「Lenovo社のThinkPadは、コストパフォーマンスでは定評のあるAMDプロセッサー を搭載しているだけあり、価格競争力が最も優れていると判断しました。」
株式会社前川製作所
コーポレート本部
ICT部門
小林 茂樹氏
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導入事例
産業用冷凍機や各種ガスコンプレッサー製品の製造販売、冷蔵倉庫冷却設備の設計施工などの分野で国内はもとより、海外でも広く知られる株式会社前川製作所(以下、前川製作所)。長年カーボンニュートラルや環境に優しい製品作りを目指し、フロンを使わない「自然冷媒」を用いた冷凍機の開発にも力を入れている。また同社は食品加工機械メーカーとしての顔も持ち、特に食肉の自動脱骨ロボット製品は国内外の食肉市場で広く採用されている。
そんな同社では現在、国内・国外の拠点で約4700人の従業員が働いている。その職務は多岐に渡り、営業、事務、研究開発から設計、製造、施工、フィールドサポートなど、実に多種多様な職種が存在する。これらさまざまな業務においてPCが活用されており、その機能や性能、使い勝手は業務生産性を大きく左右する。またPCの調達コストもかなりの額に及ぶため、その調達プロセスには毎回慎重を期しているという。
「毎年1回、社内で利用されているPC全体の約4分の1を新機種に入れ替えており、そのたびに複数のメーカーから提案を募っています。かつては業務ごとに最適なスペックの機種を個別に調達していたこともありましたが、異なる機種が幾つも混在すると管理が煩雑になるため、現在では単一機種でさまざまな業務に対応することを基本方針としています」
こう語るのは、前川製作所 コーポレート本部 ICT部門 小林茂樹氏。同社では、CADソフトウェアや数理計算ソフトウェアなど研究開発や設計開発の現場で特殊なアプリケーションを利用する必要がある場合は高スペックなワークステーション端末を個別に導入することもあるが、それ以外の用途においては極力単一機種でカバーするようにしているという。
こうした方針に基づき、同社は2021年4月に新たに約940台のPCの運用を開始したが、これらはすべてAMDプロセッサーを搭載したLenovo製のノート型PC「ThinkPad」の単一機種で揃えた。ちなみに、すべての調達機種をノート型に統一したのは今回が初めてだったという。
「やはりコロナ禍における在宅勤務での使い勝手を考慮して、可搬性に優れるノート型に統一することにしました。どうしても大型のディスプレイが必要な業務では、別途外付けディスプレイを導入することで対応したほか、無線マウスも新たにLenovo社から導入しました。マウスはBluetooth経由で接続できるため、ノートPCの少ないUSBポートがマウスのUSBレシーバーで塞がることもなく、とても便利に使えています」(小林氏)
なお今回のPC選定の過程においては、これまでと同じく複数のPCメーカーが自社製品の採用を目指してアピール合戦を繰り広げた。各メーカーが前川製作所のニーズを綿密にヒアリングし、自社製品ラインアップの中から最も適切と思われるモデルを提案した結果、最終的に各社が推す製品のスペックはほぼ似たり寄ったりになったという。その中から今回AMDプロセッサー搭載ThinkPadを選定した最大の理由について、小林氏は「コストパフォーマンスの高さ」を挙げる。
「各社とも提案いただいた製品のスペックはほぼ横並びでしたので、最終的には価格が最大の決め手になりました。Lenovo社から提案いただいたThinkPadは、コストパフォーマンスでは定評のあるAMDプロセッサーを搭載しているだけあり、価格競争力が最も優れていると判断しました」
ただし同社では過去、AMDプロセッサーを搭載したPCを本格導入したことがなかったため、それまで利用し続けてきたIntelプロセッサー搭載PCと同様に使えるかどうか、若干の不安もあったという。特にソフトウェアの互換性については、念には念を入れて事前に確認しておく必要があると考え、Lenovoから借りた検証機を使って社内で利用されている主要なソフトウェアの動作検証を行った。
すべてのソフトウェアを検証することはできなかったものの、特にユーザー数が多い主要なアプリケーションについては一通り動作を検証した結果、AMDプロセッサー搭載PC上でも何ら問題なく動作することが確認できた。この検証結果を受け、同社は最終的にAMDプロセッサー搭載ThinkPadの正式採用を決めた。
