ICT教育の推進およびタブレットPCを全校生徒に配布するという大きな改革を進めるうえで、YOGA BOOK は重要な役割を担ってくれています。
学校法人 水城高等学校 事務長
鈴木 利久 氏
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導入事例
いままでのPCやタブレットでは叶わない授業がそこにあった。
2000名の生徒へのICT教育完全導入に選ばれた「YOGA BOOK」
1964年に茨城県水戸市に創設された水城高等学校(以下、水城高校)は、1989年に男子校から共学への転換を図り、県下高校中屈指とされる広大な敷地の中で1900名強の生徒が学んでいます。整備された教育システムの下、毎年難関大学への合格者を輩出しているほか、部活動や学校行事の活性化にも力を入れ、どの部活動においても3年間打ち込める体制が築かれています。
そんな水城高校が力を注ぐもう一つの取り組みが、ICT教育──つまりは、ICTを活用した多角的教育体制です。その方向性は、固定のPC教室を設けて情報の授業を展開するという従来型のスタイルとは一線を画すもので、具体的には、タブレットPC(タブレットとPCの両用が可能な2-in-1型PC)を「個人所有のIT」として生徒全員に持たせ、授業中・休み時間・放課後、そして自宅など、時と場所を選ばずにICTが学びに活かせる環境の構築を目指しています。
「タブレットPCを生徒一人ひとりに持たせるというのは、茨城県下の高校としては初の試みです。背後には、“高大接続改革”という教育改革のうねりにいち早く対応するという狙いがあります」と、水城高校 事務長の鈴木利久氏は話します。
高大接続改革とは2016年3月に文部科学省が打ち出した構想です。その構想を簡単に言えば、人材の国際競争力を高めるために、高校・大学を一貫して「能動的な学び(アクティブラーニング)」の場へと変容させ、生徒・学生の思考力・判断力・表現力を高めたり、大学入試のあり方を抜本的に見直し、入学試験の点数偏重から、面接やポートフォリオ(学び・経験の履歴)を含めた総合評価に変えたりといったものです。
「この高大接続のカギを握るのがICT環境です」と、同校のITシステム企画・構築・運用管理を一手に担うシステム管理室 室長の多田昌弘氏は語り、タブレットPCの採用に至った経緯について、次のように説明します。
「現在、小学校・中学校ではタブレットを使った教育が進展を見せ、大学ではポートフォリオをベースに学生が自分のやりたいことを見つけていくといったスタイルが取られていますが、高校では教育現場でのICT活用が一向に進んでおらず、アクティブラーニングの取り組みも手つかずのままです。そこで我々は、生徒が自由に使えるICT環境を用意し、各自が興味を持ったこと、知りたい・調べたいと思ったことをいつでもどこでも調べたり、学んだりできるようにして、それぞれのアクティブラーニングの力を高めていこうと考えました。それが、タブレットPCを全生徒に所持させるという方針につながったのです」
また、水城高校のICT環境では、教員が独自に作成した教材や個々の生徒の理解度・学びの到達度の記録が、各生徒の「ポートフォリオ」として「資料アーカイブ」システムに作成されます。
「そのポートフォリオを生徒たちが振り返りながら、教員とともに弱点の把握・克服に取り組むうえでもタブレットPCは有効です。加えてタブレットPCは、生徒がプレゼン資料を作成して相手を説得する表現力を身に付けたり、仲間と共同で課題に取り組んだりするためのツールとしても便利に使えるのです」と、多田氏は付け加えます。
もっとも、授業でのタブレットPCの利用は「強制ではない」とも同氏は語り、こう続けます。
「教員は、生徒の充実したポートフォリオが作られていくことを第一に考えます。その中で、タブレットPCを授業で活用するほうが、生徒にとって『分かりやすい』『面白い』と思えば、そうすればいいですし、生徒たちは自由に使えるICTがあれば、自主的に学びに用いるようになるはずです。そのように教員・生徒の自主性に任せることが、高校のICT教育のあるべき姿ではないでしょうか」
こうした考え方の下、水城高校では全教室にWi-Fi環境を導入し、2017年2月には学校指定のタブレットPCとしてレノボの2-in-1 PC「YOGA BOOK」を選定、その利用を希望した生徒約250名に所持させるという施策を始動させました。加えて、2017年4月入学の新入生(約550人)には入学当初から全員に YOGA BOOK を所持させ、以降の新入生に対しても全員にタブレットPCの所持が義務づけられます。つまり、水城高校では、タブレットPCを使った学びの改革を YOGA BOOK で始動させたのです。
YOGA BOOK 採用の理由について、多田氏はこう切り出します。
「情報を探すだけならタブレットで十分かもしれませんが、学習用として生徒に使わせるには、やはりキーボードが付いたPCの機能がどうしても必要になります。一方で、生徒が常に持ち運ぶことを考えれば可能な限り軽量・小型であることも大切で、ゆえにタブレットPCの導入を決めたのですが、我々の要件に合致した製品がなかなか見つけられず苦労しました。そうした中で巡り合ったのがYOGA BOOKで、そのデザインや仕様を見て、採用を早速検討を開始しました」
水城高校がタブレットPCに求めた要件は4つあります。うち1つは、Windows対応であることです。理由は、水城高校の教員の多くが、マイクロソフト「Office」などのWindowsアプリケーションを用いて教材やプリントを作成していることから互換性を重視しました。生徒教育のみならず、学校運営、教員にとってもいかにメリットを享受できるかがICT教育導入検討のポイントのひとつで、「YOGA BOOK の活用がさらに進めば、教材や教育資料の確認はすべてオンライン上で行われ、いままで紙ベースで行われていた授業、大量なプリントや採点なども省力化でき、学校、教員の工数も大幅に削減できるということは、それだけ生徒と向き合う時間が増えるということを意味するのです。」と鈴木氏は語ります。
