導入事例
株式会社ICOMA
概要
折りたたみ式の電動バイク「タタメルバイク」で知られるICOMA。代表取締役の生駒 崇光氏は、3D CADと生成AIを連携させる新しい設計手法にいち早く挑戦し、汎用的な計算基盤としてThinkStation P5とThinkPad P16v Gen 3を活用しています。AIにCADを直接操作させることで部品設計にかかる時間を劇的に短縮しながら、フィジカルAI開発などの新たな領域にも、その計算リソースを役立てています。
課題
生成AIにCADを直接操作させる新たな設計手法では、大量の処理要求が連続し、既存のゲーミングPCやノートPCでは性能と安定性が不足していた。処理中はリソースが占有され、ほかの業務を並行できないことも課題となっていた。
ソリューション
ThinkStation P5とThinkPad P16v Gen 3を活用。AIによるCAD自動生成やフィジカルAIの学習処理など、負荷の高い作業をバックグラウンドで安定して回せる計算基盤に幅広く適用した。
導入効果
部品のデータシート調査からCADモデリングまでの作業を、これまでの人手ベースの数十分から数分に短縮。高負荷なAI処理を走らせながら他の作業も並行できる余裕が生まれ、フィジカルAIの学習用途にも計算資源を横展開できる汎用性を確認した。

導入
AIがCADを直接操作する時代ノートPCでは限界を痛感
スーツケースほどのコンパクトな“箱”が、簡単な手順で、たちまちのうちに10インチのフロントタイヤ、サスペンションまで完備した小型バイクに“変形”します――これはSFアニメの1シーンでなければ、手品でもありません。「おもちゃのココロでミライをデザインする」というコンセプトを掲げて2021年に設立したスタートアップ企業、ICOMAが開発した折りたたみ式の電動バイク「タタメルバイク」です。
東京・大田区の町工場と提携し、金型を使わない画期的な方式で製品化されたこのタタメルバイクはSNSで話題となり、国内外のメディアにも取り上げられ、ついには世界三大デザイン賞の1つであるドイツの「iF DESIGN AWARD 2026」を受賞するに至りました。
続いてICOMAは、車体のさらなる小型軽量化に挑んだ新モデル「tatamo!」を製品化しました。こちらは小型ディスプレイに表示される表情豊かな「目」と、アイコンタクトをとりながらコミュニケーションできる、遊び心のあふれたパーソナルモビリティです。
開発を主導してきた代表取締役の生駒 崇光氏は、もともと桑沢デザイン研究所でプロダクトデザインを学んだのち、タカラトミーで「トランスフォーマー」の海外事業に携わり、その後もIoT家電やロボット開発の現場でキャリアを積んできた人物です。
そして設立したICOMAにおいて、おもちゃのプロトタイプから発想を広げ、コンセプトづくりから実際の製品化まで、一気通貫で手がける独自の開発スタイルを築いています。
そんな生駒氏が、ハイエンドPCやワークステーションへの投資を強く意識するようになったきっかけは、「3D CADにAIを組み合わせた、新しい開発スタイルやワークフローを実践したい」という思いの高まりです。
以前はゲーミングPCや一般業務用のノートPCでCADを使っていたが、次第に作業上の負担が増していました。

「正直、相次ぐ不具合に悩まされました。製品サイクルが短いため、故障しても十分な修理対応を受けられず、UIの使い勝手にも不満がありました」(生駒氏)こうしたストレスを日常的に抱えていた中、クラウドベースの生成AIサービスとCADソフト「Fusion」がMCP(Model Context Protocol)で連携し、AIがCADを直接操作できるようになるという、ソフトウェアの劇的な革新が起こったのです。
「AIから、人間より速いペースでCADへ次々と指示が送られるため、CADを常時フル稼働させるような状態となります。そうなるとノートPCでは処理が追いつかず、リソースを使い切って、ほかの作業がまったくできなくなりました」(生駒氏)
このままゲーミングPCやノートPCを使い続けていたのでは、もはや時代を先駆けるプロダクトの開発やデザインを追求することはできません。まさにこのタイミングで出会ったのが、レノボのワークステーションです。
生駒氏とレノボの出会いのきっかけとなったのは、東京都が運営するスタートアップ支援拠点「Tokyo Innovation Base(TIB)」でした。TIBとは、アクセラレーターやベンチャーキャピタル(VC)、大学、自治体など国内外の様々なプレイヤーとつながり、挑戦者を後押しするスタートアップ支援拠点です。生駒氏はTIB内の実証フィールド「TiB FAB」にて、テクニカルアドバイザーとしてものづくりやハードウェアスタートアップの技術支援を行っています。随時開催される「TiB FAB Makers Challenge」などの育成プログラムで講師を務めるほか、ものづくりに関するイベントやトークセッションにも多数登壇しています。レノボがこのTiB FABにワークステーションを貸し出していたことがきっかけとなり、生駒氏との出会いが生まれたといいます。
デザイン性と安定性を兼ね備えたThinkStation P5を活用フィジカルAI開発への応用も
まず活用に踏み切ったのは、デスクトップ型ワークステーション「ThinkStation P5」です。同社はすでに3D CADソフトウェア「SolidWorks」を用いてモデリングを担当しているスタッフの固定席用にワークステーションを1台導入しており、その業務を補完する形でThinkStation P5を活用することにしました。

