「レノボ・ジャパンのご尽力の甲斐あって、大きなトラブルにも見舞われることなく、導入を完了させられました」
株式会社オークネット
DXソリューション部 GM 兼
株式会社東京砧花き園芸市場 システム開発部 部長
新井 浩一氏
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導入事例
老朽化が進む機械ぜりシステムを機材ごと刷新。オンライン対応のせりシステムを超短期間で構築。
株式会社オークネット(以下、オークネット)は、中古車、中古デジタル機器、ブランド品、花き、中古バイク、中古医療機といった、さまざまな商材のオンラインオークションを運営するプラットフォーマーだ。同社では、かねてから切り花を中心とした花き流通事業を展開しており、株式会社オークネット・アグリビジネスにて完全在宅取引を可能としたインターネット花市場を運営してきた。
2020年7月にオークネットの子会社となった株式会社東京砧花き園芸市場は、東京都中央卸売市場世田谷市場にある「卸売会社」であり、買参人1207人、仲卸業者6社(2021年実績)と、都内の花き市場でも指折りの規模を誇っている。
「東京砧花き園芸市場は、鉢物を中心とした高級品を取り扱っており、機械ぜりで取引している花き卸売会社です」と、オークネット DXソリューション部 GM兼 東京砧花き園芸市場 システム開発部 部長の新井 浩一氏は話す。
機械ぜりとは、コンピューターを使ったせりであり、花き市場の多くで採用されている。せり人が示した商品の情報がせり場の大型ディスプレイや電光掲示板に表示されるので、買参人(主に花屋や園芸店などのせりに参加する買い付け担当者)は対象の商品が希望の価格になったら手元の端末から応札する、という仕組みになっている。なお、花き市場の場合は時間に応じて最高値から価格が下がっていく、下げぜり方式が一般的だという。
オークネットでは、東京砧花き園芸市場の子会社に伴い、新たな花き流通システムを構築し、切花・鉢物の総合市場としてだけではなく、インターネットと現物取引の強みを活かした効率的なマーケットの構築を目指していた。そこでまずは、機械ぜりシステムをオンライン化するとともに、会場設備の刷新に取り込むことになった。
「オークネットが東京砧花き園芸市場を買収したときには、すでに機械ぜりシステムやせり会場内の機材が老朽化しており、リプレースが必要な状態でした。また、従来の機械ぜりでは、買参人がディスプレイを通して商品の状態を確認し、場内の買参人席に埋め込まれたテンキー状の専用端末を使って操作して応入札していました。
ですが、ディスプレイが会場内の奥に配置されているため、商品が見づらかったという問題もありました。買参人席にモバイルモニターがあればより近くで、本物に近い状態で見られます。そのほうが買参人も買いやすいのではないかと考え、会場の機材ごと刷新することにしました」(新井氏)
オークションプラットフォーム構築プロジェクトは、2020年10月ごろにスタート。オークネットでも同様にせりシステムの老朽化が進んでおり、環境の変化に追従するうえでは現状のままでは困難であったため、東京砧花き園芸市場、オークネット、他社でも利用できるせりシステムの共通プラットフォームを構築することとなった。
また市場設備としては、買参人席にPC本体と小型モニターを配置し、モニターを通して直感的に応札できるシステムを構築することになった。
「買参人席のスペースが限られているため、PC本体は薄型かつ小型なものでなくてはなりません。またモニターについても、PC本体とケーブル1本だけでつながり、タッチパネル機能を搭載しているものが望ましかったです。また、古くから東京砧花き園芸市場に通っている買参人も多いため、なるべく操作性を変えないよう、タッチパネル操作に加え、従来と同様のテンキー状の応札ボタンも併設することにしました」(新井氏)
そこで買参人席に取り付けるPCとして導入されたのが、「ThinkCentre M70q Tiny」だ。
「青山にあるオークネットの本社では、かねてからThinkCentre M70q Tinyを旧せりシステムで使用しており、性能やスペック、信頼性については高く評価していました。他社のコンパクトPCも検討したのですが、やはり旧システムから利用していた実績もあり、ThinkCentre M70q Tinyを導入することにしました。モニターについては、タブレットを導入する話も出ていましたが、長時間連続駆動させることや一斉起動/再起動といった遠隔操作が可能かどうかの検証や調査が難しかったため、ThinkCentre M70q TinyとThinkVision M14tの組み合わせにしました。またメーカーをLenovoで統一することで、窓口を一本化したいという狙いもあります」(新井氏)
せり場の機材一式をすべてリプレースする方向で動き、希望納入台数は320台に及ぶ。
「大規模導入であるのはもちろん、新型コロナウイルス禍と世界的な半導体不足が大きな問題になっていることから、本当に納入されるか心配でした。ですが、スケジュールに遅れることなく、導入していただいたため大変助かりました」(新井氏)
また、リプレース作業については、市場を絶対に止められないという理由から、超短期間かつスピーディな導入が必須条件だった。
「繁忙期に市場を止めるわけにはいきませんから、2022年1月3日の開市までには絶対に作業を終了させなければなりません。リプレース作業は2021年12月29日午後から翌年1月2日までのわずか4日半しかありませんでしたが、レノボ・ジャパンのご尽力の甲斐あって、大きなトラブルにも見舞われることなく、導入を完了させられました」(新井氏)
なお、リプレース作業自体は段階的に行う予定で進められ、操作性に慣れてもらうため、まずは場内から導入し、2022年3月には在宅せりもスタートした。
新システムの導入直前には、買参人を集めて操作の勉強会を開催するなどして認知を高めてきたそうで、システムの変更後も大きな混乱は起こらなかったという。
「一部の買参人はタッチパネル操作に戸惑っていますが、その場合は併設されているテンキー型の応札機を使っていただいています。『これまで双眼鏡を使って正面のディスプレイで商品情報を見ていたのが、手元のモニターで見られるのは嬉しい』という声もいただいております」(新井氏)
システムの変更により、せり会場に向かわなくても、PCやタブレットからせりに参加することができるようになったことを歓迎する声も多いという。
「現物せりなので、せり落とした商品は世田谷市場に取りに来る必要はありますが、早朝からせり場に足を運ばなくて済み、自宅や店舗で応札して日中に商品を取りにくることができるので、買参人にとっても大きなメリットになっているはずです。今後は、指定された店舗へトラック配送するサービスも計画しております」(新井氏)
現状、せりで売り出される商品については、静止画をモニターに表示しているが、今後は、動画で商品を紹介するなど、利便性のさらなる向上を目指している。
「オークションシステムを安定稼働させるために、今後も改善活動やIT導入を進めていきたいと思います。また、他のせり市場の中には、IT化はもちろん機械化すら進んでいないところもあります。今回構築した東京砧花き園芸市場のオークションシステムは、アイディア次第で他のせり市場にも応用できるため、引き合いがあれば積極的に支援していく方針です」(新井氏)
東京砧花き園芸市場で採用されたような、コンパクトPCと薄型モニターを組み合わせたオークションシステムが、現物市場においてもモデルケースとして一般化していくかもしれない。その際でもレノボ・ジャパンは、迅速な製品提供と構築支援で、オークネットの取り組みを支援していくことだろう。
「レノボ・ジャパンのご尽力の甲斐あって、大きなトラブルにも見舞われることなく、導入を完了させられました」
株式会社オークネット
DXソリューション部 GM 兼
株式会社東京砧花き園芸市場 システム開発部 部長
新井 浩一氏
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