導入事例
岡三情報システム株式会社
新たな証券システムを支える“堅牢な保守基盤”をハイパーコンバージド・システムで実現 岡三情報システムの挑戦
- 業種 金融・保険
- キーワード 運用・保守
- 製品カテゴリー サーバー
- 企業規模 中小企業のお客様(11〜999名)
導入について
内製化推進の一環として保守基盤を構築
岡三証券グループのシステムを支える岡三情報システムが、岡三証券の情報システム部門を前身として、1970年から証券システムソリューションの提供を開始し、1980年の分社・独立後も岡三証券グループのIT戦略を担っています。
同社は系列の岡三証券、岡三オンライン証券向けのシステムインテグレーションだけでなく、国内証券会社向けの共同利用型証券業務基幹システム「ODIN(Okasan Database Information Node)」を提供したり、海外現地法人向けの証券業務システム「GAIA(Global Automated Institutional office Assistant)」「VGAIA(Vietnam Global Automated Institutional office Assistant)」を独自開発するなどしてビジネスを拡大。証券会社系IT企業の中でも存在感のある企業です。
そんな岡三情報システムでは、今後始動する証券フロントシステムを支える保守ツールの稼働基盤をどうするかが課題となっていました。
「証券フロントシステムを、安定した形で運用していくことが当社の使命です。そのためには、証券フロントシステムを保守するためのツールが稼働する基盤が求められていました」(取締役 ITサービス企画部担当 次期ネット推進室担当 小木田務氏)
証券フロントシステムをはじめ、さまざまな証券業務システムを開発・運用する岡三情報システムでは従来、こうした保守基盤の運用を外部に委託することもありました。最近は、より安定した運用、迅速な開発と障害対応、ガバナンスの強化、および開発・運用コスト削減を目指すとともに、ITの戦略的価値を高めることを目的に、外部への委託を縮小して社内で実施する「内製化」にシフトしつつあります。今回の保守ツールの稼働基盤の構築も、内製化を推進する一環としての新たなチャレンジだったのですが、そこには課題がありました。
「これまで当社では、新たな業務要件に合わせてシステム基盤を構築するときに、新たに物理サーバーとソフトウェアを用意していました。そのためには、それぞれ複数のベンダーに見積もりを依頼し、社内承認を得て発注し、納品に至るというプロセスが必要です。しかし、これでは調達までに1カ月半から2カ月もの時間がかかり、迅速に対応できないことが大きな課題でした。当然、コスト面でも『投資の無駄』を感じていました。“新たな証券フロントシステムを支える”という重要な役割を果たす今回の保守ツール基盤を構築するにあたり、これらの課題を解決する必要があったのです」(次期ネット推進室長 瀬川孝之氏)
長期的な視点でコスト削減につながるHXシリーズを採用
保守ツールの稼働基盤を選定するにあたり、岡三情報システムではプロジェクトチームにより、検討を開始しました。そこでは構築期間やコスト面の課題解決だけでなく、拡張性や耐障害性、優れたパフォーマンスも要件として挙げたといいます。
そして従来と同様、物理サーバーを単体で導入することも含め、さまざまな選択肢を検討しました。しかし、物理サーバーを単体で導入したのでは、これまでと何も変わらず、さらにデータセンターのラックスペースに空きがなく、従来のように物理サーバーやストレージを別々に導入すると、配置の最適化が難しいという問題もありました。
そんな悩みを抱えていた中、以前から取引関係にあったレノボに紹介されたのが、インテル® Xeon® E5-2600 製品ファミリーを搭載したLenovoサーバーにNutanixのソフトウェアを搭載したハイパーコンバージド・システム「Lenovo Converged HX シリーズ」でした。
「サーバーとストレージ、ネットワークが垂直統合されたハイパーコンバージド・システムを導入すれば、そのつど物理サーバーを用意する必要がなく、長期的な視点でコスト削減につながります。拡張性や耐障害性、性能面でも申し分ありません。総合的に判断した結果、Lenovo Converged HX シリーズを導入することに決定しました」(ITサービス企画部 次期ネット推進室 ユニットリーダー 蔵本純一氏)
機動性の高い基盤が完成
岡三情報システムが Lenovo Converged HX シリーズの導入を決定したのは2016年10月のこと。11月に発注し、12月にデータセンターへ搬入。2017年1月に設定作業を済ませ、保守ツールの稼働基盤として利用を開始しました。
