パソコン教室の端末をThinkCentre M92p Tinyに切り替えたことで、教室内の圧迫感が大きく軽減され、教員からも学生たちの顔がよく見えるようになりました。
公立大学法人 首都大学東京
学術情報基盤センター 副センター長 大学教育センター 教授 博士(学術)
永井 正洋 氏
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導入事例
超小型のThinkCentre M92p Tinyと2 in 1タイプのThinkPad Helixを導入し、従来ながらの集合教育と新しいアクティブラーニングの双方に対応。
パソコン教室の端末をThinkCentre M92p Tinyに切り替えたことで、教室内の圧迫感が大きく軽減され、教員からも学生たちの顔がよく見えるようになりました。
公立大学法人 首都大学東京
学術情報基盤センター 副センター長 大学教育センター 教授 博士(学術)
永井 正洋 氏
公立大学法人 首都大学東京(以下、首都大 学東京)は、教員の教育研究活動や学生のさまざまな研究・学習を支援していくため、良質な学術情報を提供する基盤作りに取り組んでいます。同大学は、このような取り組みの中で2012年4月に図書部門と情報部門を統合し、学術情報基盤センターを設立しています。
学術情報基盤センターでは、パソコン教室の運用管理やeラーニングの普及促進のほか、無線LANインフラの整備、教育研究用情 報システムの安定運用、学生ポータルシステムの提供など、より先進的なICT基盤の整備・ 拡充を図るとともに、情報セキュリティレベルの向上にも力を入れています。
同大学では、キャンパス内に数多くのパソコン教室を設けていますが、2012~2013年度にかけて南大沢キャンパスの合計4教室でPCの更新時期が訪れました。これらの4教室には、学生用の端末70台と教員用の端末1台が設置され、1コマの講義で70人という数多くの学生が同時に受講できる体制を整えています。また、講義がない時間帯にはパソコン教室を全面的に開放し、学生の自学自習に活用できるようにしています。
学術情報基盤センターで副センター長を務める永井正洋教授は、教室内に多くの端末を設置している理由について「ゆったりとした 雰囲気の教室を目指したいなら、端末の台数を減らせばよいでしょう。しかし、そうすると日々の講義で必要とされるコマ数が増え、パソコン教室が講義ばかりで埋まってしまいます。当大学は、学生の皆さんにパソコン教室を存分に活用してもらいたいという思いが強く、だからこそ講義のコマ数を削減できるようにPCを最大限に設置しているのです」と説明しています。
これらの4教室では、70台の学生用端末をきちんと収容できるように、古くから省スペース型のデスクトップPCが採用されています。しかし、従来のPCでは机上を占める面積がまだ大きく、作業スペースの不足や視覚的な負担の増加につながっていました。このため、今回のPC更新では、筐体サイズの最小化が大きな要件として挙げられました。
また、総合大学として幅広い専門領域を横断的に扱っている首都大学東京では、オフィス系スイートのような基本アプリケーションだけでなく、科学技術計算、データ解析や統計処理などの専門的なアプリケーションも日常的に使用されます。教室内のPCでは、これらのアプリケーションがすべてインストール・活用されることから、高負荷のアプリケーションもストレスなく動作する優れた処理性能が同時に要求されます。
同大学は、こうした省スペースと処理性能に対する要件とともに、長年の利用に耐える耐久性、さらには環境負荷の低減につながる省電力設計も満たすことを前提に仕様を提示し入札した結果、レノボの超小型デスクトップPC「ThinkCentre M92p Tiny」が採用されました。
ThinkCentre M92p Tinyは、優れたパフォーマンスを誇る第3世代インテル® Core™ i5 vPro™ プロセッサーを搭載しながら、レノボ独自の先進的な熱設計技術によって1リッターという驚異的なコンパクトボディを実現しています。これにより、同大学が求める省スペースと高性能に対する厳しいニーズに応えます。
また、パソコン教室内のPCは、1日全体で見れば数多くの学生が使い回す形となり、一般的なオフィス環境と比べると過酷な環境で使用されます。ThinkCentre M92p Tinyは、耐久性に優れた設計がとられ、製造ラインでも徹底した品質管理が行われていることから、 長年にわたって安心・安全に運用可能です。
