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導入事例

大阪回生病院

ICTを積極活用する病院運営。その仮想化基盤として、大阪回生病院が採用したセキュアで運用簡素なLenovoのHCI

導入について


創立から120年以上、地域の医療発展に努めてきた大阪回生病院

1900年7月に私立大阪回生病院として創立した大阪回生病院。1926年の組織変更による株式会社化などを経て、院是である「一視同仁 博愛慈善」に基づき大阪の発展とともに120年以上の歴史を積み重ねてきた。現在は淀川区の新大阪駅に隣接する場所に拠点を構え、同駅から徒歩3分で到着するアクセスの良い立地にある。地域包括ケアシステムに力を入れつつ、これまで急性期病院や二次救急指定病院として、高齢化社会において重要な役割を果たす救急医療を担ってきた。

救急搬送数は年間3000件を超え、24時間体制で診療に当たっている。2024年3月には、かかりつけ医からの紹介状を持って診療することに重点を置く「紹介受診重点医療機関」に認定された。

また、同院は2005年の移転をきっかけに電子カルテシステムを導入し、2022年7月にはオンライン資格確認を開始するなどICT活用を進めている。

大阪回生病院の医療事務部 医療情報課 課長である前田 健氏は「紹介受診重点医療機関として診療情報の連携を通じた地域のクリニックや介護施設などの医療機関との連携を進めていくことで、地域医療へのさらなる貢献を図っていきたいです」と語り、今後もICTを積極的に活用する病院運営を進める方針であることを説明する。


電子カルテ刷新を契機に仮想化基盤のハードウェアをリプレース

大阪回生病院は2023年、10年間稼働していた電子カルテシステムのリプレースの時期を迎えていた。また、同様に10年前から運用してきた部門システムの仮想化環境の刷新を検討。同仮想化基盤上では、新規導入の手術麻酔システム、栄養管理システムやインシデント管理システム、透析情報システム、診断書作成システム、薬剤システムそして地域医療連携システムなど20種類のシステムが稼働し、約700人の職員が利用している。

当時のシステムについて、前田氏は「仮想化環境は10年前と5年前から稼働する2種類の仮想サーバーで運用してきました。10年前に導入していたサーバーでは業務への影響範囲が限られているシステムを稼働させ、5年前に導入した仮想サーバーが多くの業務システムの基盤となっていました。ただ、その仮想サーバーでは、スペックの問題やサーバーを増設できないという課題を抱えていました。そこで、新たな部門システムを安定的に稼働できる仮想化基盤の環境が必要となっていました」と振り返る。

さらに懸念されていたのが「セキュリティ対策」だ。前田氏は「ランサムウェアなどのサイバー攻撃により他の医療機関では感染してシステムが停止するという報道もありました。より一層のセキュリティ対策の強化を図り、現在の環境に合わせたウイルス対策やバックアップ環境を考慮する必要性を感じていました」と説明する。

加えて、前田氏は「以前は当院内でシステムの内製化を進めていましたが、属人的になってしまいメンテナンスが難しいシステムも存在していました。そうした属人化を解消するとともに、専門性の高いスキルを必要としないシステム運用を目指す上で、一緒に取り組んでくれるパートナーの支援を必要としていました」と語る。

こうした現行システムの課題や懸念点を解決するため、刷新後のシステム構成として、以前から情報収集をしていた「HCI(ハイパーコンヴァージド・インフラストラクチャ)」に注目し、既存システムのベンダー変更も含め、最適なシステム刷新を図るプロジェクトを立ち上げることとなった。

課題解決のために選ばれた「Lenovo ThinkAgile MX」

大阪回生病院では、複数社にシステム刷新の提案を依頼。提案内容を検討した結果、レノボの提案を採用した。同社の提案とは、HCI「ThinkAgile MX」シリーズの「MX630 V3」を軸とするシステム基盤だった。

MX630は、物理サーバー上に仮想サーバー環境、ソフトウェア定義ストレージなどを組み合わせて単一筐体として提供されるHCIだ。サーバー/ストレージ/ネットワーク/ソフトウェアすべての機能を単一筐体が担い、3Tier型の仮想化基盤に比べてシンプルな構成で運用管理を簡素化できる。また、サーバーのストレージを仮想ストレージ化することで、ストレージ容量の追加や拡張に伴う設定作業を簡素化し、より柔軟な拡張も実現可能になる。

同院では、多くの部門システムで採用されているWindowsアプリケーションの稼働に最適な「Windows Server HCI」を搭載するシステム基盤を構想。Windows Server HCIクラスターによって仮想インフラを冗長化したシステム構成を実現した。

また、レノボ製サーバーは山形県の米沢にある同社グループのNECパーソナルコンピュータ 米沢工場で生産されている。

同工場では、生産からデリバリー前検品、メモリー増設、ソフトウェア・プリロードなどの高品質なカスタマイズを施した上で構築できる点が特徴だ。レノボ製サーバー/ストレージ製品群が備える様々な機能・仕組みによって、同社のハードウェアは高い信頼性を誇っている。


さらに大阪回生病院は、SSDを搭載したオールフラッシュ型のMX650V3を2台、管理サーバー「ThinkSystem SR250V2」を導入した。加えて、バックアップ環境として、バックアップソフト「Veeam」を搭載したバックアップ・サーバー「ThinkSystemSR650V3」を導入し、効率的なバックアップを実現するために「Veeam Backup & Replication」を活用して設計の自由度を高めたバックアップ環境を整備した。その結果、ランサムウェア対策にも万全を期したセキュリティを向上させるシステム構成を構想できたという。

加えて、同院ではクライアントPCにもレノボ製品を採用した。「ThinkCentre M70s Small Gen 3」250台、「ThinkPad E16 Gen 1」200台に続き、「ThinkCentre M70s Small Gen 3」50台を導入した。


