Lenovo Converged HX1310の導入と運用管理を通じて、ハイパーコンバージドインフラストラクチャを“採用しないデメリット”が、いかに大きいかが痛感できました。
秋田テレビ株式会社 総務局 システム管理部 部長
佐藤 則康 氏
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導入事例
秋田テレビの情報システムを刷新
10年間のトータルコストを2~3割減のハイパーコンバージドの実力
秋田テレビは、フジネットワークシステム(FNS)に加盟するフジテレビ系列の民間放送局です。設立は1968年で開局は1969年10月1日。秋田県内を放送エリアとするテレビ局として、半世紀近い歴史を有しています。東京・大阪・仙台に支社を構え、地域密着型のオリジナル番組として、毎週月曜から金曜の夕刻(16時50分~)に放映される「みんなのニュース」や、毎週土曜日(17時55分~)の「土曜LIVE!あきた」といった多彩なコンテンツをラインナップ。県内ニュースはインターネット上でも動画配信されています。
現在の従業員数は98名(2017年11月現在)。そのうち、報道・制作にかかわる人員は全体の3分の1。残る3分の2は、営業・事業開発・編成・業務・総務・経理といった部門に属しています。その中にあって、佐藤氏率いるシステム管理部(つまりは、秋田テレビのIT部門)の主たるミッションは、社内ITシステム全般を安定して稼働させることです。
「テレビ放送の休止時間は1日のうちの3時間程度で、報道機関であるテレビ局の業務は(人員は交代制でことに当たっているものの)24時間365日休まずに続きます。ですから、県民への情報発信の手段であるWebサーバや、社内での情報伝達手段であるメールは大規模災害時でも絶対に止めることができません。同様に、日々のビジネス/業務を支える基幹の営放システム(※1)も、ファイルサーバなどの情報系システムも、24時間365日の無停止運用が求められるのです」(佐藤氏)。
※1 営放システム:「営業放送システム」の略称。民間テレビ局特有の基幹業務システムであり、民放が放送する番組・CMなどを一元管理するシステムのこと。フジテレビ系列の場合、FNS(フジネットワークシステム)が契約するデータセンター(クラウドセンター)で営放システムの主要なアプリケーション/データベースが一元的に管理され、系列各局が相乗りしている。
そんな秋田テレビの情報系システムには、メールサーバやWeb・DNSサーバ、グループウェア、さらにはファイルサーバ、プロファイル(※2)サーバなど含まれます。
秋田テレビでは、Webサーバ/DNSサーバ、メールサーバは、先の東日本大震災を契機にしたBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の一環として、外部のクラウドプラットフォームで運用しています。一方、その他の情報系システムのインフラ(サーバ)については、VMwareによる仮想化と、それによる物理リソースの集約化を図り、かつては10台近い物理サーバで構成されていたインフラを、仮想マシン(VM)稼働用のサーバ3台とバックアップサーバ1台、管理用サーバ1台、そして各VMにストレージリソースを提供するストレージサーバ1台から成るインフラへと移行させました。また、VM稼働用の3台のサーバについては、HA (高可用性) 構成を取り、そのプラットフォーム上で計13台のVM(仮想サーバ)を運用していたのです。
そんな中で、ストレージサーバの保守が期限切れを迎え、結果としてすべての物理サーバの刷新が必要とされました。
「本来的には、保守期限が切れるストレージサーバだけを新製品に入れ替えたかったのですが、当時の仮想化インフラの構造上、ストレージサーバの刷新に伴い、すべての物理サーバを新しい製品にそっくり入れ替えなければならなくなったのです」(佐藤氏)。
こうしてインフラの全面刷新に乗り出した秋田テレビでは、RFPを策定し、それに応じて寄さられた複数社からの提案を比較検討しました。結果として同社が選んだのが、地元のシステムインテグレーター、アキタシステムマネジメント(以下、ASM)の提案でした。
※2:ここで言うプロファイルとは、Active Directoryの「移動ユーザプロファイル」を指す。移動ユーザプロファイルを用いることで、ユーザーが社内ネットワーク上のどのコンピュータにログインしても、同じデスクトップ環境が使えるようになる。
ASMの提案内容は、新たなインフラとして、NutanixのハイパーバイザAHVと、レノボ製サーバを融合させたインテル® Xeon® プロセッサー採用のハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)「Lenovo Converged HX1310シリーズ」(以下、HX1310)の採用を勧めるものです。この提案を選択した理由について、佐藤氏はこう話します。
「徹底した安全策を取るならば、従来インフラと同じメーカーのサーバハードウェアと仮想化ソフトウェアを用い、同じ構成のままインフラを新しくする手もありました。ですが、その道を選択すれば、確実に5年スパンで、ハードウェアの全面的な入れ替えが発生し、10年スパンで見た場合、物理リソースのコストが無駄に膨らむ可能性がありました。また単一ストレージ筐体への依存性の高さへのトラブルリスクの高さ、その問題を解決するすべを、HCIという新たなソリューションに求めたのです」
この言葉を受けたかたちで、秋田テレビの門脇 淳氏(総務局 システム管理部 課長)もこう続けます。
「単純な導入コストだけを見比べた場合、ASMを含めて、どのベンダーの提案にも大きな開きはありませんでした。ただ、HCIの場合、新旧の物理ノードをクラスタ中に混在させることが可能で、ユーザー側が追加したい(あるいは入れ替えたい)リソースを、必要に応じて適宜導入していくことが可能です。これならば、ハードウェア投資の無駄が発生しませんし、10年スパンで確実にトータルコストが低減できると考えました」
