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導入事例

株式会社ムトウ

全国各地域に根差す医療機器販売網、支えるのはレノボのHCIソリューション

導入について

医療の均等な全国展開を支えるムトウ

北海道と東京都に本社を構えるムトウ。企業理念に「私たちはかけがえのない生命の尊さを心に刻み、すべての健康に貢献することを使命とします。」を掲げ、主に医療機器、理化学機器、病院設備などの医療機器の卸売事業を展開している。地域に根差したビジネスを目指す同社は、グループ企業 23社を擁するなど日本で唯一の全国販売網を整備。全国に約165拠点の事業所と4カ所のロジスティクスを保有している。

同社の情報システム事業本部 副部長 山口 謙吾氏は「日本における医療の地域格差や医療機器の価格差などを解消するため、日本全国への拠点展開と全国一律価格の実現を目指しています」と語る。2023年8月には、浜松支店と岡山支店を開設するなど、同社の事業展開はさらに広がりを見せている。

また、同社のICT活用を担う情報システム事業本部について、山口氏は「同部門を立ち上げてから数十年、時代の流れに沿ってデジタル技術を有効活用しながら仮想化技術や各種ツールなどを取り入れつつ、メンテナンスや拡張性、容易な管理を実現する運用を心掛けています」と説明する。

さらに同社は早くから「システム開発・運用の内製化」を進めてきた企業でもある。「現場のスタッフや営業部門、経営層などの様々なリクエストに迅速に対応できるスピード感を重視しています。そのため、なるべくアウトソーシングに頼らずにシステム開発・運用の内製化を推進することが当社の方針です」(山口氏)


サーバ増設に伴いハードウェアのアップグレードを決断

2016年当時、ムトウは仮想化サーバを活用した情報系システム基盤を新たに構築した。稼働していたのは、レノボとNutanixのハイパーコンバージド・システム「Lenovo ThinkAgile HX シリーズ HX5510」(以下、HX5510)だ。4台のHX5510から成る同基盤は、設置後1週間ほどで仮想化サーバの移行を完了した。また、グループウェアやメール、各種データベースなどの情報系システムのインフラとして、管理容易性に優れて安定稼働を続けてきた。

HX5510稼働時の情報系システムの状況について、山口氏は「導入当初は余裕のあるスペックだと感じていましたが、実際にはリソースがあればあるほど使う状況でした」と振り返る。同社では業務効率化などを目的として「RPA(Robotic Process Automation)」などを積極的に採用。スモールスタートで展開したRPAの効果が出始めたことから、情報系システムにおけるサーバの増設・拡張のペースが早くなってきた。そこでCPUやメモリなどのリソースの現状を考慮し、ハードウェアのアップグレードを決断することとなる。

山口氏は「システムは運用後にどんどん陳腐化していきます。特にメモリ容量が逼迫するようになりました。クラウドを活用する方法もありますが、拡張時には社内での決裁プロセスが必要となり、その分時間がかかってしまいます。より迅速に現場のニーズに対応するには、スピードが追いつけないと考えました。また今後もサーバ増設や拡張が予想されるため、スケーラビリティの高さを活かせるハードウェアへのリプレースを検討することになりました」と説明する。

さらに、稼働中のVMware環境には特殊なOSや塩漬けされたシステムも含まれていた。これらの仮想マシンを無停止で移行する最良の方法が求められていた。同社の情報システム事業本部渡部 大輝氏は「リプレースするシステムは、全従業員が業務遂行する上で不可欠な位置付けです。しかし、刷新には約5日間のスケジュールが見積もられており、平日に業務を遂行しながらシステムを無停止で移行できることが求められていました」と語る。

無停止でのシステム移行を実現するため、熟慮された提案

情報系システムのインフラ刷新に当たり、ムトウは自社のパートナー企業であるユーザーサイドに相談した。ユーザーサイドの野崎 晋太郎氏は「まず、事業継続への影響を考慮して無停止でのシステム移行が可能な提案を考えました」と当時を振り返る。

HX5510の安定稼働実績への信頼を元に、その後継機種である「Lenovo ThinkAgile HX シリーズ HX5530」(以下、HX5530)の4台構成を2つ組み合わせることを検討した。「プラットフォームを統一することでハードウェアを入れ替える際にも意識することなく、稼働後の増設も柔軟にできると考えました」(野崎氏)

Lenovo ThinkAgi le HX シリーズは、Nutanixの「Acropolis」「Prism」などのソフトウェアを搭載したレノボのハイパーコンバージド製品。オンラインで容易にディスク容量の増設などが可能で、スモールスタートにも対応できる。特に、HX5530はサーバ仮想化や大容量を必要とする環境に最適なハードウェアだ。

実際の提案に先駆け、レノボの担当者を交えてリソースの使用状況を解析している。その結果、CPUを効率的に利用されている反面、メモリの容量不足が懸念されたのだ。そのため、提案時に重視したポイントとして「前回のリプレース時期よりもSSDがさら廉価になり、より潤沢なリソースを割り当てられるような設定を提案できたと思います」と野崎氏は説明する。

Lenovo ThinkAgile HX5530を採用する決め手とは?

