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導入事例

慶應義塾大学病院

慶應義塾大学病院がレノボのハイパーコンバージドを選んだ理由とは?
ハードウェアの信頼性とスモールスタートでの運用が成功の鍵

導入について

増え続けるサーバー仮想化のニーズ、リソース不足の問題をハイパーコンバージドで解決


慶應義塾大学病院については、ことさら詳しい説明は不要でしょう。慶應義塾大学病院は、慶應義塾大学医学部の附属病院として1920年に開院した、日本を代表する医療機関です。現在、研修医を含め約820名の臨床系医師が31の診療科とその他30の部門に配属され、一日平均3,000人を超える外来患者と、一日平均約800人の入院患者の診療に当たっています。また、診療時間外の患者受け入れ数は年間1万7,000人以上に上り、手術件数も年間約1万4,000件に及んでいます。さらに、特定機能病院として先進医療を提供し、併せて、全国の関連病院との人事交流や医療連携を通して地域医療にも貢献。2016年には臨床研究中核病院に認定され、臨床研究を通じて世界の医療の発展に貢献するという重責も担っています。

そんな慶應義塾大学病院では、2012年1月から電子カルテシステムを稼働させ、約2,500台の端末で利用させています。また、電子カルテシステムとは別に、臨床検査技術室や薬剤部、食養管理室など、さまざまな部内の業務に特化した部門システムが数十の規模で存在しています。

これら部門システムのサーバーに関しては、かねてから「仮想化できるものは可能な限り仮想化する」という方針の下、物理基盤の集約化が図られてきました。具体的には、2012年から部門サーバーの仮想化に着手、主としてブレードサーバーを活用して仮想化を段階的に進めてきました。VM数としては100台の規模に達しています。

「部門システムサーバーを仮想化基盤に可能な限り集約するとの方針は今日でも変化はありません。仮想化の進展によってリソース使用効率の向上やハードウェア設置スペースの低減、TCO(所有総コスト)の削減など、多大な恩恵が受けられると確信しています」と、慶應義塾大学病院 病院情報システム部 主任の大貫 亮氏は話します。

ただ、こうしてサーバーの仮想化を進める中で、仮想化基盤の老朽化やキャパシティ不足の問題が頭をもたげてきました。「結果、現状の仮想化基盤だけでは、膨らみ続ける仮想化のニーズに対応できなくなると判断し、新たな基盤の導入に動いたのです」と、大貫氏は振り返ります。 実際、2017年度には、医用工学室の臨床工学技士が利用する医療機器管理システムをはじめとしたいくつかの部門システムがリプレース時期を迎え、新システムのサーバーについては、仮想化基盤で動作させることが決まっていました。「遅くとも2017年4月までには、新たな基盤を用意しておく必要が生じ、具体的な基盤選定の作業に2016年秋から着手しました」

この取り組みの結果として、慶應義塾大学病院が導入を決めたのがNutanixのソフトウェアとインテル® Xeon® プロセッサーを採用したレノボのサーバーを融合させたハイパーコンバージドインフラストラクチャ(以下、HCI)「Lenovo Converged HX3310」です。

ブレードサーバーに内在する限界をHCIで打ち破る

言うまでもなく、医療機関の業務を支えるシステムの場合、長時間の停止やデータの消失が診療を行う上での大きなインパクトになります。「システムおよびハードウェアには非常に高い信頼性と可用性、そしてデータ保全の機能を求められます」と、大貫氏は語り、こう続けます。

「サービスレベルで言えば24時間365日の連続稼働が大前提で、それに見合うハードウェアの信頼性・可用性、保守サービスが提供されていることが基本です。その意味では、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのすべてが冗長構成であることが必須ですし、障害を事前に検知したり、何かあったら即座にそれを運用サイドに通知したりするような監視の仕組みも必要とされるのです」と、大貫氏は話します。

大貫氏は、新たな仮想化基盤の選定に当たり、こうした要件をRFPにまとめ、複数のベンダーから提案を募りました。それらの比較検討の末に選択したのが、HX3310の導入を薦める兼松エレクトロニクス株式会社(以下、KEL)の提案です。
その採用理由について、大貫氏は、「KELの提案は、我々の要件をすべて満たしていましたし、HCIが拡張性・将来性のある作りになっている点も評価しました」と語り、次のような説明を加えます。

「例えば、ブレードサーバーも拡張性の高い仕組みと言えますが、基本的には、専用シャーシの筐体内にブレードを差し込むアーキテクチャです。そのため、リソースの拡張にはどうしても上限が生まれ、共有ディスクを増強する際も、場合によっては、エンクロージャーごと追加しなければならなくなり、コストが無駄に膨らむ可能性があります。加えて、ブレードシステム自体が古くなると、新しいブレードとの整合性や親和性の点でも、新旧ブレードを混在させることが困難になる場合もあります。HCIには、このような限界はなく、ノードを追加・削除するだけでリソースが簡単に増減できます。その意味で、ライフサイクルが非常に長いシステムと言え、そこに魅力を感じました」

「N+1」のクラスタをスモールスタートで構成

もちろん、NutanixベースのHCIを提供しているベンダーは、レノボだけではありません。実際、慶應義塾大学病院のRFPに応じて提案を寄せたすべてのベンダーがHCIの導入を推奨、レノボ以外のHCI製品を薦めるベンダーも含まれていました。また、KELにしても、レノボ以外のサーバー製品も取り扱っています。その中で、なぜHX3310を選択したのか──。この問いに、KELの黒須 智之氏は、こう答えます。

