しながら、コストパフォーマンスに優れている点も高い評価を得ました。また、内蔵グラフィックス(インテル® HDグラフィックス)の搭載や適切なスロット数など開発費の抑制につながる設計もポイントとなりました。さらに省スペースを実現するコンパクトな筺体は、他社のワークステーションの筺体サイズが大きいこともありDV-7HDのアドバンテージの1つとなっています。
「筺体の合わせ目などを見ても他社製品と比べて質の高さを感じました。ものづくりへのこだわりは信頼性や品質にもあらわれていると思います。視認性に優れたバックライト付きのフロント面のコネクタアイコンは、暗い部屋での作業もしやすいですね。ユーザー視点を大切にする点は、当社のものづくりに通じるところがあり、高く評価しています」(青木氏)
カスタマイズ性という点では、当初、DV-7HDで採用されたThinkStation E30はブルーレイドライブ構成が存在しませんでしたが、同社のニーズに応えるため柔軟に対応しました。
2012年5月にDV-7HDの販売を開始して以来、ターンキー・モデルの中核として現在もThinkStationはユーザー先で安定稼働し、ユーザーのクリエイティブ作業を支えています。
ThinkStationは、冷却効果に優れた「オウルブレード」を採用した冷却システムにより、優れた静音性を誇ります。可能な限り大きいサイズのファンを搭載し、ファンの回転数を抑えることで、約24dB(待機時)と人のささやきよりも静かな騒音レベルを実現。またこの他にも、ファンの表面に特殊な加工を施したり、金属ネジの代わりに防振ゴムを採用するなど、静音性に配慮した設計をいくつも取り入れています。
ThinkStationは、DV-7HDにおいて映像編集に特化した専用ハードウェアに生まれ変わっています。パワフルな性能はライブ感覚のノンストップ編集の実現に貢献。豊富な入力端子を装備しHD/SDの各種機器に対応しているため、過去の映像資産を活かしたアナログとデジタルの混在編集も思いのままです。またブルーレイやDVD作成はもとよりFirewire接続によりダビング感覚で各社ブルーレイレコーダーやDVDレコーダーにダイレクトに出力できます。
さらに、着脱可能な専用リムーバブルHDDにより素材などの入れ替えも電源ON状態で簡単に行えます。この専用リムーバブルHDDは、同社の映像機器F-1で共有できるため、F-1で収録した映像データをそのままDV-7HDに装着することでデータの入出力もスムーズです。タブレットやスマートフォンの動画の取り込みや編集した映像の出力も可能。ロイヤリティー・フリー素材も1800以上収録し、専用サイトでコンテンツの追加も自在に行えます。
当初、ThinkStationを見たときにハンドルが付いているデザインに違和感があったと斎藤氏は話します。しかし実際に使ってみると、「ハンドルがあることによって持ち運ぶ際も片手でできますし、机の下などの奥に入れるときも便利です。ユーザーのことを考え抜いたものづくりに対し共感を覚えました。最近ではハンドル部分のデザインがとても可愛く見えます」と斎藤氏は笑顔になる。
DV-7HDは、ケーブルテレビやハイエンドホビーはもとよりブライダル、音楽ライブ、バレエの発表会から、映像専門学校、販促用ビデオまで、映像編集のスキルに関わらず、映像を思いのままに編集し活用したいという人のニーズに応えます。
今後の展開について「DV-7HDは現在、国内販売だけですが、海外展開も視野に入れています。今後も過去の資産を継承しつつ、高解像度化への対応などユーザーの声に敏感に応えていきます。よりシンプルに、よりクリエイティブにデジタルコンテンツを活用できる環境づくりに注力していきます」と斎藤氏は話します。
同社の創業者、梯氏のモットー「シンプル&ストレート」は、DV-7HDのコンセプトや開発にも息づいています。レノボはこれからもThinkStationの提供を通じてユーザーとともに歩むDV-7HDの成長を支援していきます。
2013年2月取材