実際、佐藤氏らが各社の提案に基づいて試算した結果、レノボ製のHCIを導入することで、向こう10年間のインフラのトータルコストが、従来構成の仮想化インフラに比べ30%削減できると見込んでいる。
もっとも、HCIによるインフラ刷新を提案してきたのはASMだけではありません。ほかにもう一社、レノボ製品以外のHCI製品の導入を推奨してきたベンダーがありました。また、ASMは独立系のシステムインテグレーターであり、レノボ製以外のHCI製品を推奨することも可能でした。そんな中で、なぜ、ASMはレノボ製HCIの導入を秋田テレビに提案したのでしょうか。また、なぜ秋田テレビは、ASMの提案に従い、レノボのHCIの採用を決めたのでしょうか──。
その答えを一口に言えば、両社のレノボへの信頼です。この点について、ASMの今野 康和氏(営業部営業2課 課長)はこう語ります。
「弊社はレノボのパートナーとして、レノボの製品とサポート品質の高さを十分に理解していました。レノボのサーバを用いたHCIならば、必ずお客様(秋田テレビ)のご要望や期待にこたえることができると確信したのです」
さらに、佐藤氏は続けます。
「実を言えば、弊社のクライアントPCは、すべてレノボ製品で統一しており、その品質の高さはもとより、トラブル発生時のレノボ担当者のスピーディで真摯な対応に信頼を寄せていました。このメーカーのハードウェアならば、万が一のトラブル発生時にもしっかりと対応してくれる──そう考えたのが、当社にとって初のHCIをレノボ製品にした大きな理由と言えます」
こうしてレノボ製HCI、HX1310の導入を決めた秋田テレビでは、従来インフラから新インフラへのシステム移行を経て、2017年10月から新インフラの本格運用を始動させました。新インフラでは、3台のHX1310によってクラスタを成し、同インフラ上に11台(※3)のVM(仮想サーバ)が稼働しています。またシステムは冗長化され、3ノードのうちいずれかの1台が故障しても、他の2つのノードが処理を引き継ぎ、サービスを継続させるという処理が実現されています。
秋田テレビでは、この新インフラへのシステム移行に約1カ月の時間をかけ、慎重かつ段階的に物事を進めました。ただし、「実質的な移行作業は7日間程度で完了できました」と、移行に当たったASMの斉藤良夫氏(サービス部 アドバンスト サービス課 課長)は説明します。
ここで注目すべき一つは、新インフラでは、仮想化ソフトウェアのライセンス料を低減させるために、VMwareのハイパーバイザからNutanixのAHVへと切り替えられている点です。つまり、異なるハイパーバイザ間でのシステム移行であったにもかかわらず、すべてがきわめて短期間で完了したというわけです。
「それが実現できた理由は、レノボによる技術支援が非常に適切であったためです。そのおかげで、何らトラブルに見舞われることなく、移行の作業をスケジュールどおりに、難なく進めることができました」(斉藤氏)。
このVMwareからAHVへの移行で、秋田テレビは、仮想化ソフトウェアのライセンス料の低減というコストメリットを得ることに成功したほか、インフラ運用管理の効率性も向上したと佐藤氏は評価します。
「AHVは、管理画面の設計が優れ、万が一の障害発生時にも、すぐに問題原因が特定できるような見通しの良さがあります。しかも、AHVはクラウド型なのでブラウザを通じてどこからでも管理が可能です。そのため、運用管理業務のやり方に幅を持たせ、効率性を高めていくことができます。そのうえ、AHVを使うのに管理サーバを設置する必要もありません。これも使う側にとって、ありがたい効果です」
さらに佐藤氏は、システムの冗長化が自動的に図れ、HA構成を意識せずとも可用性が確保されるHCIのアドバンテージに言及し、話をこう締めくくる。
「レノボのHCIは運用開始後、安定稼働を続けていて、重大な問題は一切発生させていません。しかも、このインフラはシステムの冗長化が自動的に行われ、この一点だけをとらえても、HCIの導入には意味があります。仮想化のインフラとして、HCIを採用しない理由はもうどこにもない──。そう確信しています」
※3:新システム上のVM数が従来システムより減っているのは、新インフラへの移行に合わせて、いくつかの仮想サーバを統廃合したため。
Lenovo Converged HX1310の導入と運用管理を通じて、ハイパーコンバージドインフラストラクチャを“採用しないデメリット”が、いかに大きいかが痛感できました。
秋田テレビ株式会社 総務局 システム管理部 部長
佐藤 則康 氏
Lenovo Converged HX1310のようなハイパーコンバージドインフラストラクチャなら、性能的に限界に達したハードウェアを、必要なときに、必要なものへと簡単に交換できます。このような環境を、オンプレミスの世界で実現できるのは魅力的です。
秋田テレビ株式会社 総務局 システム管理部 課長
門脇 淳 氏
実績あるレノボのサーバを土台にしたLenovo Converged HXシリーズなら、お客様の厳しく、多様なご要望にご対応できると考えますし、秋田テレビ様の案件を通じて、その考えに間違いはなかったと感じています。
株式会社アキタシステムマネジメント 営業部 営業2課 課長
今野 康和 氏
秋田テレビ様の案件では、レノボによる技術面での後方支援にさまざまに助けられました。今回、Lenovo Converged HXシリーズの導入と併せて、レノボのスイッチ製品も導入しましたが、スイッチとハイパーコンバージドインフラストラクチャの双方を包括的にサポートしてくれたレノボには本当に感謝しています。
株式会社アキタシステムマネジメント サービス部 アドバンストサービス課 課長
斉藤 良夫 氏