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導入事例

株式会社デジタル・フロンティア

初の「AMD Ryzen Threadripper PRO」搭載ThinkStation P620の導入でMotionBuilder、Maya、UEなどの高負荷映像ソフトの作業効率を大幅アップ

導入について

コストパフォーマンスに優れる高性能ワークステーションで現場の要望を満たす

デジタル・フロンティアは、約200名の社員を擁し、コンピュータグラフィックス(CG)などのデジタル技術を活用し、映画、テレビドラマ、テレビCM、ゲームなどさまざまなジャンル・規模の映像作品を手掛ける企業です。

アジア最大規模のモーションキャプチャースタジオ「オパキス(OPAKIS Motion Capture Studio)」を運営していることでも知られています。また、2020年7月には、日活株式会社(以下、日活)とAOI TYO Holdingsとの共同でバーチャルプロダクション、バーチャル・ライン・スタジオ株式会社を創設し、日本最大規模の合成専用スタジオ「バーチャル・ライン・スタジオ」を、日活調布撮影所内に開設、2020年10月12日から営業をスタートさせています。

「バーチャル・ライン・スタジオは、新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響もあり、開設以降、引き合いが増え続けています。同様に当社のモーションキャプチャーの案件もコロナ禍を境に増大し、オパキスのほかにもう一つ、モーションキャプチャースタジオを設置しました」と、デジタル・フロンティア CG制作部モーションキャプチャー室 室長の越田弘毅氏(以下、越田氏)は明かします。

そうした同社では2019年、デザイン、モデリング、アニメーション、エフェクト、レンダリング、コンポジットなど、CG制作の工程を支えるワークステーションとして、レノボの「ThinkStation P720」を約100台導入しました。以来、ThinkStation Pシリーズを高く評価してきた同社は2020年12月にも追加で32台を導入しています。


今回、同社が選択したPシリーズの機種は、CPUに「AMD Ryzen Threadripper PRO」(最大64コア/以下、Threadripper PRO)を採用し、DDR4-3200 RDIMMメモリをサポートした「ThinkStation P620」です。アニメーション制作用に16コア搭載モデル30台、モーションキャプチャースタジオと、バーチャル・ライン・スタジオ株式会社に32コア搭載モデルを1台ずつ導入し、それぞれの制作現場で活用しています。

ThinkStation P620を導入した経緯について、CG制作部プロダクションマネジメント室 室長の舟橋俊氏(以下、舟橋氏)は、次のように説明します。

「もともと2021年4月以降の1年間で更改のタイミングを迎える約50台のワークステーションを新機種にリプレースする予定でした。その中で、CGアニメーションの制作部門から2020年11月に受注した案件をこなすために高性能なワークステーションが2020年内にも必要との要望が上がり、計画を前倒しするかたちで急遽32台を導入することになり、結果として選定したのが、ThinkStation P620でした」

新機種の選定に当たっては、他社製品も含めていくつかの機種を比較検討の土俵に上げたといいます。その中でThinkStation P620を選定したのは性能が高く、かつコストパフォーマンスに最も優れていたことと、アニメーション部門が制作に使うアプリケーションが問題なく稼働することが検証で確認できたことです。同社のアニメーション部門では主に、オートデスク社の「MotionBuilder」「Maya」やアドビ社の「Adobe After Effects」を制作に使用しています。

「ThinkStation P620は、スペックとコストパフォーマンスの両面で当社の要件に最もフィットしていたのですが、唯一、Threadripper PROでアニメーション部門が使うアプリケーションが問題なく動作するかどうかが不安でした。その不安が検証によって解消できたので導入を決めたわけです。アニメーション部門の要求に対応するには、2020年内には製品を納入してもらうことが必須で、検証も大急ぎで行う必要があったのですが、レノボは当社の問い合わせから2日程度で検証機を貸し出してくれました。その迅速な対応がなければ、ThinkStation P620導入には踏み切れなかったかもしれません」(舟橋氏)。

バーチャル・ライン・スタジオでもThinkStation P620をフル活用

舟橋氏の話からもわかるとおり、今回導入されたThinkStation P620は主にアニメーション部門で使われ、32台中30台が同部に貸与されています。そして、残る2台のうち1台は、モーションキャプチャー室に導入され、もう1台は前述したバーチャル・ライン・スタジオで使われています。