ムトウは複数社の提案内容を比較・検討した結果、HX5530へのハードウェア刷新と、レノボの「プロフェッショナルサービス」を活用したシステム移行プロジェクトを実施することを決断した。

採用理由について、山口氏は「ハードウェアについては、既に稼働実績があるHX5510の後継機種であったため、整合性の面なども含めて安心感がありました。また、付き合いの長いユーザーサイドから『V2Vで確実に移行できる』と提案を受けたので、全面的に信頼してお任せすることを決めました」と語る。

「当社は人員や予算が決して潤沢とは言えません。できるだけ作業負担を少なくしたいけれど、コストも下げたいというジレンマが出てしまいます。

他社の提案では『全て対応するがコストがかさむ』『コストは抑えられるが作業負担が増す』というものも見受けられました。ユーザーサイドとレノボの提案は、一番バランスが良く当社にとってはベストな選択でした」(山口氏)


さらに、山口氏は「現環境の状況を解析した上でシステム運用における課題を理解し、その解決策を提案していただいたのも採用した決め手の1つです」と説明する。

想定外の事態にも迅速に対応、安心できるサポート体制

その後、ムトウはハードウェアの刷新とシステム移行プロジェクトに着手。現地での作業にはユーザーサイドとレノボのプロフェッショナルサービス(PS)部隊も参画した。プロフェッショナルサービスはシステムを構築する企業に対して、同社の豊富な実績を持っているコンサルタントやエンジニア、プロジェクトマネジャーなどがプロジェクトを支援するサービスだ。

通常、無停止でのシステム移行は技術的には問題がなくても、実際には万が一のトラブルが起こり得る可能性もある。そのため、移行当日に至るまでの事前準備や移行時の迅速な判断・対応ができる体制が必要となる。今回の刷新プロジェクトでは、しっかりとした事前確認を経て慎重に実施された。

実際に刷新プロジェクトに現場で携わった渡部氏は「移行時には事前に想定していない事象も発生しました。ただ、その際でもユーザーサイドさんやレノボさんが連携して原因調査や方針や改善案を提示し、しっかりと説明した上で迅速に対応してもらえました。レノボさんなどメーカー側の担当者が現地にいたことは非常に心強かったです」と振り返る。

実際、稼働直後のシステム構成の不具合について現場のPS部隊を交えて解消したり、ソフトウェアエラーについては「問い合わせから解決までがわずか数時間で完了しました。そのレスポンスの早さに驚きました」(渡部氏)という声が上がるほどであった。

また、プロジェクトにおける支援体制について、山口氏は「現場にいる渡部からは、具体的なスケジュールの落とし込みや迅速な対応報告などがありました。しっかりコミュニケーションを取った上でサポートしてもらえたと感じています」と評価する。


クラウド活用メリットも享受できるHCI活用の成功事例

現在、ハードウェア刷新後のムトウの情報系システムは「入れ替えたことがユーザーに意識されることなく安定稼働しています」(渡部氏)という。また、山口氏は「以前は常に気にしていたメモリなどのリソース状況も改善されました。後継機種を採用したことで運用面の変更がないためミスが発生しづらく、ストレスフリーに運用できています」と笑顔を見せる。

以前はリソース面を考慮して慎重だったマシン増設を容易にするとともに、サポート切れが近づいているOSで稼働するシステムに対しては新環境を立ち上げて並行稼働するなど、より柔軟なインフラ運用を実現できている。

多くの企業で導入が進むクラウド環境は、必要に応じてリソースを追加できることから柔軟性とスケーラビリティに優れている。ただ、使用量に応じて料金が変動することで運用コストの予測が難しくなる場合もある。また、IT予算の決裁プロセスに時間がかかると、需要に対して迅速に対応できないこともあり得る。

システム開発・運用の内製化を推進してきたムトウにおけるハイパーコンバージド・システムの活用は、クラウドのメリットをオンプレミス環境でも享受できる成功事例といえるだろう。


より良い医療の実現に貢献するシステムを提供していきたい

ムトウでは、さらに先にあるハードウェア刷新時にも、レノボの製品を採用予定とのことだ。山口氏は「当社が困っていることを気軽に相談してすぐに答えを返してくれる信頼できるパートナーがいて、幅広く製品・サービスを提供しているレノボさんが後方でしっかり支援してくださるのは非常に心強いです。これからもより良いシステムになることを期待しています」と述べた。

山口氏は「医療卸業を主事業とする当社は、商社として北は北海道から南は沖縄まで全国各地の拠点で事業を展開しています。これからも各地のより良い医療の実現に貢献することこそ、当社の使命だと思っています。そのためには、業務効率化や社内の様々な要望に対して的確に対処できる情報システムを開発・運用できる体制を整えていきたいです」と語る。現在、政府主導で新しい医療モデル実現の取り組みが進む中、ムトウが果たす社会的貢献のニーズはさらに増すことだろう。同社の今後の事業展開に期待したい。



「当社は人員や予算が決して潤沢とは言えません。できるだけ作業負担を少なくしたいけれど、コストも下げたいというジレンマが出てしまいます。他社の提案では『全て対応するがコストがかさむ』『コストは抑えられるが作業負担が増す』というものも見受けられました。ユーザーサイドとレノボの提案は、一番バランスが良く当社にとってはベストな選択でした。」

株式会社ムトウ
情報システム事業本部 副部長
山口 謙吾 氏

「現在、ハードウェア刷新後のムトウの情報系システムは入れ替えたことがユーザーに意識されることなく安定稼働しています。」

株式会社ムトウ
情報システム事業本部
渡部 大輝 氏

この課題を解決した製品・ソリューション

  • Lenovo ThinkAgile HX シリーズ

    Nutanixのソフトウェアを搭載したレノボのハイパーコンバージド製品群容易にディスク容量の増設などが可能で、スモールスタートにも対応可能。

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