導入事例
株式会社デジタル・フロンティア
高いセキュリティと低い帯域使用量が決め手に。 最先端のCG制作でも導入されるリモートデスクトップソリューション「TGX」
- 業種 情報通信
- キーワード モバイル活用 , ワークスタイル
- 製品カテゴリー ワークステーション
- 企業規模 中小企業のお客様(11〜999名)
導入について
250名のリモートワークを可能にした「TGX」の実力
数多くの企業がリモートワークへの移行を迫られる中、日本有数の3DCG制作会社デジタル・フロンティアでは4月7日(火)より全社員がリモート環境で制作を開始しています。デジタル・フロンティアは、子育てや介護など個々の社員の事情を鑑みて、2020年2月下旬からリモートワークの環境整備のテストを開始。
当初は各個人の回線環境を強化した上で、ゼロクライアントを用いたハードウェアベースのリモート環境を検討していましたが、回線工事の見通しが立たないことから断念。この代替としてソフトウェアベースのリモートデスクトップ環境の調査・検証を開始し、3月下旬に「TGX」に辿り着いたといいます。
「3月26日(木)からTGXをベースに、1日5~6人のペースでリモート環境の構築を進めていきました。これはいざというときのための準備でしたが、4月6日(月)に緊急事態宣言が発令予告されたことを受けて、急遽7日より全員に適用となりました。6日の時点では100人以上が未接続だったため、半数以上の社員は実質1日で移行したかたちになります」(舟橋 俊氏、以下、舟橋氏)。
TGXとは、国内ではレノボ・ジャパンが販売代理店となる、高いセキュリティと低い帯域使用量を兼ね揃えたリモートデスクトップソリューションです。ソフトウェアのインストールのみで準備が完了するため、レスポンスの速いリモートデスクトップ環境の構築が容易に可能で、ネットワークの帯域に関しても「フルHDの1画面を転送するのにわずか6~10Mbps程度で済む」というのが大きな強みです。
同社のように250名以上の従業員規模の場合、社内ネットワークのトラフィックから逆算した個々人の帯域幅は限られるため、TGXの低負荷と高い安定性は非常に役に立ったとのことです。
「センダーにはLenovo ThinkStation P720などのワークステーションを用いており、レシーバーは各個人の私用PCを用いてVPN接続しています。Windows 10のリモートデスクトップよりもレスポンスが良く、画面を送っているだけという関係上、起動しないソフトウェアもありません」(倉地 忠彦氏)。
センダーとなるPCは、デジタル・フロンティアに昨年100台ほど導入された Lenovo ThinkStation P720(Intel Xeon Silver 4114プロセッサ、メモリ64GB、GeForce RTX 2080 Ti搭載機種 ※)などであり、シングルディスプレイをストリーミングしながら3DCGの実作業を行うには十分なスペックとなります。レシーバー側の端末はまちまちですが、クライアントによっては「私物PCの使用は禁止」といったガイドラインが設定されているため、各社の規定をきちんとクリアした対応を行なっています。
※ 株式会社アスク オリジナルカスタマイズモデル
セキュリティの重要性とリモートワークのこれから
コンテンツ制作を行う企業にとって、リモートワークにおけるセキュリティは非常にセンシティブであり重要なファクターです。TGXはセキュリティ面も優れており、これが同社への導入の決め手のひとつになっていたといいます。
企業にとって最も恐れるべきはローカル環境へのデータの持ち出しですが、TGXはシステムとしてこれを不可としているほか、文字列や画像データのコピー&ペーストですら設定で禁止することもできることから、完全に「センダーをリモートで動かす」以外の要因を排除できます。
「他のツールであれば自宅にデータ転送できてしまいますが、TGXはそのような機能がありません。あくまで画面を見るのみであるため、セキュリティ的には非常に安全と言えると思います」(森田 誠氏)。
同社ではチャットツールにもオープンソースのRocket.Chatを用いており、社内サーバで運用を行なっているため、原則として社内LAN以外に情報が存在することはありません。
一方で、リモートワーク特有の課題もあります。想像がしやすいのは、全員が同じ色味の大きなディスプレイで作品をチェックをすることができないことです。クライアントのレビューも同様で、基本的な使用では全く問題ありませんが、たとえばリップシンクの関係でフェイシャルの作業など、音ズレにシビアな一部のユーザーについてはリモートが難しい場合もあります。
同社では平常時と比較して「平均で80%以上稼働できている」という報告も上がっていますが、各セクションの効率化にはバラツキがあることが今後の課題となっています。
ただ、舟橋氏は、今後事態が収束したあともリモートワーク推奨の動きは進行するだろうと予見しています。各個人のネットワーク環境に極力依存しない低帯域かつレスポンスの良いリモートデスクトップ環境の構築と、ローカル環境やクラウドにデータをいっさい残さないセキュリティの両立を可能とするTGXのニーズは今後さらに高まっていくはずです。
About TGX
TGXはMechdyne社が開発するリモートデスクトップソリューションで、国内ではレノボ・ジャパンが販売代理店となります。GPUを用いてエンコードを行うことで、CPUベースの他社製品よりも効率的にストリーミングを圧縮できており、6~10Mbpsという低帯域でも安定して動作可能な点が特徴です。
4K解像度@60Hzをサポートし、最大で4K×4画面まで対応するほか、レシーバー側のUSBインターフェイスを認識し、液晶タブレットの筆圧なども検知可能となっています。一般的なリモートデスクトップとは異なり、コピー&ペーストの可否などのセキュリティ設定が可能で、レシーバー(ローカル環境)にデータを移行できないという点がセキュリティ的にも優れています。
Sender
TGXはセンダー、レシーバーそれぞれにソフトウェアをインストールすることで設定が完了します。センダーとはストリーミングを送信するマシンのことで、デジタル・フロンティアにおいては普段開発に使用されている「Lenovo ThinkStation P720」などのワークステーションを指します。
要求スペックはIntel CoreもしくはXeonプロセッサ、メモリ8GB、NVIDIA Quadro P1000以上となっており、OSはWindows 10とLinuxに対応します。なお、ヘッドレスモード(センダー側にディスプレイを接続せずにストリーミングの送信が可能になるしくみ)に対応するのはQuadroのみで、GeForceは未対応のため、用途に応じてGPUを選択する必要があります。
Receiver
レシーバーはストリーミングの受信側のことで、要求スペックは第7世代Intel Core i5、メモリ8GB、Intel内蔵グラフィックスとなります。レスポンスの良さはインターネット通信速度に依存しますが、他社製品と比べて低帯域で通信可能なため安定性は高いです。
ハイスペックな端末でなくとも通信可能ですが、4K複数画面などに対応する場合はNVIDIA Quadro P1000以上のGPU搭載機種が望ましいです。なお、一部の制限があるものの、レシーバー側はWindows 10、LinuxだけでなくmacOSでも動作可能です。
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