首都大学東京では、2013年3月に3教室、2014年3月に1教室で、それぞれ71台(学生用70台、教員用1台)のThinkCentre M92pTinyが導入されています。学生が利用するデスク上には、数多くの液晶ディスプレイが隙間なく並べられていますが、PCの筐体サイズが大幅に削減された結果、作業スペースが大きく広がっています。
永井教授は、ThinkCentre M92p Tinyによる省スペース化の効果を「教員は、学生たちの顔を見ながら講義を進めたいのですが、従来のパソコン教室では、PCや液晶ディスプレイに邪魔されて学生たちの顔が見えにくいのが難点でした。今回、すべての端末をThinkCentre M92p Tinyに切り替えたことで、教室全体の圧迫感が大きく軽減され、教卓からの視認性も大きく高まっています。また、学生たちのもとを巡回する机間指導もやりやすくなりました。巡回中に学生たちの様子を観察していると、筆箱やノートなどの置き場所もしっかりと確保できているようです」と述べています。
同大学は、地球環境の未来や科学・技術の進歩に貢献していくため、環境負荷の低いエコキャンパスを推進しています。その一環として電力の削減にも取り組んでおり、今回のPC更新では環境に配慮した製品を選ぶことも大きな要件となりました。ThinkCentre M92p Tinyは、電力効率が優れたパーツの搭載とENERGY STAR®に適合した省電力設計によって、これまで使用してきたPCと比べて消費電力が大幅に削減されています。この結果、PC本体の省電力化だけでなく、空調コストの削減にもつながっています。
従来は、教員が学習者に対して知識、概念、技能を与える教育が主流でしたが、近年では複数の学習者がコミュニケーションを図りながら新たな知識や概念を作り上げていくアクティブラーニング(能動的学習)が重視される時代となっています。このような学習観の変遷に対応していくには、大学の学習環境も大きく変えていかなければなりません。
永井教授は、「大学で見られる昔ながらの講義室には数多くの長机があり、机も椅子も固定されていて動かすことはできません。1人の教員が大勢の学生に対して効率よく知識を伝達する目的には適していますが、そのような集合教育で得られる知識や技能だけでは社会の中でとても太刀打ちできない時代となっています。そこで近年では、複数の学生が集い、徹底的にディスカッションを行い、その中でともに学びあう『アクティブラーニング』のスタイルが強く求められています」と説明します。
首都大学東京は、アクティブラーニングに対応する学習環境として、学生同士が気軽にディスカッションを行えるスペースをキャンパス内にいくつか設けているほか、図書館本館にもラーニングコモンズと呼ばれるスペースを設置しています。ラーニングコモンズは、PC環境やグループ学習のための環境を充実させることで、個人学習、グループでの協働学習、プレゼンテーションなど、さまざまな形の学習スタイルに対応します。
そして、2011年9月には、アクティブラーニングに特化して設計されたTALL(TMU Active Learning Laboratory)教室を南大沢キャンパスに開室しています。TALL教室では、机と椅子が可動式になっており、講義の内容や学生たちの学習スタイルに合わせてこれらを自由に組み替えることができます。これにより、複数の学生がディスカッションを通じてさまざまな知識や技能を創り出していくクリエイティブな学習を可能にします。
既存のパソコン教室では、固定された机の上にPCが据え置かれていますが、TALL教室では、アクティブラーニングの要件を満たすために、机や椅子だけでなくPCも自由に移動できるものでなければなりません。そこで、2014年3月には、TALL教室に最適な端末として2 in 1タイプのモバイルPC「ThinkPad Helix」が15台導入されています。
ThinkPad Helixは、キーボードによる操作だけでなく、タッチやスタイラスペンによる直感的な操作にも対応し、学生や教員の自由な発想で扱えるのが大きな特徴です。また、同大学が採用したThinkPad Helixには、第3世代インテル® Core™ i5 vPro™ プロセッサーが搭載され、主に理系分野で使用される高度なアプリケーションも快適に動作します。
