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導入事例

日本海総合病院

地域医療の中核病院、その職員VDIの高セキュリティ・安定性・保守性を実現したLenovoのHCI

導入について


庄内地域の中核病院としてIT活用の旗振り役も担う日本海総合病院

2008年4月に当時の山形県立日本海病院と酒田市立酒田病院を統合再編し、山形県酒田市に開院した日本海総合病院。全国の病院統合の先駆けとなるモデルケースとして注目を集めた。 急性期医療を担当する日本海総合病院と回復期医療を主に担当する日本海酒田リハビリテーション病院に加え、酒田市から移管統合された日本海八幡クリニック、市内5診療所が加わって日々の診療を実施している。

同機構では、基本理念として「思いやりの心を大切にします。質の向上に努め、安全な医療を提供します。地域との連携を促進し、住民の健康と福祉の向上を目指します。持続可能な病院経営を通して、地域に貢献します。」を掲げている。

これまで、救命救急センターやPETセンターの開設、ハイブリッド手術室や手術支援ロボットの導入など高度先進医療に取り組んでおり、IT活用においては地域医療情報共有ネットワーク「ちょうかいネット」の運用をはじめ、2022年には全国4地域で実施した電子処方箋モデル事業に参加し、電子処方箋の普及に努めている。


日本海総合病院の管理課 情報システム主査である佐々木 邦義氏は「地域医療情報ネットワークの運営にあたって、連携する医療機関や調剤薬局、患者を含めて顔の見える形でのコミュニケーションを心掛けています」と語り、庄内地域の中核病院として、院内のみならず院外のIT活用の旗振り役を担う存在であることを説明する。

VDIのリプレースを契機にハードウェアを刷新

日本海総合病院は2023年、事務系管理部門が利用する情報系システムの更新時期を迎えていた。同システムは、約110人の職員が「VDI(仮想デスクトップインフラ)」端末から利用していた。従来、同仮想化基盤は「物理サーバー」「SAN(Storage Area Network)」「共有ストレージ装置」などのハードウェアで構築した「3層構成(3Tier)」を取っていた。

当時のシステムについて、同院の管理課 情報システム係長の齊藤 塁氏は「ソフトウェアの耐久性、ハードウェアの信頼性や拡張性などの観点で課題を抱えていました。また、クライアントの増設や業務拡大に伴うストレージ容量の増加の際などにスムーズに拡張できない点が悩みでした」と振り返る。

また、佐々木氏は「特にOSをアップデートする場合、ハードウェアの対応要件が高くなったり、メモリーやHDDの容量不足などが起きたりするなど、なかなかアップデートが進まない状況もありました。従来の3Tierではストレージの追加やサーバー端末・基盤の追加などに伴い発生するコストも課題でした」と説明する。

さらに懸念されていたのが「セキュリティ対策」だ。同院の管理課情報システム係 主任の佐藤 良典氏は「ランサムウェアなどのサイバー攻撃により他の医療機関では感染してシステムが停止してしまったという報道もありました。より一層のセキュリティ対策の強化が求められ、万が一感染した場合でも早期復旧できる体制を整えて事業継続性を確保する必要性を感じました」と説明する。

加えて、佐々木氏は「VDI導入以前は、貸与されたパソコンを職員各個人で管理していたことから、ファイルサーバーに保管せずに個々の端末内でデータを管理しているケースなどが散見され、盗難や故障による情報漏洩・紛失リスクの回避と情報が散在する状況の改善を目的としてVDIを導入しました。しかし、バックアップ環境を整えるなど、より一層データ保護・管理体制の強化が必要でした」と語る。


課題解決のために選ばれた「Lenovo ThinkAgile HX」

3Tier構成の現行システムの課題や懸念点を解決するため、日本海総合病院ではVDIリプレースを決断。そのシステム構成として、以前から情報収集をしていた「HCI(ハイパーコンヴァージド・インフラストラクチャ)」に注目。最適なシステム刷新を図るため、パートナー企業であるNECネッツエスアイに相談することとなった。

