コールセンターのPCをThinkCentre Tinyに統一したことで運用負荷が低下し、システム運用メンバーも従来の約半数にまで削減できています。
日本マルチメディアサービス株式会社
社長室 アシスタントマネージャー
今枝 弘樹 氏
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導入事例
超小型PC導入でオペレーターの作業スペースを最大限に確保。コールセンターの業務効率と生産性のさらなる向上に貢献。
コールセンターのPCをThinkCentre Tinyに統一したことで運用負荷が低下し、システム運用メンバーも従来の約半数にまで削減できています。
日本マルチメディアサービス株式会社
社長室 アシスタントマネージャー
今枝 弘樹 氏
日本マルチメディアサービス株式会社(以下、日本マルチメディアサービス)は、1997年12月に携帯電話向けの104電話番号案内サービスを開始して以来、このような大規模のコールセンターを24時間365日体制で運営するとともに、年間40社以上、トータルで300社以上にもおよぶ小・中規模のコールセンターを新規に立ち上げてきました。
同社のコールセンターには、オペレーターが情報の検索や記録を行うための端末として数多くのクライアントPCを設置していますが、これまでの端末は筐体サイズが大きなデスクトップPCを採用していた関係から、オペレーターの作業スペースを圧迫する原因にもなっていました。また、顧客との通話システムには、昔ながらの電話交換機と据え置き型の電話機を組み合わせていたため、PC経由で扱うデータ系システムと電話機から扱う音声系システムを連携させられなかったり、オペレーターによる受話器の上げ下げ操作が業務効率の低下を招いたりしていました。
このような中で、2011年3月に東日本大震災が発生したことを受け、コールセンターの業務継続性を十分に確保するとともに、コールセンター業務そのものの効率や生産性を高めるための取り組みもいっそう強化していくことになりました。
例えば、24時間365日体制の運営が不可欠な104電話番号案内サービスは、もともと千葉県浦安市、宮城県仙台市の2カ所で展開されていましたが、2011年8月には仙台市の拠点を耐震性能に優れた同市内の新しいテナントへと移転しています。また、東日本に業務を集中させるリスクを踏まえ、2014年3月には浦安市の拠点で行われていた業務を佐賀県佐賀市の新拠点に引き継いでいます。
日本マルチメディアサービスでは、コールセンター業務の効率や生産性を高める取り組みの一環として、PCによる電話操作に対応するIP-PBX(IP電話交換機)を導入するとともに、コールセンター業務に適した最新PCへの更新も進めているところです。
同社は、オペレーター向けのPCを選定するにあたって、さまざまなベンダーのPCを実際に購入し、現場の使い方を想定した検証作業を実施しました。ここでは、本体の設置スペースやPCとしての基本性能に加え、24時間365日体制のコールセンター業務で要求される耐久性なども実機を通じて確認しています。
また、コールセンター業務では特殊なアプリケーションが導入されることから、クセのないソフトウェア環境を持ったPCも選定の条件としています。これに対し、同社 システム本部 システム企画グループ マネージャーの小島英之氏は「当社は、PCから電話操作を行うツールをはじめ、さまざまなアプリケーションを内製しています。ベンダーによっては数多くのアプリケーションがあらかじめインストールされたPCを発売していますが、当社のアプリケーションと相性問題を引き起こすリスクが考えられます。このため、できる限りクリーンなOS環境を持ったPCを選ぶ必要があったのです」と語っています。
同社は、実機検証を通じてPCとしての基本性能、筐体サイズ、耐久性、ソフトウェア環境などを総合的に判断した結果、オペレーター向けの端末としてレノボの超小型デスクトップPC「ThinkCentre M92p Tiny」を採用しています。ThinkCentre M92p Tinyは、優れたパフォーマンスを誇る第3世代インテル® Core™ i5 プロセッサーを搭載しながらも、レノボ独自の先進的な熱設計技術によって1リッターという驚異的なコンパクトボディを実現しています。
同社 取締役 CTOの廣田則和氏は、「省スペースを重視した関係から、他社製品の候補はその多くがノートブックPCでした。このような中で、数少ないデスクトップPCの候補となったのがThinkCentre Tinyでした。販売会社の営業スタッフが、ThinkCentre Tinyの実機をビジネスバッグに直接収納して当社に訪問してきたときには、そのあまりの小ささにたいへん驚かされました」と述べています。
PCの筐体が非常に小さくて軽いことから、体力のない女性スタッフでも無理なくキッティング作業を行えました。
日本マルチメディアサービス株式会社
システム本部 システム企画グループ マネージャー
小島 英之 氏
日本マルチメディアサービスは、仙台市と浦安市のコールセンター、そして東京都内の検証環境に合計 約160台のThinkCentre TinyM92pを導入しています。2013年秋にPCが納品された後、社内でのキッティング作業とオペレーターに対するトレーニングを経て、2013年12月にサービスインを果たしています。
キッティング作業は、少数の女性スタッフによって行われましたが、ThinkCentre Tinyならではのコンパクトな筐体が作業期間の短縮にもつながっています。
小島氏は、「PCは精密機器ですから、もともとは細やかで丁寧な作業を期待し、女性スタッフにキッティング作業を依頼しました。しかし、実際に作業が始まってみたら、実はコンパクトな筐体だったからこそ、女性でも楽に扱えることが分かったのです。また、梱包時のサイズを小さくまとめられたので、現地への配送コストも削減できました」と説明しています。