「NutanixベースのHCIは非常に優れた技術ですが、登場から間もないこともあり、日本での実績もそれほど多くはありません。ですから、可能な限り成熟し、安心して使える製品を用いたいというのが我々の考えでした。その点、HXシリーズは、ベースのハードウェアが、我々が扱い慣れ、信頼性も高いレノボのサーバーです。その安心感がHX3310採用に踏み切った大きな理由です」

またもう一つ、HXシリーズがスモールスタートでの運用が可能であった点も、KEL、そして慶應義塾大学病院の評価につながりました。というのも、慶應義塾大学病院では、HCI導入後の最初のステップとして、医療機器管理システムのサーバーを同インフラ上で稼働させ、のちは必要に応じて部門システムのサーバーをHCIに移行させていくというプランを立てていたからです。そのため、いきなりHCIを大規模に導入する必要はなく、当初は可能な限り基盤の構成を小規模にし、導入コストを適正化する必要があったのです。

「その点、HXシリーズでは最小3ノードから運用を始められ、初期導入コストを適正化できるというメリットがありました。当院の場合、基盤の可用性を重視して4ノードによる“N+1”のクラスタを構成しましたが、それでも当面必要なリソースは十分に確保できたと考えています。また、さらなるリソースが必要なった場合も、必要な分のノードを適宜、簡単に追加できますので、負荷増への迅速な対応や追加投資の適性化も図りやすいはずです」(大貫氏)

オープンな視野で最高のハードウェアを選んだことの意義

慶應義塾大学病院では2016年末のKELの提案の採用を決定し、KELによる支援の下、HX3310の導入作業に着手しました。その後の3月には、基盤導入の作業を完了させ、そこから時間をかけてシステムの検証や障害監視の仕組みを充実させ、2017年6月から実運用のフェーズに移行させています。

このHX3310上で最初に動作させる部門システムは、先に触れた医療機器管理システムであり、その稼働までは、HXシリーズ上で実システムの運用は行われず、システムの運用に向けた準備段階として、テストやクリティカルでないサーバの試運転を行ってきました。それでも、HXシリーズの導入でいくつかの効果を実感していると大貫氏は語ります。

「まず言えるのは、ハードウェア設置スペースの削減効果です。従来のブレードサーバーとの対比で言えば、2分の1の設置スペースで、リソースが倍近くに増えたという感覚です。また、KELの手厚い支援のおかげで、障害監視・検知の仕組みについても、かなり上手く動作していると言えるでしょう」

さらに大貫氏は、HXシリーズの性能の高さを体感したケースとして、次のような例を挙げます。

「HX3310の導入後、他の物理サーバーのディスク容量がひっ迫し、そのサーバーのデータベースを早急に圧縮する必要に迫られました。その圧縮作業にHXシリーズを用いたのですが、結果的に物理サーバーで圧縮を行うよりも、はるかに短い時間で作業を済ますことができ、HXシリーズにおけるストレージ性能の高さを改めて確認することができたのです」(大貫氏)

実のところ、慶應義塾大学病院にとってHCIの活用は初の取り組みで、KELにサーバー製品の導入を委託したものも今回が初です。

「KELでは医療機関へのIT導入の実績はそれほど豊富ではなく、慶應義塾大学との取引は多くありましたが、慶應義塾大学病院とのお付き合いはゼロに等しかったと言えます。それが今回、提案の機会をいただき、当社が信頼するレノボの製品を持って案件獲得に挑んだのです」と、KEL 第一ソリューション営業本部 第一営業部 第二課主事補の滝永 篤史氏は明かします。

そうしたKELの提案とHXシリーズを採用し、結果的に仮想化基盤の強化につながったことには大きな意味があると大貫氏は話します。

「日本の医療機関の場合、医療アプリケーションのプロバイダーの意向・判断に沿ってハードウェアの選定・導入が行われる傾向が強くあります。もちろん、アプリケーションは重要で、それとの親和性が高いハードウェアを導入することは大切です。しかし、だからといって、ユーザーによるハードウェアの選択肢が狭められたり、優れたハードウェアを供給できるベンダーが、医療アプリケーションを提供していないという理由から、提案の機会を得にくいということは業界としても問題と考えます。基本はやはり、オープンな視野で、我々ユーザーにとって最高のハードウェアを探し、選択して、それによって得たメリットを患者さんに還元することです。その視点に立って選択したKELとレノボ製品が期待どおりのパフォーマンスを発揮してくれていることは、我々ののちのテクノロジー選定や、業界全体の活性化にもプラスの効果があると確信しています」

大貫氏によれば、慶應義塾大学病院が力を注ぐ臨床研究の領域でも、新たなITの導入・活用が必要になる可能性が高いとのことです。

「そうした新領域のIT化においても、KELやレノボのさらなる活躍を期待しています」と、大貫氏は語っています。

ハイパーコンバージドのインフラは、仮想化基盤として拡張性・将来性に優れた仕組みです。レノボのHXシリーズのようなシステムで、サーバーの仮想化をこれからも積極的に推進していくつもりです。

慶應義塾大学病院 病院情報システム部 主任
大貫 亮 氏

レノボのハイパーコンバージドのベースは、我々が扱いに慣れ、信頼性も高いレノボのサーバーです。これを用いれば、お客様の厳しい要件にも十分対応できると確信していましたし、その考えに間違いはなかったと感じています

兼松エレクトロニクス株式会社 システム本部 第三システム部 営業支援グループ 主任
黒須 智之 氏

我々にとって、レノボは身近で、信頼の置けるパートナーです。慶應義塾大学病院でのHX3000採用を一つの契機としながら、医療分野でのIT改革をレノボとともに推し進めていきたいと考えています。

兼松エレクトロニクス株式会社 第一ソリューション営業本部 第一営業部 第二課主事補
滝永 篤史 氏

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