日本海総合病院のVDIリプレースに当たり、NECネッツエスアイはレノボと協力してシステム案を検討。その結果、レノボが提案したのが、自社のHCI「ThinkAgile HX」シリーズの「HX3330-F」を軸とするシステム基盤だった。

ThinkAgile HXは、レノボ製サーバーに「Nutanix」のソフトウェアを統合したHCIだ。HCIは、単一筐体でサーバー/ストレージ/ネットワーク/ソフトウェアすべての機能を担うため、3Tier型の仮想化基盤に比べてシンプルな構成で運用管理を簡素化できる。また、サーバーのストレージを仮想ストレージ化することで、ストレージ容量の追加や拡張に伴う設定作業を簡素化でき、より柔軟な拡張も実現可能だ。

また、レノボ製サーバーの多くが、日本海総合病院と同じ山形県の米沢にある同社グループのNECパーソナルコンピュータ 米沢工場で生産されている。「米沢生産方式」とも呼ばれる高品質なものづくりの技術が生かされており、迅速なハードウェア供給も実現した。同工場では、生産からデリバリー前検品、メモリー増設、ソフトウェア・プリロードなどの高品質なカスタマイズを施した上で構築できる点が特徴だ。また、レノボ製サーバー/ストレージ製品群は、ハードウェア障害の事前予知機能「PFA(Predictive FailureAnalysis)」や、障害発生部品に付属するLEDが点灯する「Light Path 診断機能」などを備えている。それらの仕組みによって、同社のハードウェアは高い信頼性を誇っている。

さらにThinkAgile HXでは、Nutanixのソフトウェアを組み合わせることで、各ノードの拡張や切り離し、バージョンアップを無停止で実施できる。従来のシステム移行作業に伴っていた各種準備・作業などの手間やコストを大幅に削減可能にする。

日本海総合病院は、1Uラック型で2.5型ドライブを8台搭載可能なHX3330-Fを3台、管理サーバー「Think System SR250V2」を導入し、VMware Horizon Clientを利用するVDI環境を採用した。さら、バックアップ環境として、バックアップソフト「Veeam」を搭載したバックアップ・サーバー「ThinkSystem SR650V2」、テープライブラリー「TS4300」、UPS「SMT1500RMJ2U」などの導入を決定。その結果、ランサムウェア対策に万全を期したセキュリティや事業継続性を向上させるシステム構成を構想できたという。

レノボの提案を採用した主な理由について、齊藤氏は「拡張性」「バックアップ」の2点を挙げる。「年々従業員が増えており、早急に対応が必要な中で、拡張性に優れていると感じていました。また、オンラインでのバックアップが簡単に実現可能である点も、私たちが目指していたシステム像に合致していました」(同氏)

日本海総合病院が採用した、新しいシステム基盤イメージ


選定の決め手は「拡張性」と「バックアップ」

佐々木氏が、一番の決め手と評価したのが「将来を見据えた移行方法を実現できる」点だ。同氏によると、2023年まで利用していた旧来のVDIでは、「Windows 7」から「Windows 10」への移行という大きな作業が発生したという。その際、スペックの違いから新たなサーバーを用意したり、別途システムを組み起こしたりして一部のサーバーを止めて移行する必要があった。

「移行作業では、関係各所への調整だけでも時間や手間がかかることもあります。提案を受けた時に『将来的なシステム刷新はどうなるのか』という質問をしました。その際、システムを止めずに移行可能であることを具体的に説明していただき、既存システムを拡張しながらでも移行できる点も評価したポイントの1つです」(同氏)

佐々木氏はHC I に関して事前に情報を収集していたが、Nutanixのソリューションについては提案時に初めて知ったという。「分かりやすく説明してもらうことで、より理解が深まりました。コスト面も含めて、よりシンプルで拡張性・柔軟性に優れたシステム基盤を実現できると思いました」と提案時の状況を説明する。