「SHOSA Bonsai Arm(ショーサ ボンサイ アーム)」を操作する生駒氏
生駒氏は、高級スポーツカーメーカーのアストンマーティンと共同設計された、このワークステーションの筐体デザインにも高い評価を寄せています。
「私自身がプロダクトデザイナーなので、ワークステーションやPCの造形にも、結構こだわりを持っています。スクエアソリッドなシルエットを活かした美しいデザインのマシンを求めていたところ、ThinkStation P5は見事にハマりました」(生駒氏)
もちろん、性能面も申し分ありません。最大48コアの「インテルXeon 600シリーズプロセッサー」を搭載。グラフィックスにも最新世代のGPU「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Max-Q Workstation Edition」を、最大2基まで搭載できるThinkStation P5の処理能力は圧倒的です。
興味深いのは、当初は3D CAD用途を想定して導入したこのワークステーションが、思わぬ形でフィジカルAI開発の現場でも活躍したことです。
ICOMAは現在、双腕ロボットなどフィジカルAI領域のプロダクト開発にも進出しており、その一環として「SHOSA Bonsai Arm(ショーサ ボンサイ アーム)」と題するAIアート作品に取り組んでいます。これは、いわゆるロボットアームをベースとした“動く盆栽”です。開発を担当しているインターンシップの学生から「模倣学習・強化学習を行うには、もっと高性能なマシンが必要」との相談を受け、ThinkStation P5をその検証にも活用することになったのです。
「ロボットの学習には長時間を要するため、安定して継続稼働できる信頼性が欠かせず、加えて排熱の観点でもワークステーションには安心感があります。CAD用途を想定していたマシンが、結果としてAI学習のリソースにも活用できるとわかったのは、私たちにとって思いがけない発見であり、驚きでした」と生駒氏は、3D CADからAI学習まで幅広く使い回すことが可能なThinkStation P5の汎用性を高く評価しています。
AIにCAD操作を任せられるThinkPad P16v Gen 3
そしてもう1台の新マシンとして、ICOMAが活用を始めたのが、モバイルワークステーション「ThinkPad P16v Gen 3」です。日頃からフットワーク軽く、取引先や関係者先などを巡っている生駒氏にとって、携帯性の優れたマシンは欠かせません。

AIによるCADモデリングをThinkPad P16v Gen 3で行ってもストレスなく操作できているという
ThinkPad P16v Gen 3の真価が発揮された象徴的な場面は、AIにCADモデリングそのものを任せる作業です。たとえば、採用を検討中のサスペンション部品について、メーカーサイトに掲載されていたのは外形寸法などの限られた情報だけでした。そこで、その断片的なデータシートをAIに読み込ませたところ、CADファイルの生成、Fusionでのプレビュー、バネが伸縮する複雑なアセンブリの構築まで、AIとの対話だけで完了できたとのことです。
「以前は手作業で20分以上かかっていましたが、AIと対話するだけなら3分程度で済みます。1~2回のやり直しが発生しましたが、最終的には正常に動作するアセンブリデータを作成することができました」(生駒氏)こうしたAIによるCADの直接操作は、当然ながらPCに大きな負荷をかけます。
「AIが次々と処理を要求してキューがたまるため、性能の低いPCではほかの作業がまったくできなくなります。一方、ワークステーションなら、AIの処理中にもメールを返信したり、別のソフトを起動したりする余裕がありました」(生駒氏)
センサー部品の設計でも、AIとワークステーションの組み合わせは大きな効果を発揮しています。tatamo!に搭載したTOFセンサーの検知範囲(FOV)など、データシートにない情報をAIに調査させてCAD化し、一晩で約20点を完成させた例もあるとのことです。
「一つずつ自分で行えば1時間ほどかかる調査も、AIなら数十件を同時並行で進めることが可能です。ワークステーションの性能次第で、設計者の生産性を10倍にも100倍にも高めることができるのです」(生駒氏)
体感で生産性は10倍以上“個人のパフォーマンス”を高めるAI時代の必需品に
ThinkStation P5とThinkPad P16v Gen 3について生駒氏は、「これまで30日かかっていた作業を、1日で終えられる可能性が見えてきました。少なくとも肌感覚では、プロダクトデザインや設計の生産性は10倍以上に向上していると思います」と、その手応えを強調しています。
そのうえで生駒氏は、AIとCADが融合していく時代において、処理能力の高いワークステーションに対する投資が、今後ますます重要になっていくと見ています。
「これから新たなビジネスを始めたり、何かをゼロから設計したりするなら、エンジニアリングを支える基盤への投資を惜しむべきではありません。今の世の中では、誰もが同じ環境を手にできる、ある種の“民主化”が進んでいます。この時代の流れの中で投資を怠ってしまうと、重要なチャンスをみすみす見逃すことになりかねません」(生駒氏)
ThinkStation P5とThinkPad P16v Gen 3という2つの計算基盤は、AIとともにものづくりのスピードを飛躍させる、ICOMAの新たな武器となっているのです。
お客様プロフィール
お客様 |
株式会社ICOMA |
|---|---|
所在地 |
東京都大田区大森西6丁目17番17号KOCA・A棟9号室 |
設立 |
2021年3月 |
URL |
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概要 |
折りたたみ電動バイク「タタメルバイク」をはじめとするオリジナルモビリティ・ロボットの企画・開発・販売、プロダクトデザインおよびプロトタイプ制作の受託、フィジカルAIの開発及び、それを用いたハードウェア支援の推進 |
株式会社ICOMA
生成AI×CADで設計を高速化
ThinkStation P5とThinkPad P16v Gen 3がおもちゃ由来の開発手法を支えるツールに