同社は、Lenovo Converged HX シリーズの中でも仮想化ワークロードに最適な「Lenovo Converged HX 3310」を3ノード構成で導入。Lenovo Converged HX 3310は、インテル® Xeon® E5-2600 v4 プロセッサーを最大44コア搭載できる1Uサイズの省スペース本体に、最大1.6TB のSSDを2基(SED SSD オプションあり)、最大 2TBのHDD (SED HDD オプションあり)を6基搭載可能。また、最大1536GBのメインメモリーと、デュアルポート 10GbE SFP+もしくはデュアルポート 10GBaseT のネットワークインタフェースを最大2枚搭載でき、また、独自アルゴリズムによってハードウェア障害を事前に予知する「PFA(Predictive Failure Analysis)」や冗長化電源を備えています。ここにNutanixのWebスケール管理ソフトウェアをプリロードし、複雑なITシステムや仮想化環境の運用と管理の負荷を解消した製品です。
「導入にあたっては、レノボのプロフェッショナルサービスを利用し、仮想化環境のVMwareを含む初期設定・キッティング作業を実施してもらいました。当社では、パラメーターシートにホスト名やネットワーク構成を記載して、事前に2回打ち合わせをする程度の負担だけで済みました。また、レノボから Lenovo Converged HX シリーズを使うためのベースとなるネットワーク構成の提示もあり、それを参考にできたことも負担の軽減につながりました。搬入後はネットワーク接続部分やVMware vCenterとの接続をレノボが実施してくれたため、社内の工数は非常に少なく、時間をかけずに構築することができました」(蔵本氏)
岡三情報システムでは、Lenovo Converged HX シリーズを導入したことによる効果は大きいと見ています。サーバー、ストレージ、ネットワークがシンプルな構成になったことで操作が単純化し、運用効率が向上するほか、保守ツールによる管理の自動化によって、属人性を排除できるなど運用品質の向上も見込めます。さらに、新たな要件に合わせた環境構築までの工数の削減により、運用コストの削減も実現できるのです。
「証券フロントシステムの安定稼働を支え、機動性の高い保守基盤が整備できたと考えています」(小木田氏)
保守ツールとして Lenovo Converged HX シリーズを最初に導入したのは、障害対応を実施するためのリモート接続基盤だといいます。
「証券フロントシステムは、24時間365日の監視が求められるミッションクリティカルなシステムです。これまでは業務時間外に障害のアラートが上がると、保守要員が自宅からオフィスへ出向いて対応していたため、障害対応に時間がかかるとともに、保守要員にも負担をかけていました。新しい証券フロントシステムでは、保守要員が自宅からリモート接続して遠隔操作で障害対応ができる仕組みを用意し、それをハイパーコンバージド・システムに載せることにしたわけです」(蔵本氏)
高可用性は、インターネットを介したサービス全般に対して求められると言えます。中でも、証券取引などほんのわずかな遅延やダウンタイムが直接的なお客様の利便性に直結するサービスは、より、高い可用性とサービスレベルが求められます。リモート接続による障害対応により、問題を迅速に解決し、高い可用性を提供し、お客様の満足度を高めようというのが岡三情報システムの狙いです。
別システム基盤への導入も視野に
リモート接続基盤に続き、今後 Lenovo Converged HX シリーズにはアンチウイルスなどのセキュリティ機能を備えた仮想アプライアンスを搭載することが決まっています。
「しばらくの間は、業務の影響が比較的少ない部分から活用していこうと考えています。しかし、Lenovo Converged HX シリーズはさまざまな用途に活用できる柔軟性があるので、今後は実績を積んで、グループ内別案件のシステム基盤として導入することも検討していきたいと考えています」(蔵本氏)
技術的な挑戦としては、現行のVMware vSphere環境だけでなく、ハイパーバイザーのコスト削減効果が期待できるNutanixの「Acropolis Hypervisor」の採用も視野に入れています。同社は、将来的には可能な範囲で既存のITサーバーを Lenovo Converged HX シリーズの仮想化環境へ移行し、さらなる業務効率化とコスト削減を検討したいと考えています。