佐藤氏も「以前からHCIに関心がありましたが、説明を受けてHCIがより効率的な業務を可能にすることが理解できました。納得いく形で構成案を受け入れられたと思います」と同意する。こうして、日本海総合病院では5年後の移行作業をも見据えた最適なシステム刷新の準備が整った。


充実したサポート体制でプロジェクトを成功

その後、日本海総合病院は2023年7月から同年末にかけて、NECネッツエスアイ、レノボとともに刷新プロジェクトを実施。プロジェクトチームは2024年1月に移行を完了させた。レノボはシステム納入のみならず、同社のProfessional Service部隊が並走してシステム構築や移行作業をサポートした。

齊藤氏は「導入前のミーティングでの仕様確認に始まり、きめ細やかな資料の提示や説明を交えながら、基盤構築やソフトウェア導入、VDI設計・構築などを進めていただきました。現地での対応のスピード感もあり、ライセンス登録などの問い合わせへのレスポンスも的確で迅速でした」と当時を振り返る。

同氏は「構築後も実機を使用したレクチャーなどを踏まえて、安心して運用できる環境を整えてもらいました。プロジェクトを進める中で、信頼関係が深まっていったと思います。ある意味、マイナス面が見られないプロジェクトでした」と評価している。

また、佐藤氏は「電話でもメールでも、私たちの問い合わせに1つずつ丁寧に対応してもらえたのが印象的です。Professional Serviceのサポート体制がかなり充実していたと思います」との見解を示す。

移行プロジェクトに携わった両氏は、長期間のプロジェクトを大きなトラブルもなく完遂できた点について、レノボが持つスキルの高さがあると感じたとのことだ。この点は、数多くのシステム構築・移行プロジェクトを手掛けてきたレノボならではの強みの1つだといえるだろう。

佐々木氏は「これから運用フェーズに入る中で、万が一のトラブルや追加対応時のサポートも引き続き期待しています」と、パートナー企業としてレノボに信頼感を寄せていることを語った。


信頼できるパートナーへの期待は今後も膨らむ

2024年から本格稼働した日本海総合病院のVDI環境。まだ刷新して数ヶ月のため具体的な効果は見えていないが、すでに気づいた変化もあるという。その1つとして、齊藤氏が挙げるのが「保守容易性」だ。

医療機関においては、システムの安定稼働は特に重要な要件である。齊藤氏は「旧環境では、ハードウェア障害を検知するために機器のログを収集して細かくチェックしてきました。ただ、どのサーバーの、どの箇所が故障したのかをすぐに把握できず、障害時の復旧対応に時間を要することもありました」と語る。一方、「刷新後のシステムでは、故障しそうな箇所や障害が発生した箇所の診断パネルのLEDが点灯するため、計画外のダウンタイムを最小化できると考えています」と明かす。

また、佐々木氏は「現在利用しているHCIの運用管理ツールは、機能面が優れているだけではなく、コストメリットも期待できると考えています」と語る。

今回のHCI導入を踏まえ、日本海総合病院では、人事・会計など管理系システムにおけるHCIの採用も検討しているという。また、今後電子カルテシステムのハードウェア刷新を控えており、各部門が利用する医療系システムにもHCI基盤を順次拡大することも視野に入れているとのことだ。

佐々木氏は「医療情報システムの本丸は、電子カルテです。今回のHCI構築・運用のナレッジを、今後のサーバーリプレースにも活用していきたいと考えています。その際は、ぜひレノボさんのお力を借りたいです」と語る。

今後、地域医療連携ネットワークや医療系システムとの連携など、日本海総合病院におけるITの活用シーンはますます拡大すると考えられる。安定的に稼働し、よりセキュアなシステムが求められる中、同院が持続可能な病院経営を通して地域に貢献するための一助をレノボをはじめとするパートナー企業が担うことは間違いないだろう。



(写真左から)

地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構
日本海総合病院
管理課 情報システム係 主任
佐藤 良典 氏

地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構
日本海総合病院
管理課 情報システム主査
佐々木 邦義 氏

地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構
日本海総合病院
管理課 情報システム係長
齊藤 塁 氏

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