同スタジオでは、Zero Density社のリアルタイム合成システム「Reality」やEpicGames社のリアルタイム3D制作プラットフォーム「Unreal Engine」などが使われていますが、「ThinkStation P620はそれらを稼働させるメインのワークステーションとしてフルに活用されています」と、越田氏は説明します。


Mayaの処理が2倍に高速化Unreal Engineのデータ処理スピードも10倍に

舟橋氏によれば、ThinkStation P620の導入によってアニメーション制作の処理スピードは大幅にアップしているといいます。例えば、Mayaによるリアルタイム3Dアニメーションの処理スピードが、FPS(フレーム/秒)値で倍以上に引き上げられていると舟橋氏は指摘します。

「Mayaの機能はすべてがマルチスレッドに対応しているわけではなく、その処理性能を上げるにはコアのクロック周波数が高いワークステーションの導入が必要で、ThinkStation P620 を選んだ理由の1つも、Threadripper PROのクロック周波数が4GHz超と非常に高かったからです。その選択が実際の効果に結びついたかたちです。また、Threadripper PROはコア数も多いので、ThinkStation P620はレンダリング処理の高速化にも有効であると期待しています」


一方、モーションキャプチャー室では、ThinkStation P620を主としてリアルタイムキャプチャーをUnreal Engineへ同期出力するために導入しています。

「ThinkStation P620によって、Unreal Engineによるリアルタイムキャプチャーの処理がかなりスピードアップできると期待しています」と越田氏は語り、こう続けます。

「当社のモーションキャプチャー室に先立つかたちで、バーチャル・ライン・スタジオではThinkStation P620を使い、リアルタイムキャプチャーを行っています。これにより、他社製のPC(6コアのCPUを搭載したPC)が30分もの時間を要していたデータ処理(データを開く処理)を、32コアのThinkStation P620では3分で完了できるとの結果が得られています」

越田氏によると、Unreal Engineでは最初にデータを開く際に「シェーダーコンパイル」と呼ばれる非常に重い処理が走るうえに、Unreal Engineのデータは1つで数GB(ギガバイト)になるものも多く、ゆえにCPUのコア数の少ない機種ではデータを開くだけでかなりの時間を要することになるといいます。

また、Unreal Engineでは、データを開き作業を進めている途中にコンパイルの処理が必要とされ、その処理にもかなりの時間がかかり、上述した他社製PCの場合、一晩をかけて処理をバッチで実行しても処理全体の70%程度しか完了できていないことがあったようです。それに対してThinkStation P620であれば、そうしたコンパイル処理も数時間で完了できるはずと、越田氏は期待を寄せます。

デジタル・フロンティアでは先に触れた当初計画のとおり、2022年3月までに20台弱の新たなワークステーションの導入を進める予定であり、それらも基本的にはThinkStation P620で一本化する方針であるようです。その点を踏まえつつ、舟橋氏は次のように話を締めくくります。


「4K、8Kの時代になり、CG制作の現場で取り扱うデータ量は猛烈な勢いで増えつつありますが、その流れにワークステーションの性能が完璧に追随できているかといえば、そうとは言い切れないのが現実です。したがって大切なのは、可能な限りハイスペックな製品を、性能とコストのバランスを取りながら導入することで、ThinkStation P620はその考え方にまさに合致した製品であると見ています。これからも、この製品をCG制作の基盤強化と最適化に役立てていくつもりです」


「ThinkStation P620は製品としての絶対性能とコストパフォーマンスに優れていますが、製品に付随するレノボの営業・サポートの品質も特筆に値するものです。それがあるからこそ、Threadripper PROのような新しいテクノロジーも安心して使えると言えます」

株式会社デジタル・フロンティア
CG制作部 プロダクションマネジメント室 室長
舟橋俊氏

「ThinkStation P620が採用するThreadripper PROは64コア/128スレッドと処理能力が高く、コアのクロック周波数も4GHz超と高いので、レンダリングやリアルタイム処理で大きな速度向上が期待できます」

株式会社デジタル・フロンティア
CG制作部 モーションキャプチャー室 室長
越田弘毅氏

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  • ThinkStation P620

    最大64コア/128スレッド対応のAMD Ryzen Threadripper PRO プロセッサー搭載。さらにハイエンドグラフィックスNVIDIA® Quadro® RTX8000も選択でき、解析やレンダリング、映像編集などの業務に優れたパフォーマンスを発揮します。

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