仙台市と浦安市のコールセンターは、2013年12月からThinkCentre Tinyを中核とするオペレーター環境で業務を開始していますが、事業継続を意識した東西2拠点の冗長構成を目指していたことから、2014年3月をもって浦安市の旧拠点で行われていた業務を佐賀市の新拠点へと引き継いでいます。同社は、東京および福岡事業所からのアクセスの良さ、労働人口の潜在能力、行政の支援などを総合的に評価し、西日本地区の新たなコールセンターとして佐賀市を選択しています。
廣田氏は、「佐賀市でのコールセンター開設は、事業継続の強化という側面だけでなく、地域の活性化を通じて社会に貢献したいという当社の思いも込められています。このため、浦安市の拠点で業務をこなしてきた数人のコアメンバーに先導してもらいながらも、大半のオペレーターは現地から直接雇用しています」と述べています。
今回、ThinkCentre Tinyが導入された2拠点では、コールセンター内がすっきりとした景観となり、従来のコールセンターで見られていた圧迫感が大きく軽減され、オペレーターの作業スペースがさらに広がっています。
同社 社長室 アシスタントマネージャーの今枝弘樹氏は、「PC本体の小型化とともに、電話の操作もPCに集約されたことで、オペレーターの作業スペースにはPC本体が密着された液晶ディスプレイ、キーボード、マウスの3点しかありません。オペレーターの作業スペースは、多くのオフィス環境と比べると決して広くはないのですが、ThinkCentre Tinyのおかげでオペレーター自身の快適さを損なわずにすんでいます」と語ります。
日本マルチメディアサービスでは、ThinkCentre Tinyを中核とする先進的なコールセンター環境を構築したことで、業務そのものの効率や生産性もさらに向上しています。
廣田氏は、その効果を「コールセンターの業務は、1秒2秒の違いがコストに大きく響きます。今回、電話機による受話器の上げ下げを排除できたことで、通話時間の短縮と応答率の向上を達成しています。また、大半のオペレーターを現地から採用した佐賀市の拠点が実証するように、新しいスタッフが業務に慣れるまでの時間も短縮されています。このように、オペレーター1人1人の業務効率が改善されたことで、それらの積み重ねがコールセンター業務全体の利益率を高めることにもつながっています」と述べています。
さらに、オペレーター向けの端末をThinkCentre Tinyに統一したことで、端末の運用負荷も大きく軽減されています。これに対し、今枝氏は「さまざまなベンダーのPCが混在していると、各ベンダーに特有の事情がPCの日常的な運用に悪影響を及ぼします。しかし、ベンダーや機種がきちんと統一されていれば、このような問題はほとんど顕在化しません。
今回、ThinkCentre Tinyを全面的に採用したことで、これまで以上の運用管理レベルを実現しながら、システム運用メンバーを従来の約半数にまで削減できています。今後、中長期的なTCO(総所有コスト)の削減を達成できれば、そこで浮いた予算を企業の成長につながる攻めの投資に振り向けられるだろうと期待しています」と説明しています。
日本マルチメディアサービスは、これからも顧客のニーズに合わせて小・中規模のコールセンターを中心に立ち上げていきます。2014年10月には、東京都内に製品のカスタマーサポートを担うコールセンターを新設しますが、オペレーター向けの端末として引き続きThinkCentre Tinyの導入を予定しています。
小島氏は、「カスタマーサポートの場合、コールセンターに設置される端末の台数こそ少ないのですが、オペレーターの作業スペースには通常のコールセンター業務に用いられる液晶ディスプレイ、キーボード、マウスのほか、製品マニュアルや実物の商品が置かれることさえあります。既存のデスクトップPCではオペレーターの手元が手狭になりがちでしたが、ThinkCentre Tinyなら作業スペースを最大限に確保できます」と述べています。
近年、コールセンターをはじめとする顧客対応業務は、商品やサービスの多様化に伴ってさらに複雑化しています。同社は、こうした時代の変化にも柔軟に対応できるコールセンターを実現するため、今後は据え置き型のPCだけでなく、モバイルPCやタブレットなどの採用も視野に入れています。また、コールセンター以外の事務系スタッフにも、小型のデスクトップPC、ノートPC、タブレットなどを適材適所で配布していく計画です。
今枝氏は、「現在、最も注目しているのが、PCとしてもタブレットとしても利用できる2 in 1タイプのデバイスです。2 in 1デバイスならタッチ操作で直感的に扱えますので、コールセンター業務のハードルを下げられますし、オペレーターの教育期間も短縮できると考えています。また、製品系のカスタマーサポートでは、同一センター内に検証環境が設置されています。2 in 1デバイスなら、検証環境にまでオペレーターの端末を持ち運ぶことができますし、ワイヤレスヘッドセットを通じてお客様と会話しながらその場で問題解決を図れるようになります」と説明しています。
同社は、2014年内にレノボのモバイルPCを購入し、コールセンターやバックオフィスでの使い勝手を検証していく予定です。廣田氏は、「具体的な製品選定はこれからになりますが、まずはレノボが発売している2 in 1デバイスとしてThinkPad HelixやThinkPad 10を実際に購入し、どのような業務で効果を発揮できるのか、また2 in 1デバイスによって業務スタイルをどれくらい変えられるのかをチェックしていきたいと考えています。レノボ・ジャパンには、このような2 in 1デバイスのみならず、当社の業務を大きく改善してくれる魅力的なクライアント・ソリューションがあれば、随時紹介してもらえるとありがたいですね」と語っています。
2014年9月取材
進化した筺体。革新的なパフォーマンスやエネルギー効率を実現。わずか1リッターサイズの筺体モデル。