実際の製品導入に当たっては、Lenovoがキッティング作業を請け負った。またPC本体以外にも、BluetoothマウスやPCケースといった周辺アクセサリもLenovoから調達することによって、ユーザーの使い勝手向上を図ったという。
こうして2021年4月より、同社の全国の拠点や施工現場において、AMDプロセッサー搭載ThinkPadの利用が始まった。前川製作所としてはAMDプロセッサー搭載PCの初めての本格導入となったが、現場のユーザーからはCPUの違いに起因するトラブルや使い勝手に関するクレームはほとんどなかったという。
「ユーザーにとっては、PCの中に入っているCPUがAMD製だろうがIntel製だろうが一切関係のない話ですから、両者の違いを意識せずに使えるのが当たり前だと思っています。そういう意味では、今回導入したThinkPadについてはまったく問題ないという認識です」
なおThinkPadの一括導入も、同社としては今回が初めてとなったが、その機能や使い勝手に関する課題が指摘されることもなく、現場にスムーズに定着しているという。
「個人的にはやはり、ThinkPadのキータッチはとても優れていると感じます。なおThinkPadの大きな特徴の1つであるポインティングデバイス『TrackPoint』に関しては、これまでThinkPadを本格導入したことがなかったためユーザーがまだ慣れておらず、使っているところもまだあまり見掛けませんが、とても便利な機能だと聞いているので今後使う人は増えてくるのではないでしょうか」
なお屋外の施工現場でPCを利用する一部のユーザーから、「ACアダプタから抜いた状態で利用する際、ディスプレイの輝度が不足していて画面が見にくい」という声が上がったが、AMDからの情報提供により、AMDが提供するグラフィック設定ツール「Radeon Software」を使ってディスプレイ設定を変更すれば解決できることが分かり、無事解決できたという。
なお前川製作所は、国内はもとより、海外でも広く事業を展開しているため、Lenovoのように世界中でビジネスを展開するグローバルメーカーからPCを調達するメリットは大きいという。同社には国内から海外拠点に出向する社員が一定数いるが、海外拠点で独自に調達したPCは英語配列のキーボードになっており、日本語配列に慣れた日本人ユーザーにとっては使いにくい。
「そのため、国内で利用していた日本語配列キーボードのノートPCをそのまま持ち込んで利用したくなりますが、国内メーカー製のPCが海外で受けられるメーカーサポートにはどうしても制約があります。その点、Lenovo社のようなグローバルメーカーの製品なら、世界中どこで使っていてもきちんとサポートを受けられるため、とても安心感がありますね」(小林氏)
なお同社では今後行うPC調達においても、やはりこれまで通り毎回複数メーカーが提示する提案の中から最も適したものを選んでいく予定だ。そのため今後も継続してLenovo製品やAMD製品が選ばれる続ける保証はないが、今回の導入を通じてAMDプロセッサー搭載PCに対する評価を新たにしたことで、今後の導入においても有力な選定候補の1つになるだろうと小林氏は述べる。
「今回の導入でAMDプロセッサーに対する不安のほとんどは払しょくされましたから、今後のPC調達においてもコストパフォーマンスに優れた提案があれば、積極的にAMDプロセッサー搭載PCの導入を検討していきたいと思います」
特に、半導体の供給不足により今後PC製品の価格が上昇していくと予想されていることを加味すると、AMD製品の高いコストパフォーマンスにかける期待は大きいと同氏は語る。
「世界のCPU市場では、やはりIntelさんがまだ多くのシェアを占めていますが、どんな市場でも1社が独占するのはあまり健全ではないと考えています。従ってAMD社にはぜひ今後もっとシェアを伸ばしていただき、Intel社と健全な競争を展開していただきたいと思います。これはPCメーカーの世界も同様で、Lenovo社も今後とも他のグローバルPCメーカーさんと切磋琢磨していただき、ぜひ私たちユーザーに高い価値を届けていただけるとありがたいですね」
「Lenovo社のThinkPadは、コストパフォーマンスでは定評のあるAMDプロセッサー を搭載しているだけあり、価格競争力が最も優れていると判断しました。」
株式会社前川製作所
コーポレート本部
ICT部門
小林 茂樹氏
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