「CG制作は、制作環境の性能によって生産性が大きく左右されるので、ワークステーションの性能に対する現場の要求は常にシビアです。ThinkStation P720は、そうした現場のニーズを、向こう5年間は満たすことのできるワークステーションだと見ています」
株式会社デジタル・フロンティア
CG制作部 モーションキャプチャー室 室長
越田弘毅氏
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導入事例
導入支援体制と製品供給能力が決め手に。 CG制作用ワークステーションを「ThinkStation P」シリーズにリプレース
デジタル・フロンティアは、コンピュータグラフィックス(CG)などのデジタル技術を活用した映像制作を目的に、大手テレビCM制作会社の一部門が独立するかたちで2000年に設立された企業です。設立以来、映画、テレビドラマ、テレビCM、ゲーム、遊技機など、さまざまなジャンル/規模のCG映像制作を手掛けてきました。
そうした同社にとって、ワークステーションは欠かすことのできないITです。デザイン、モデリング、アニメーション、エフェクト、レンダリング、コンポジットなど、CG制作のすべての工程は、ワークステーション上で処理されています。そのため、社内標準機として用いているワークステーションを新機種にリプレースする際には、機種選びに慎重を期しているといいます。
「CG制作の現場では、ワークステーションの処理性能や使い勝手の良さ、使ったときの快適さが、生産性に直結します。また、世の中のハードウェアが進化するのと比例するように、ワークステーションのスペックに対する現場の要求は高まり続けます。ですので、社内のワークステーションを新たに選ぶ際には、現時点の要求を満たすというよりも、テクノロジーの先行きを見据えながら、ベストの製品を選ぶよう心掛けています」(CG制作部 プロダクションマネジメント室 室長 舟橋俊氏)。
デジタル・フロンティアでは、社内のワークステーションについて導入からおよそ5年をメドに新機種へのリプレースを行っています。2019年には、これまで使用していた合計約100台のメインワークステーションが保守サポートの期限を迎え、新機種へのリプレースが必要とされました。
その機種選定に当たり、同社がまず重視したのは、向こう5年間にわたってCG制作の全工程を支えうるハイスペックのワークステーションを導入することです。
「旧来のメインワークステーションも、5年前の時点ではかなりハイスペックの製品でした。それでも、CG制作の現場で使い続けていると、ソフトウェア起動時における待機時間や処理速度の面で次第に問題を発生させるようになり、グラフィックスの処理能力については、リアルタイムのレンダリングエンジンや一部のソフトウェアでの使用において限界に達していました。
ですから、今回の新機種の導入に際しては、5年後も制作現場の業務に負の影響を与えないような、可能な限りハイスペックなマシンを求めました」(CG制作部 モーションキャプチャー室 室長 越田弘毅氏)。
また、CG制作の作業工程においてよくある「人の異動」にも柔軟に対応でき、ワークステーションの運用管理を効率化すべく、ワークステーションのスペックは可能な限り、画一化して、そろえることにしたといいます。
新ワークステーションのスペックを決定したデジタル・フロンティアは、続いてワークステーションの機種選定を実施しました。大手メーカーの製品を中心に、BTOメーカー製品も含めて入念に比較検討を行いました。
「この比較検討を通じて最初に決めたのは、大手メーカーの製品を採用することです。大手メーカーの製品は、パーツ故障時などにおける保守サポート体制が確立されています。ですので、当社としても運用管理しやすくなると考えました」(舟橋氏)。
こうしてデジタル・フロンティアは、大手メーカー各社に対し、要求スペックに基づく見積りの提出を要請、その結果として選んだのがレノボのワークステーション「ThinkStation P720」でした。
今回の機種選定において、高く評価したのが、レノボの営業部門による導入支援体制です。
「レノボは、デモ機の貸し出しやカスタマイズの相談に柔軟に対応してくれたので、導入前の検証作業を存分に行うことができました。そうしたメーカーとしてのレノボの対応の良さも、ThinkStationの採用決定に大きく作用したと感じています」と、舟橋氏は語り、こうも続けます。
