導入事例
株式会社ムトウ
最新技術を取り入れ、新たな挑戦に乗り出す
──レノボのハイパーコンバージド・システムを選んだ理由
- 業種
- キーワード 仮想化環境(VDI) , ハイパーコンバージド
- 製品カテゴリー サーバー
- 企業規模 中小企業のお客様(11〜999名)
導入について
複数サーバの効率的な運用を目指して仮想化サーバ活用を開始
1918年に創業し、医療機器、理化学機器、病院設備などの医療機器の卸売事業を手広く展開しているムトウ。同社は地域に根付いたビジネスを日本全国で展開し、医療機器商社として国内最大の規模を誇っています。
ムトウが扱う商材は30万点以上にのぼり、業務を遂行する上では、ITによる効率化が欠かせません。その一方で、医療分野というビジネスの性格上、ITシステムには高い安定性と信頼性も求められます。
「加えて、ITシステムの柔軟性も求められるのです」——。こう話すのは、ムトウ 情報システム事業本部 事務部 事務管理課 担当課長の多賀泰彦氏です。顧客である病院の医師からは、過去に販売した機器の情報などを求められることも多く、その際に、「いかに迅速に顧客の要望に応えられるか」という点も、ITシステムの重要な役割だといいます。
ムトウではこうしたリクエストに対応するため、ITシステムを基幹系と情報系の2つに分けて運用しています。基幹系システムでは堅牢で信頼性の高い処理を実現し、情報系システムでは俊敏性と柔軟性を提供。「情報系では必要なデータを抽出し、素早く提供できるよう、前工程となるデータ加工などを含め、幾つかの処理を複数サーバで動かしています」——。同社のシステムについて、こう説明するのはムトウ 情報システム事業本部で副部長を務める山口謙吾氏です。
情報提供のために、その都度専門技術者がSQLを記述し、基幹系システムからデータを抽出していては、作業に膨大な手間と時間がかかってしまいます。それを避けるために、基幹系からデータをあらかじめ抽出し、情報系のオープンなシステムに持つようにする——。ムトウでは、このような仕組みで、現場担当者でも簡単に必要な情報を取得できるようにしています。
とはいえ、現場からは多様な要望が次々と出てきます。その要望に対応した結果、同社では複数の情報系システムのサーバを運用するようになっていました。増えてしまった情報系サーバを、物理サーバで用意しつづけるのでは、運用管理の手間もコストもかさんでしまいます。そこでムトウは、情報系システムのインフラに、いち早く仮想化サーバを導入したのです。
仮想化サーバでは、情報系だけでなくグループウェアも動かしているといいます。グループウェアは長く利用すれば陳腐化し、より使いやすい仕組みに入れ替えることになりますが、その際、しばらくは並行して旧環境も稼働させておきたいというニーズがあります。それに対応できるのも仮想化サーバの利点なのです。
「今はメールもセキュリティ監査の対象です。そういった面からも、旧システムを容易に残しておける仮想化サーバにはメリットがあります」(多賀氏)
ハイパーコンバージド・システムによる仮想環境構築への挑戦
ムトウでは、この仮想化サーバの環境を5年ほど前から活用していました。2016年にハードウェアのリースアップ期限が迫ったとき、これまで大きな問題もなかったことから、当初は既存のハードウェアを増強し、6年目以降も同じシステムを継続して使う計画を立てていました。しかし、その一方で、さらなる仮想化サーバ活用の構想もあったといいます。
「情報系のデータ参照だけでなく、使いやすいユーザーインタフェースのシステムを仮想化サーバで構築し、新たにデータエントリーの仕組みも動かしたいと考えました。そのためには、追加でアプリケーションサーバを立ち上げる必要があり、現状への増強だけではリソースが足りなくなると予測されました」(山口氏)
また、仮想化サーバの環境で鍵となるのはディスクだと多賀氏は指摘します。「CPUやメモリなどを増強できても、6年使ったディスクで大丈夫なのか、7年目以降は厳しいのではないか。ならば入れ替えるべきなのでは——と考えたのです。それに最新技術を取り入れ、新しいチャレンジをしたいという思いもありました」(多賀氏)
そこでムトウでは、新たな仮想化サーバのインフラをどうすべきか、SIベンダーのユーザーサイドに相談しました。ムトウのリクエストは、「10ギガの高速ネットワークを活用できること」「性能、信頼性の高いディスク装置であること」、さらに「将来性のある新しいテクノロジーを採用していること」の3つで、これらを満たすものとしてユーザーサイドが提案したのが、ハイパーコンバージド・システムだったのです。
ムトウでは2016年の4月頃から新たな仮想化サーバのインフラ選定が始まり、ユーザーサイドはまず、従来利用していたA社とB社のハイパーコンバージド・システムを提案しました。当初は7月頃までに選定を終える予定でしたが、8月に新たにNutanixをレノボのインテル® Xeon® E5-2600 製品ファミリーを搭載したサーバにプリインストールしたハイパーコンバージド製品、「Lenovo Converged HX シリーズ」が出ることが分かり、急きょ「Lenovo Converged HX シリーズ HX5510」も提案に加えられたのです。
