医療の現場で利用される端末は、些細な問題でも現場からのクレームの対象になります。そうしたクレームが一切ないのは、レノボ製品の品質と使い勝手が優れていることの証明だと感じています。
石巻市立病院 医療技術部長 薬剤科部長
片山 潤 氏
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導入事例
2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、宮城県石巻市は大打撃を受けました。震度6強の揺れと高さ8.6メートルの津波に襲われた同市では、3,000余名の方が犠牲となり、全壊した建物も2万棟を超えています。市の中核的な医療機関として機能していた石巻市立病院も、大津波により建物の1階部分が壊滅的な被害を受け、以降の約5年半、仮診療所での医療活動を余儀なくされたのです。
その石巻市立病院が、JR石巻駅前に新病院として再建され、開院したのは2016年9月1日のこと。この日から、被災地域における医療復興のシンボルとして診療をスタートさせました。
同院の診療科目は、内科・外科・整形外科・放射線診断科・麻酔科・リハビリテーション科の計6科。石巻赤十字病院をはじめとする地域の医療機関と連携しながら、総合病院としての医療のほか、在宅医療・緩和ケア医療にも取り組み、地域における切れ目のない医療体制の一端を担うことをミッションとしています。
新・石巻市立病院の病棟は、耐震・免震構造を採用した地上7階建てで、病床は140床(うち20床は緩和ケア病床として整備)に、療養病棟40床。屋上には、患者や医師などの緊急搬送用ヘリポートも備え、「万が一の震災時に孤立しても、市民を収容し、医療を継続できるような備えを整えています」と、同院の医療技術部長 薬剤科部長、片山 潤氏は語ります。
新・石巻市立病院では、開院に向けて、ITとネットワークの基盤(以下、「ICTインフラ」と呼ぶ)を一から構築する必要がありました。そこで、仮診療所にいた旧・石巻市立病院のスタッフは、ITコンサルタントの協力を仰ぎながら、新病院に導入するICTインフラの要求仕様を固めていきました。検討の後、医療情報システム構築業務事業者選定公募型プロポーザルなどの手続きを経て、電子カルテシステムは株式会社ソフトウェア・サービスが、その基盤となるネットワークやサーバー、ストレージ、端末などはアライドテレシスがトータルで導入することと決定しました。アライドテレシスの提案は、ネットワーク機器はもとより、院内ケーブル配線、電子カルテのサーバー基盤、PC、プリンタ、デジタルサイネージ、さらには無線LANに至るまで、すべてを一元的に導入し、石巻市立病院の負担を大きく軽減するものでした。
「他ベンダーの提案の中にも、アライドテレシスのそれと同様のものもありました。ただ、システム・ベンダーをメインのソリューション・プロバイダーにした場合、ネットワーク部分の構築・保守はネットワークに強い他ベンダーが請け負う格好となり、結果的にICTインフラの問い合わせ先が複数に分かれ、我々の負担が増すという懸念がありました。その点、ITとネットワークに精通するアライドテレシスならば、必要なICTインフラのすべてを、ワンストップで任せられると考えたのです」と、石巻市病院局 経営企画室長 兼 石巻市立病院 医療情報管理センター副センタ—長、中村仁美氏は振り返ります。
こうして、アライドテレシスを選定したのち、中村氏らは、新病院の設計図面を参照しながら、PCやネットワーク機器の詳細な台数・配置を決めていきました。そして2016年7月、建設を終えた新病院への機器導入・設置の作業を始動させ、開院へと至っています。
「さまざまな事情から、ネットワーク工事や機器設置の開始時期が後ろ倒しになり、短期間でのインフラ構築が必要となりました。にもかかわらず、全システムの本番運用を開院に間に合わせられたのは、アライドテレシスの豊富なノウハウと手厚い技術支援のおかげだと強く感じています」(中村氏)。
新・石巻市立病院のICTインフラはWi-Fiアクセスポイントを含む各種のネットワーク機器と250台強のPC(ノートPC/デスクトップPC)、デジタルサイネージ、さらには、電子カルテシステムのサーバー基盤などから構成されています。
このインフラは、アライドテレシスのインターネットVPN「アライド光」を介して石巻市の医療機関である4つの医療機関(石巻市立病院開成仮診療所、石巻市立牡鹿病院、石巻市雄勝診療所、石巻市寄磯診療所)にも接続されており、各診療所から、石巻市立病院の電子カルテシステムなどにアクセスし、その機能が利用できる仕組みが構築されています。