2つ目の要件は、生徒による3年間の使用に耐えうるスペックを備えていることです。具体的には、登下校の持ち運びに適した携帯性・頑丈さを備えていることやバッテリーが学校で1日使っても持ちこたえられること、写真や動画を撮影するためのフロントカメラ/バックカメラを備えていることなどを要件として設定しました。「このうち、バックカメラは教員の板書を撮影するときにも有効と考え、要件に含めたのです」と、多田氏は説明を加えます。あらゆる授業シーン、教育における活用方法を入念に想定、シミュレーションした結果、選ばれたのが「YOGA BOOK」でした。
また、3つ目の要件はサポート体制の充実度で、週に1回、学校内に「修理受付サポートカウンター」を開設し、故障の際は生徒が直接相談に行けるようなサポート体制を構築。デバイスと言えども教材という位置付けを大切にし、安心な使用環境を提供しています。さらに4つ目は製品価格の適正さです。タブレットPCの購入は水城高校側が一括して行いますが、購入代金そのものは生徒側が負担し、卒業後も自己所有のPCとして使い続けることができるようになっています。それだけにタブレットPCが適正価格であることは大切だったのです。
「これらの要件をすべて満たすタブレットPCは YOGA BOOK 以外に見当たりませんでした。性能・機能、コストパフォーマンス、そして登場のタイミングも、YOGA BOOKは我々にとってまさにベストの製品で、このタブレットPCとの出会いには運命的なものを感じます」(多田氏)
先にも触れたとおり、水城高校での YOGA BOOK の活用は2017年2月にスタートを切りました。その活用開始からまだ間もないこともあり、授業での使い方は、教材サイトを含めたWebサイトの閲覧やOfficeを使ったプレゼン資料の作成が中心です。例えば、ある情報の授業では、生徒たちが興味を抱く大学のことを自分たちで調査するというテーマの中で YOGA BOOK が使われています。内容は、生徒が興味を持った大学の出身著名人をインターネットで探し当て、Excelシートにポートフォリオとして入力、プロジェクタを使って発表するというものです。
こうした授業での利用のほか、放課後の教室や自宅などでも YOGA BOOK を使ってレポートを作成したり、情報を探したりする生徒の行動が増えてきていると多田氏は話します。つまり、YOGA BOOK の導入により、生徒の間で早くも学びに対するアクティブな動きが広がり始めているというわけです。
「従来、PCによるレポート作成は、PC教室でしか行えませんでしたが、現在は、放課後の自分の教室で友人たちと気兼ねなくレポート作成が行えています。今後は、生徒の質の高いアウトプットが期待できそうです」と、多田氏は期待します。
また、YOGA BOOK は品質が高く堅牢であることから、「これまでのところ、故障の報告はゼロ」(多田氏)。導入時初期不良率の圧倒的低さも YOGA BOOK の特長であり、それも生徒の YOGA BOOK 利用の活性化につながっているようです。
もう一つ、YOGA BOOK のようなタブレットPCの導入効果として、水城高校が期待しているのは学校から生徒へ渡す情報の量と質が均一化されることです。
水城高校では、2003年度から生徒向けの電子教材・資料を手軽に取り出せる仕組みをWebサイト上で提供してきました。ただし、PCやスマートフォンを持っていない生徒や、学校の電子教材・資料に非対応のデバイスしか持っていない生徒は、それらの情報を入手・閲覧することができず、結果として、学校から生徒に提供する情報の量と質に格差が生まれていたのです。「こうした格差は、全校生徒にタブレットPCが行き渡ることで解消されます。しかも、生徒に向けた学校からの資料・連絡の送付をすべてWeb経由で行うことが可能になり、結果的に、紙資料の出力・送付の手間とコストがグンと減らせるという効果も生まれるのです」(多田氏)
YOGA BOOK の採用で、順調な滑り出しを見せる水城高校のタブレットPC活用──。その今後について、事務長の鈴木氏は「とにかく全校生徒へのタブレットPC配布を問題なく進めることが大切で、そのためには、生徒や保護者、教員たちにタブレットPCを使った学びの良さを明確に伝えていくことが大切です」と語り、こう続けます。
「生徒たちの多くはタブレットPCの使い方をすぐに覚えたようですが、全員がその環境に馴染んでいるわけではありません。教員側も、どんな使い方をすれば学習に効果がでるかを手探りで探している状況です。ですから、全生徒にタブレットPCが配布できる環境をしっかりと整え、その過程で、生徒や教員がさまざまな試行錯誤ができるようバックアップをしていきたいと思います」
多田氏は、そうした試行錯誤の中から、新しい取り組みが自然発生的に生まれることに期待を寄せています。
「YOGA BOOK のようなタブレットPCには、さまざまな教科で有効に活用できる可能性があり、授業での使用に関心を示す教員は少なくありません。その中で、教科横断的なタブレットPC活用が進み、生徒の間に、より幅広い知識を吸収したい、物事を突き詰めて探求したいという意欲が高まっていけば、生徒が教員の知識すらも超えていく可能性があります。そんな生徒たちと教員が一緒に高みに上っていけるような世界が実現されることを望んでいます」(多田氏)
ICT教育の推進およびタブレットPCを全校生徒に配布するという大きな改革を進めるうえで、YOGA BOOK は重要な役割を担ってくれています。
学校法人 水城高等学校 事務長
鈴木 利久 氏
YOGA BOOK は我々の要件にピタリと合致する唯一のタブレットPCでした。この製品との出会いには運命的なものを感じます。
学校法人 水城高等学校 システム管理室 室長
多田 昌弘 氏