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導入事例

理研計器株式会社

複雑な構成の仮想化基盤をLenovo製のHCI製品で一気にシンプルに

導入について

見えてきたTraditional仮想化基盤でのメンテナンス性や運用効率、拡張性などの課題

理研計器株式会社(以下、理研計器)は、国内最大の産業用ガス検知・警報器のメーカーで、産業用ガス検知・警報機市場において約7割のシェアを占めるとともに、近年ではグローバル市場における存在感も高めつつある企業だ。

そんな同社では約5年前から、社内で使われている各種業務システムを、仮想化基盤の上で運用している。2020年9月までは、アプリケーションサーバーとSANスイッチ、そして共有ストレージ装置といういわゆる「3層構造」のシステム構成に、VMwareの仮想化ソフトウェアを組合せて、データベースを除くほぼすべての基幹システムを仮想化基盤の上で稼働させていた。

このシステム構成でも比較的安定的にシステムを運用できていたものの、やはり長く使い続けるにつれさまざまな課題が露呈してきたという。理研計器 管理本部 情報システム課 課長 木村公胤氏によれば、特に各製品の開発元ベンダーが異なることに起因するメンテナンス作業やトラブル調査作業の煩雑さには、頭を悩ませていたという。

「ファームウェアやソフトウェアのアップデートをはじめとするメンテナンス作業を製品ごとに個別に行わなければならず、とても手間が掛かるだけでなく、もしトラブルが発生した際に原因を切り分ける作業も一苦労でした。また製品ごとにサポート窓口が異なるため、トラブル発生時にあるベンダーの窓口に問い合わせても他の製品のせいにされる、いわゆる『たらい回し』に遭ったこともありました」

システムの拡張性の面でも課題があった。各システムで管理するデータの量が、5年間で約2.5倍にまで膨れ上がっており、ストレージの容量やデータベース/サーバーのスペックに対する要求が高まっていた。そのため、データ容量や処理性能をもっと柔軟に拡張できる仕組みが求められていた。

「ThinkAgile HX3320」をベースにしたNew Normal仮想化基盤であるHCIアーキテクチャを採用

そこで製品の保守切れを機に、思い切ってシステム基盤を刷新することになった。複数のベンダーから提案を募った結果、従来通りの「3層構造+VMware」構成や、近年注目を集めるHCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品を使った構成などさまざまな提案を受けたが、その中から同社が最終的に選んだのがLenovo製のHCIサーバー製品「ThinkAgile HX3320」(以下、HX3320)を使った構成だった。

HX3320は、Lenovo製のサーバーハードウェアと、Nutanix社のHCIソフトウェアを組み合わせたHCI向けサーバー製品。独自のストレージ仮想化技術により、複数のサーバーノードの内蔵ディスクを論理的に束ねて単一のストレージプールを形成し、アプリケーションから利用可能にする。共有ストレージ装置やSANスイッチといったハードウェアを必要とせず、サーバーノードだけですべてのシステム構成要素をカバーできるため、運用性や拡張性に極めて優れる。

木村氏は、複数の選択肢の中から最終的にHX3320を選んだ理由について、次のように説明する。

「従来の3層構造とは異なり、HX3320はサーバーとストレージ、SANの要素を1つにまとめた『1層構造』なので、メンテナンスや運用が極めてシンプルになると考えました。またサポート窓口もLenovoに一本化されるので、たらい回しに遭う心配もありません。さらには、システムのキャパシティが不足してきたら、サーバーノードを追加するだけでディスク容量と処理性能を動的に拡張できるので、弊社が抱える課題を解決する上で最適なソリューションだと判断しました」

加えて、他のメーカーのHCI製品と比べ、内蔵ディスク1基当たりの容量が大きく、システム全体のノード数を少なく抑えられる点も決め手の1つになった。

こうしてHX3320の採用を正式に決めた同社は、2020年11月に導入プロジェクトを立ち上げ、途中コロナ禍に伴いリモート作業を強いられたものの、2020年9月には本番稼働にこぎ着けることができた。木村氏によれば、予期せぬリモート作業が発生した以外は、概ねスムーズに導入作業を進めることができたという。

「導入前は、もともとVMwareの仮想化環境上で動いていたアプリケーションがきちんとNutanixの仮想化環境上で動くかどうか、少し不安でした。しかし実際にV2V移行を行ってみたところ、特に問題なくほぼすべてのアプリケーションがNutanix上で動くことを確認できました」

なお実際の導入作業は、同社のパートナー企業である東京日産コンピュータシステム(TCS)が主に担当し、理研計器の担当者とWeb会議やリモートデスクトップを通じて密接に連携を取りながら作業を進めていった。理研計器側の担当者として作業に当たった管理本部 情報システム課 吉田圭佑氏は、当時を次のように振り返る。