「もう一つ、レノボのメーカーとしての力強さを実感したのは、製品供給能力の高さです。レノボでは、当社のThinkStation P720採用決定から約1カ月で、導入する100台全台の納入が可能になるよう手配してくれました。実際の導入は、当社側に一度に大量の台数を受け入れる体制が用意できないため、2週間間隔で数回に分けて分納してもらいましたが、分納の場合でも、取り置きの費用が別途かかることはありませんでした。しかも、保守サポートの開始日は、マシンの設置後に使用を開始した時点からです。この当たりの行き届いた配慮にも感心させられました」
ちなみに、約100台のワークステーションの中には一部初期不良があったといいます。「ただし、その際にも迅速な交換対応が行われ、運用開始後は故障がほとんど発生していません」(舟橋氏)。
ハイスペックのThinkStation P720を採用したこともあり、デジタル・フロンティアではすでにさまざまな効果が手にしているといいます。
「制作現場にとっての最大の効果は、データ処理の高速化です。M.2 SSDの採用によってOSが高速化しただけでなく、ローカルディスクに対するデータの読み書きに長く待たされることがなくなりました。
CG制作で取り扱うデータ量は年々増大の一途をたどっています。その意味でも、ThinkStation P720による高速化の意義は大きいと思います」(越田氏)。
また、同社の場合、夜間の空き時間を利用して、レンダリングのバッチ処理もワークステーションで行っています。ThinkStation P720によって、このバッチ処理に要する時間も短縮できるようになり、1日に実行可能なレンダリング処理のキャパシティもアップしています。
「近年では、グラフィックスソフトウェアのライセンス料金が高騰しており、レンダリングなどのソフトウェアを動作させるワークステーションの台数は、可能な限り少なくしたいというのが本当のところです。ThinkStation P720導入後、リプレース前のワークステーションと比較してCPUのベンチマークが2.5倍向上しました。この処理能力を活用すれば、業務効率が向上することはもちろんのこと、レンダリングやシミュレーションを実行するワークステーションの台数を減らし、ライセンス費用が低減できると期待しています」(舟橋氏)。
デジタル・フロンティアでは今後、社内ネットワークの通信速度を現在の1Gbpsから10Gbosへと押し上げるなどのインフラの整備をさらに進めていくといいます。また、ワークステーション本体については将来的に、ローカルストレージのSSD化を推し進めたいと、舟橋氏は明かします。
「今回のリプレースでは、ソフトウェアの起動ドライブのみにM.2 SSDを採用し、データ用には引き続きハードディスクを採用しています。というのも、映像業界では、4K・8Kなどの高解像度映像のニーズが高まっており、そうした映像素材を扱うにはSSDでは難しいという判断が働いたためです。ただし今後は、SSDの大容量化・低価格化がさらに進むことになるでしょうから、将来的にはデータ用のローカルストレージにもRAID構成のSSDを採用するつもりです」
CG制作の環境整備の取り組みには終わりはなく、制作の現場では、性能のさらなる向上を絶えず求めているといいます。その要求にこたえるためのデジタル・フロンティアの取り組みを、レノボはこれからも最新のテクノロジーによって支えていきます。
「CG制作は、制作環境の性能によって生産性が大きく左右されるので、ワークステーションの性能に対する現場の要求は常にシビアです。ThinkStation P720は、そうした現場のニーズを、向こう5年間は満たすことのできるワークステーションだと見ています」
株式会社デジタル・フロンティア
CG制作部 モーションキャプチャー室 室長
越田弘毅氏
「今日のワークステーションの性能は、メーカーによってそれほど大きな開きがあるわけではありません。だからこそ重要なのが、ユーザーのニーズや課題に対するメーカーの対応能力であり、スピードです。その点で、レノボと他のメーカーとでは相応の開きがあると感じています」
株式会社デジタル・フロンティア
CG制作部 プロダクションマネジメント室 室長
舟橋俊氏
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