「分離発注の成功体験により、ベンダーロックインの呪縛から解放されました。レノボ営業担当者が最適な提案と確実な納入で支援するなど、当院のチャレンジに親身になって対応してくれました。」
大津赤十字病院
事務部 医療情報課長 兼 情報システム係長 兼 診療支援係長
橋本 智広 氏
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導入事例
37の診療科と病床数684床の総合的医療機能に加え、高度救命救急センターを備え、基幹災害拠点病院としての役割を担う大津赤十字病院。「地域医療支援病院」「がん診療連携拠点病院」「総合周産期母子医療センター」「一次脳卒中センター」の承認・指定を受け、安心・安全の医療を提供し、滋賀県に地域貢献している。
そんな同院だが、電子カルテを含めた院内全域のITシステム・機器がリプレース時期を迎え、刷新の必要に迫られた。そこで、2020年にシステム刷新プロジェクトを発足させ、機器の検討を開始。当時について、大津赤十字病院 事務部 医療情報課長 兼 情報システム係長 兼 診療支援係長 橋本 智広 氏は以下のように語る。
「実は、これまでは端末導入において医療分野ならではの暗黙のルールがありました。それは、『医療システム、関連機器も含めベンダーを統一する』というものです。たとえば、電子カルテを導入したら、その提供メーカーと端末のメーカーを合わせなければならなかったのです。ですので、いままでは端末の選択肢は病院側にはありませんでした」(橋本氏)
多くの医療機関は、このような暗黙のルールに縛られていたが、最近になってベンダー側がその考えを見直したため、自由な端末選択が可能になったそうだ。だが代わりに、ベンダーが異なれば、端末のサポートを受けられなくなるという制約もできたとのこと。
「ベンダーによる端末のサポートはなくなりますが、今回のシステム刷新プロジェクトを機に、新しいシステム・機器は、コストを意識した形で適材適所になるように、複数のベンダーから選択したいと考え、病院をあげて対策に乗り出すことになりました。これまでは、ベンダーの仕組みに合わせることが優先されていましたが、そもそも電子カルテシステムとPCの対応OSが合致していたら問題なく利用できるはずです。そのため、いろいろなメーカーや機種から選択することで、当院に最適なPCは何かを模索するとともに、ベンダーロックインから脱却したいと考えていました」(橋本氏)
そこで、今回の大幅なシステム刷新においては、メーカーを1社に絞るのではなく、適材適所でメーカーごとに直接依頼をかける「分離発注」という方法が取られた。
機種選定に関しては、レノボを含むWindows PCベンダー5社に相談し、病院内で内覧会を実施。情報システム課に加え、医師、看護師、検査技師、薬剤師、事務など、総勢36名の多種多様な職種の責任者が参加し、そのうえでアンケートを取った。
「使い勝手や機能面、耐久性はもちろん、導入コストと保守サポートコストを合わせた全体評価で、一番優れていたのがThinkPadをはじめとしたレノボ製品でした。院内での使用ということで『省スペース性』『静音性』も評価ポイントになりました。機器の評価以外にも、病院関係者の疑問に対するレスポンスが素早いなど、レノボ担当者のきめ細かな営業対応も評価につながっています」(橋本氏)
このアンケート結果をもとに、2021年3月に大津赤十字病院はThinkPadなどのレノボPCを電子カルテシステムの端末とすることに決定。1000台近い端末の交換・納品ということで、下準備を含め計4ヶ月、総勢200名近い関係者を数える大きなプロジェクトになったが、オンラインコミュニケーションツールによる効率的な情報共有により、スムーズなPC入れ替えが実現した。
導入完了からまだ時間は経っていないが、端末の入れ替えによる効果は確実に表れ始めているという。特に、多い意見としてはPCのレスポンス向上だ。
「電源を入れてからの起動スピードが上がった、システムがサクサク動くようになったなど、PCそのもののレスポンスが向上したと、現場から喜びの声があがっています」(橋本氏)
ThinkVisionやThinkPadなど、筐体そのもののがスリムであるため、手狭だった机の上にスペースが生まれ、端末を置ける台数が増えた。なかには、省スペースになったことで、デュアルモニター環境を実現したユーザーもいるとのこと。
また、端末の導入コスト自体も削減されたことで、従来の台数から1割程度端末を増やすことができた。以前はPCの台数が少なかったことから、特に病棟での「PC待ち」が発生していたが、PCの増設により待ち時間が短縮された。
これにより、削減された待機時間を本来の業務に費やせるようになるなど、限られた予算内で端末台数を増やせたこと限られた予算内で端末台数を増やせたことも病院の働き方改革の推進にもつながっている。
レノボのサポート体制についても、従来と同様の品質のサポートを受けられているため、ベンダーが変わったからといって特に不満を感じる場面はないとのこと。また、初の試みとなる分離発注によって、次のリプレースに向けた指針を得られたと橋本氏は語る。
「システムベンダーとPCベンダーの分離発注を経験したことで、いままで見えてこなかった課題に気付くことができました。たとえば、キーボードのタッチ感覚など、細かな点にも配慮すべきだということがわかりました。次回のリプレースでは、実務に近い使用感を確認するなど、新たな評価軸で製品を検討しようと考えています」(橋本氏)
大津赤十字病院では、デジタルを活用したさらなる業務効率を図っていこうとしている。たとえば、院内で使われる書類のペーパーレス化もその1つだ。
「問診の際に紙が使われるなど、まだまだ紙文化が残っています。もしそれを電子化できれば、システムへの転記が不要になりますし、転記ミスや人の目によるチェック作業も減ることでしょう。また、データを病院システムとシームレスに連携することで、効率化な医療が実現できるかもしれません。
病院という特性上、まだまだ紙・ハンコ文化が根強く残るなどアナログの部分も多くありますが、効率化・自動化できる作業に関しては積極的にデジタル化していきたいと考えています」(橋本氏)
これからも大津赤十字病院では、ThinkPadをはじめとするレノボ製品を有効活用することで、患者に寄り添った医療を提供していくことだろう。
「分離発注の成功体験により、ベンダーロックインの呪縛から解放されました。レノボ営業担当者が最適な提案と確実な納入で支援するなど、当院のチャレンジに親身になって対応してくれました。」
大津赤十字病院
事務部 医療情報課長 兼 情報システム係長 兼 診療支援係長
橋本 智広 氏