加えて、院内のネットワークは、回線の冗長化やデータの暗号化、アクセス制御など、高い安全性と可用性を担保する仕組みが適用されており、そのうえで、看護師などが手持ちのノートPCを通じて、院内のどこからも必要な情報にアクセスするための無線LAN環境が整備されています。さらに、アライドテレシスでは、監視センター(「Net.Monitor」)による24時間365日のネットワーク監視サービスも提供し、保守サポート窓口をアライドテレシスに一元化、運用の効率化も図っています。
こうした高信頼・高可用な医療情報系ネットワークを成す重要なピースとして機能しているのが、レノボのサーバーであり、PCです。
たとえば、電子カルテのサーバー基盤には、メイン系/サブ系合わせて3台のレノボ製サーバーが利用されています。具体的には、メイン系には2台の「System x3650 M5」が利用され、サブ系では1台の「System x3500 M5」が採用されています。また、メイン系・サブ系ともに、マイクロソフトの「Hyper-V」による仮想化環境が構築されており、このうちメイン系の2台のサーバーはクラスタによる冗長構成をとっており、それによって電子カルテシステムの可用性が担保されています。
一方のPCについては、医師や看護師、事務処理スタッフなどが利用するデスクトップPCとして203台の「ThinkCentre M73 Small」と、2台のタワー型PC「ThinkStation P300 Tower」が導入されています。また、看護師などが各病室へ携帯して利用するノートPCについても、68台の「ThinkPad L540」が導入されています。加えて、診察待受表示モニター(デジタルサイネージ)用の端末には、「ThinkCentre M73 Tiny」が用いられています。
言うまでもなく、医療業務を支えるサーバー/PCは、信頼性・堅牢性・可用性のすべてについて優れていなければなりません。
たとえば、電子カルテのサーバーが長時間ダウンし、入院患者に対する適切な診療・看護、投薬などが滞るとすればどうでしょう。そうなれば、患者の生命にかかわる重大事に発展しかねません。また、看護師が携帯するノートPCについても、頑丈でパフォーマンスや使い勝手に優れたものでなければならず、障害を頻出させるようなPCでは、忙しく患者の看護に当たる看護師の業務に支障をきたすおそれが強まります。
ならば、このようなミッション・クリティカルな要件を充足しうるサーバー/PCはどのベンダーの製品なのか──。アライドテレシスは、新・石巻市立病院へ最良のソリューションをともに提供しうるサーバー/PCベンダーを検討しました。その結果、出した結論が、レノボをパートナーとして選び、レノボ製品でサーバー/PCを統一することです。
同社が、その結論に至った理由の一つは、これまでレノボを含む複数ベンダーの製品を扱ってきた経験から、レノボ製品の品質の高さを深く理解していたからです。
また、製品のみならず、レノボの営業担当者・SEによる柔軟、迅速、かつ的確な支援や、障害発生時の対処の品質・スピード、さらには、保守サポートの品質などを高く評価していたことも、レノボ選定の大きな理由です。
アライドテレシスのレノボ選定の判断は、実際の成果に結びついています。石巻市立病院の中村氏は、新病院の開院以降、サーバーについての大きなトラブルは一切発生しておらず、PCについても、「これといった問題は見られていません」とし、こう続けます。
「PCに関して若干の障害がいくつかあったようですが、保守要員がオンサイトですぐに対処してくれるので、いわゆる“問題”には発展していないのです」
この言葉を受け、片山氏はこう付け加えます。 「PCについては、些細な障害や使い勝手の悪さがあると、すぐに現場からクレームが寄せられるのが通常です。その中で、問題発生のクレームが一切ないのは、ハードウェアの品質の高さや使い勝手の良さ、そして保守サポートの品質の高さによるものと考えています。サーバーについても、その存在を忘れてしまうくらい、安定稼働を続けてくれています」
大震災後の苦難を乗り越え、復興と新たな発展のときを迎えた、石巻市立病院。その医療の現場を、高信頼のネットワークとレノボのサーバー、PCがこれからも支え続けます。
医療の現場で利用される端末は、些細な問題でも現場からのクレームの対象になります。そうしたクレームが一切ないのは、レノボ製品の品質と使い勝手が優れていることの証明だと感じています。
石巻市立病院 医療技術部長 薬剤科部長
片山 潤 氏
PCのトラブルがあっても、すぐに保守要員がオンサイトで対応してくれる。現場で医療を支えるスタッフにとって、これは非常にありがたいことです。
石巻市病院局 経営企画室長 兼 石巻市立病院 医療情報管理センター副センタ—長
中村 仁美 氏
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