永井教授は、ThinkPad Helixを採用した理由について「TALL教室向けの端末として自由に持ち運べる薄型軽量のモバイルPCを視野に入れていましたが、アクティブラーニングのポテンシャルを最大限に引き出すにはタブレット型の端末が望ましいと判断しました。一方で、キーボードのない純粋なタブレット製品も検討しましたが、大学教育の中では文字を入力する機会が多く、キーボードはやはり不可欠です。このような経緯から、着脱式のキーボードを備え、用途に合わせてPCとしてもタブレットとしても使えるWindows 8搭載のThinkPad Helixを採用したのです」と語っています。
ThinkPad Helixは、徹底した省電力設計によって長時間のバッテリ駆動に対応します。また、キャンパス内に整備された無線LAN環境を組み合わせることで、電源ケーブルやLANケーブルに縛られることなく自由なスタイルで学習に取り組めます。同大学は、このようなThinkPad Helixならではの強みを活かし、TALL教室内でのアクティブラーニングをさらに強化していく予定です。
永井教授は、「実は、3年ほど前に都内の市立小学校とデジタルペンの活用に関する共同研究を行いました。各グループにデジタルペンを1本ずつ割り当て、教卓の電子黒板で情報を共有したところ、子供たちが自分たちの考え方を共有しあい、そこでポジティブな相互作用が起こることを確認しました。当大学のTALL教室でも、ThinkPad Helixを囲んでのディスカッションを通じて、同じような学習効果が得られると考えています。アクティブラーニングのポテンシャルを最大限に引き出すためにも、ThinkPad Helixを最大限に活用してさまざまなことにチャレンジしていきたいと考えています」と説明しています。
首都大学東京では、パソコン教室にThinkCentre M92p Tiny、TALL教室にThinkPad Helixがそれぞれ導入されましたが、高度なCADアプリケーションを扱うワークステーション教室ではThinkStationワークステーションも導入されています。また、自分自身のノートブックPCをまだ購入できない学生に対し、貸し出し用のPCとしてThinkPad X240が提供されています。このように、学生の学習スタイルにあわせてデスクトップPC、ワークステーション、2 in 1デバイスなどが適材適所で使い分けられています。
同大学は、おおむね4〜5年の間隔で学内のPCを更新してきましたが、これからも大学教育の新しいニーズに応えられる先進的なハードウェアをいち早く投入していく計画です。また、学外でも学べるeラーニングの拡充や、協働学習に適したクラウド型教育アプリケーションの導入など、ソフトウェア面での強化も図っていきます。
永井教授は、「私の専門分野は教育工学で、これは学習者にICTツールを与えて実際に学習させたときに、どのような変容があるかを追求する学問です。こうした日々の研究活動を通じて、アクティブラーニングにどんなツールが有効かを常に模索し、もしよいものがあれば何でも積極的に取り入れていきます。そして今後は、昔ながらの教室をいかに電子化していくかも大きな課題となってくるでしょう。レノボからは、当大学のICT活用を促進させるものとして、ThinkPad Helixに続く、何か新しいPCの形や使い方を提案してもらえることを期待しています」と、将来の展望を述べています。
2014年8月取材
首都大学東京様のご要望にお応えすると同時に、省スペースでハイパワーなマシンを学生の皆さんに利用していただきたいという思いから、パソコン教室の端末としてレノボのThinkCentre M92p Tinyを選定・提案させていただきました。そして、アクティブラーニングという新しい学びのスタイルに対応していくため、TALL教室の端末にはThinkPad Helixをご提案しています。構築・運用支援を行う立場からの感想としては、導入時の初期不良が低いことが挙げられます。これにより、構築スケジュールに影響を及ぼすことなくスムーズに構築を終えることができました。また、サービスイン後の故障率もきわめて低く、日々の運用支援業務に集中できています。これからも首都大学東京様と密に連携し、先生方や学生の皆さんのさらなる利便性向上を目指してまいります。
アルファコンピュータ株式会社 http://www.alphacp.co.jp
文教営業部 部長
相本裕一氏