「ハードウェアを設置して以降は、基本的に弊社側もTCSさん側もリモートで作業を進め、どうしても物理的な対応が必要な場合は私がマシンルームに直接出向いて作業を行いました。プロジェクト立ち上げ当初の主力メンバーが途中で抜けてしまい、不安な面もあったのですが、TCSさんの担当者の方に手厚く支援していただいたおかげでスムーズに作業を進めることができました」

3層構造から1層構造への移行でシステムの可視性・運用性が大幅に向上

こうして2020年5月、まずは先行して一部のシステムの稼働をHX3320のHCI基盤上でスタートし、同年9月にはすべての基幹システムの稼働を開始した。現在、財務会計や人事、販売管理、社内グループウェアなど、同社で利用されるほぼすべての基幹システムおよび情報系システムがこの新たな基盤上で稼働している。

3層構造からHCIの1層構造へと、大胆なシステムアーキテクチャ変更を敢行したにもかかわらず、現在のところトラブルはほぼ皆無だという。また導入前は「システムの処理性能が低下するのでは?」という懸念もあったが、それも杞憂に終わったと木村氏は述べる。

「かつては高価な共有ストレージ装置を使っており、また今回の移行でデータベースサーバーも物理環境から仮想環境上に移行したため、データベース性能が低下するのではないかという懸念がありました。しかしディスク構成やデータ圧縮処理などに工夫を凝らした結果、性能は低下するどころか、むしろ約30%向上しました」

また吉田氏によれば、かつてサーバーとストレージ、仮想化ソフトウェアでそれぞれ個別に管理作業を行っていたころと比べると、システム管理の作業効率は明らかに向上したという。

「以前は何か問題が起こると、まずサーバーの管理コンソールを開き、そこで問題がなければストレージの管理コンソールを開き、そこで何も見付からなければ次は仮想化ソフトウェアの管理ツールといった具合に、複数のツールをいちいち使い分ける必要がありました。しかしHX3320を導入した後は、Nutanixの管理ツールさえ開けばすべてのハードウェアとソフトウェアの状態が一目で把握できるため、管理作業の効率が大幅に向上しました」

またソフトウェアのアップグレードを行う際も、システムを停止することなくNutanixの管理ツール上から簡単に実行できるため、システム全体のメンテナンス性も大幅に向上した。さらには、DRサイト上にまったく同じ構成のシステムを組み、Nutanixのリモートレプリケーション機能を活用することで、万が一の際にDRサイト上で本番サイトとまったく同じシステム環境を素早く立ち上げられるBCP体制も構築できたという。

「現状、DRサイトに設置したHX3320は待機しているだけなのですが、今後はこれを平時に稼働させて有効活用するような使い方も検討していきたいと考えています。今後は、これまで管轄外だった工場系のシステムなどもこの基盤上に載せていく計画もあり、HX3320の活用範囲はこれからどんどん広がっていく予定です。そのためLenovoさんにはぜひこれまで通り、手厚いサポートをお願いできればと思います」(木村氏)

  • 本社:東京都板橋

  • 開発センター(左側)/生産センター(右側):埼玉県春日部市

パートナーの声

理研計器の「若い力」とともに先進的な取り組みを推進していく

理研計器の情報システムの構築・運用を長年担当してきたTCSは、今回のプロジェクトを次のように振り返る。

「LenovoのHCI製品で基幹システムの基盤を刷新したことで、長年お客様が抱えていたシステム運用に関する課題が解決されたとともに、今回バックアップサーバーもLenovo製品に刷新したことでバックアップ運用の効率も大幅に向上しました。また今回のプロジェクトでは、お客様側のご担当者様がとても若い方で、弊社の若手エンジニアとともに先進的な技術に積極的にチャレンジした結果、大きな成果を上げることができました。理研計器様の情報システム部門にはとても有望な若い方々が揃っているので、弊社も今後ともぜひ一緒に先進的な取り組みを進めていければと考えています」

左より
東京日産コンピュータシステム(株) 天川正次氏
理研計器(株) 管理本部 情報システム課 課長 木村公胤氏
理研計器(株) 管理本部 システム課 吉田圭佑氏
東京日産コンピュータシステム(株) 大島靖雄氏


「従来の3層構造とは異なり、HX3320はサーバーとストレージ、SANの要素を1つにまとめた『1層構造』なので、メンテナンスや運用が極めてシンプルになると考えました。」

理研計器株式会社
管理本部
情報システム課
課長
木村公胤 氏

「Nutanixの管理ツールさえ開けばすべてのハードウェアとソフトウェアの状態が一目で把握できるため、管理作業の効率が大幅に向上しました。」

理研計器株式会社
管理本部
情報システム課
吉田圭佑 氏

この課題を解決した製品・ソリューション

  • Lenovo ThinkAgile HX3320

    信頼性と拡張性に優れたレノボのサーバーにNutanixのソフトウェアを搭載

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