ユーザーサイドは、ムトウとはビジネス上の付き合いが長い。ユーザーサイド 代表取締役社長の那須伸二氏は、「彼らが新しいテクノロジーに積極的なのは分かっていたので、レノボとNutanixを組み合わせた、最新テクノロジーも提案すべきと考えました」と話します。
ムトウが既に決定していたB社採用をやめ、レノボを選んだ理由
しかしながら、2016年9月の段階で提案資料などを比較した結果、B社のハイパーコンバージド・システムの採用がほぼ決まっていました。とはいえスペック表などだけでは分からない点を確認するため、ムトウではB社とレノボの両社からデモ機を借り実機検証を行ったのです。
検証の結果「実際の管理面で、現状のムトウのやり方に合っていたのがレノボとNutanixのハイパーコンバージド・システムである、Lenovo Converged HX でした」と多賀氏。B社のシステムは、仮想化の管理画面にストレージの管理画面が追加されたような構成で、仮想化サーバの管理画面からディスク状況が見えにくく、ムトウの管理方式ではディスク障害に気付きにくいことが懸念されました。
一方、Lenovo Converged HX の管理画面では、どこに問題が発生しているかが一目で分かったのです。問題箇所からドリルダウンで詳細も確認でき、必要であれば他の管理画面ともスムースに連携可能。「Lenovo Converged HX の集中管理システムには適度な透過性があり、システムの可視性も高い。ここは評価できる大きなポイントでした」と山口氏は言います。
また、レノボの検証時のサポート体制も高い評価を得ていました。デモ機設置の際にも、現地にレノボのエンジニアがやってきてすぐに対応してくれたのです。「その手際は、鮮やかでした」と多賀氏。また「レノボのエンジニアの方が迅速に対応してくれ、提案したわれわれとしてもかなり助かりました」と話すのは、ユーザーサイド営業部の大谷麟太郎氏です。
「レノボの対応の早さと正確さは、提案側からも信頼がおけます。他の海外ベンダーと比較してもレノボでは各種技術資料などの日本語化も進んでおり、そんな点からも安心感は高かったのです」(大谷氏)
「ユーザーサイドはマルチベンダー対応の会社ですが、レノボには圧倒的な信頼感があります。手厚いサポートがある上にスピード感もあります。うちの案件では、提案と対応のスピード感で、レノボが断トツな存在だったと思います」(那須氏)
技術的には大丈夫だと理解していても、新たなテクノロジーの提案にはやはり不安な面もあります。そんなときに、スピード感を持ってメーカー技術者が直接対応してくれるレノボは、SIの立場からも協業しやすかったと振り返ります。「『現場の安心感』は、提案時に大きな差になると実感しました」(那須氏)
設置に1日、50台の全サーバ移行も1週間で完了
今回、Nutanixの技術を活用したハイパーコンバージド・システム「Lenovo Converged HX シリーズ」を導入したことで、「増設も縮退も容易で、スモールスタートできるハイパーコンバージド・システムには、将来的なメリットの大きさを感じています」と多賀氏。
「仮想化サーバの入れ替えは今回が初めてでしたが、切り替えも極めてスムースでした。5年後にもレノボとNutanixの組み合わせである 『Lenovo Converged HX シリーズ』であれば、より良い更新の選択肢が確実にあると判断できました」(山口氏)
5年前に仮想化サーバの環境を構築した際には、サーバが届いてからラッキングして各種設定を行い、調整が済むまでに2週間ほどの時間がかかったといいます。それが「Lenovo Converged HX シリーズ」の設置には、1日しかかからず、設置が終了したその日のうちに、一部の仮想化サーバは新しい環境に移行もできたのです。「これには正直、かなり驚きました」と山口氏。設置後1週間ほどで、50ほどの仮想化サーバの移行が全て終了したのです。移行作業では、ユーザーサイドもサポートを行い「まさに社名通りのユーザー視点に立った対応をしてもらいました」と山口氏は評価しています。
今回、4台の「Lenovo Converged HX 5510」を導入したムトウでは、まずはこの新たな環境での安定した運用を目指しています。その上で、スペック的にはかなり余裕があるので、3台で本番機を構成。残り1台をバックアップとし、災害対策の仕組みの構築を目指す考えです。レノボには、ハイパーコンバージド・システムで、どのような災害対策構成にすれば効率がいいのか、その参考となる事例情報の提供などに期待しています。
さらに新しいNutanixのハイパーコンバージド基盤である「Acropolis」を、使いこなすための情報も集めたいと話します。「技術者としては、ムトウでいち早く新しいAcropolisを使いこなしていますと、ちょっと自慢したい気持ちもありますから」と山口氏。レノボとユーザーサイドの新たな提案に期待を寄せています。