選定の決め手は「信頼感」と「コスト最適化」

レノボの提案を採用した主な理由について、前田氏は「協力ベンダーとしての信頼感」「トラブルやシステム停止が少ないシステム構成」のを挙げる。「当院では仮想サーバーに関する知識はそれほど持ち合わせていませんでした。レノボは提案時に、サーバー構成のスペックなど私たちの疑問点について非常に分かりやすく説明してくれました。そうした丁寧な対応から同社への信頼感が生まれたと感じました」(同氏)

また、前田氏は「HCI自体は認識していたが、実際に導入した際のメリットまでは知りませんでした。その部分を分かりやすく説明してもらうことで、より理解が深まりました。コスト面も含めてよりシンプルで拡張性・柔軟性に優れたシステム基盤を実現できると思いました」と提案時の状況を説明する。

さらに、万が一セキュリティ攻撃を受けたとしても、復旧時間を大幅に短縮できるリカバリー機能を備えているなど、バックアップの効率化も考慮した仕組みとなっていたとのことだ。

加えて、同氏は、限られた予算の中で刷新をする上で同社のコスト最適化に関する提案も評価する。「安心して任せられる信頼感を持ち、上層部も納得した提案であったため、レノボさんにお願いすることにしました」(前田氏)

前田氏自身、電子カルテの刷新プロジェクトは初だったという。同氏は「10年前の電子カルテ更新時にはシステムを停止した上でデータ移行やシステム切り替える作業が当たり前だったと聞いていました。ただ、もはや電子カルテや部門システムなどのICTシステムは診療業務を遂行する上で必要不可欠な存在となっています」と、医療機関におけるICTシステムの重要性を痛感したとのことだ。

その上で「システムが稼働しない状況に対する不安はとても大きく、移行プロジェクトでは院内の各部署、各部門システムのベンダーとの調整を含めて、より慎重に実施することが求められていました」と当時の心境を明かす。

大阪回生病院が採用した、新しい部門システムの仮想化基盤イメージ


Professional Serviceなど充実したサポート体制でプロジェクトを成功

大阪回生病院は2023年9月から翌年2月にかけて、レノボ、各部門システムのベンダーらとともに刷新プロジェクトを実施した。電子カルテを含む部門システムの移行については、半日間のシステム停止を経て、データ移行を含めて完了し、レノボはシステム納入のみならず、同社のProfessional Service部隊が並走してシステム構築や移行作業をサポートした。

前田氏は「時間に制約がある、かなり厳しいスケジュールの中での事前準備などを経て、順調かつ大きな問題もなく対応してもらえました」と、レノボの導入支援に関する感謝を述べる。「構築・移行作業以外のちょっとした設定や運用する上で困った点に関しても、即座に対応してもらえて大変助かりました」(同氏)

移行プロジェクトに携わった同氏は「電子カルテ更新が初めてということもあり、どのように進めればよいのか分からない点も少なからずありました。ただ、レノボをはじめとするベンダー会社の皆さんが、当院の要望や遅延を吸収してくれた中、特にレノボの支援は非常に心強く、短期間で安定稼働を実現した原動力だと思います」と語る。

また、短期間でも大きなトラブルもなく完遂できた要因として、レノボが持つスキルの高さがあると感じたとのことだ。これは数多くのシステム構築・移行プロジェクトを手掛けてきた同社のProfessional Service部隊が持つ強みのひとつだろう。


信頼できるパートナーへの期待は今後も膨らむ

2024年2月に本格稼働した大阪回生病院の新しい部門システムの仮想化基盤。刷新後もシステムが安定稼働している点こそが成功している証拠ともいえるだろう。また、運用面で気づいた点として、前田氏は「仮想化環境へのシステム追加が容易になった」ことを挙げる。

前田氏によると、Web画面による管理ツールからテンプレートを利用することで、仮想化環境への部門システムの追加が楽に実現できるようになったという。同氏は「以前の環境では、ゲストOSを立ち上げる際に、今まではマニュアルを見ながら複雑な操作をしていました。現在は、レノボがテンプレートを用意してくれたので、今回のシステムでは操作に慣れていない担当者でも容易に操作できるようになりました。運用を見越した形での構築をしてくれたので、スムーズに構築後も運用できています」と説明する。

また、前田氏は「運用管理ツールがかなり使いやすく、高度なスキルを伴わなくても運用できる点は当院のニーズに合致しています」と語る。さらに、システムユーザーからは「調子が悪くなった際のクライアントPCの再起動に対するストレスが減った」という声も上がっているとのことだ。

今回の刷新後、大阪回生病院では数種類の部門システムを新しい仮想化基盤に追加済みだという。また、今後はナースコールシステムの搭載を予定しており、バイタル機器や輸液ポンプとのモバイル連携や、紙文書を当院発行のタイムスタンプ付き保存を筆頭に、医療機器管理システムや感染管理システム、ICUシステム、内視鏡システム、バイタルシステムなどの今年度中に連携するシステムの拡張を視野に入れているとのことだ。

同院では、より拡張性の高いシステムの構築・運用を目指した改善に着手することを見据えているという。前田氏は「その際にも、ぜひレノボに支援していただきたいです」と同社に期待を寄せている。

今後、地域医療における情報連携や院内システムの連携など、大阪回生病院におけるICTの活用シーンは増え続けていくだろう。同院はこれからも院内のDX化を推し進めていきたいと考えているという。引き続き、レノボとともに、その実現を目指していくとのことだ。


(写真左から)

互惠会 大阪回生病院
医療事務部
副部長
中島 清訓 氏

互恵会 大阪回生病院
医療事務部 医療情報課
課長
前田 健 氏

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