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1万5000パーツの限界性能検証が証明した「ThinkStation P3 Tiny」の真の実力

ワークステーションは大きくて当たり前─従来までの思い込みが、エントリーモデルの選定基準を固まらせてはいないか。レノボには、手のひらに収まる超小型ワークステーション「ThinkStation P3 Tiny Gen 2」があるが、事務用PCと見紛うほど小さいため、「本当に3D CADが動くのか」と疑われることも少なくない。そこで、全国の製造現場を支援する株式会社CADistの協力を得て、1万5000パーツの大規模アセンブリによる限界性能検証を実施。その結果と現場での優位性を、現場目線で報告する。


「CADはタワー型じゃないと動かせない」という固定観念

製造業や建設業における3D CADの普及により、現場で扱うデータは年々大規模化・複雑化している。工場全体の設備レイアウトの検討や配管系統のモデリングでは、数千から数万のパーツが組み合わさった「アセンブリデータ」を日常的に扱うことになる。パーツ数が1万を超えると「大規模アセンブリ」と呼ばれる領域に入り、一般的なPCではファイルを開くことすら困難になる。設計者の思考を止めることなくデータを滑らかに動かすためには、高い処理能力を持つワークステーションが必要不可欠だ。

しかし、こうした認識が、「ワークステーションはタワー型が当たり前」という固定観念と結びついてしまうと、エントリーモデルの選定において選択肢が知らず知らずのうちに狭まってしまう。大きく重く場所を取るタワー型のみを候補としてしまっていることで、本来であれば十分に選択肢となりうる製品を見落としているケースは少なくない。


手のひらサイズのP3 Tinyは現場で通用するのか?

検証に使用したThinkStation P3 Tiny Gen 2

そこで注目したいのが、レノボの超小型ワークステーション「ThinkStation P3 Tiny Gen 2」(以下、P3 Tiny)だ。本棚の隙間に収まるほどの手のひらサイズでありながら、インテル® Core Ultraプロセッサーとプロ向けdGPU(NVIDIA RTX A400/A1000)を搭載し、主要ソフトウェアベンダーからの動作保証であるISV認証も取得した、れっきとしたエンジニアリングワークステーションである。

しかし、株式会社CADist 取締役CSO/CFOの千野 貴弘氏によれば、P3 Tinyに対する現場での反応は懐疑的なものが多いという。

「お客様にP3 Tinyをご紹介しても、『事務用PCではないか』『本当に3D CADが動くのか』と、その小ささからまず性能を疑われてしまうことがほとんどです」(千野氏)

本当にP3 Tinyは、設計業務に耐えられる性能を持ち合わせていないのだろうか。そこで、CADistの全面協力のもと、実務に即したデータを用いた性能検証を実施し、その真の実力を解き明かした。

実力検証:1万5000パーツの大規模アセンブリは動くのか

まず最も気になるのが、P3 Tinyの基本性能だろう。今回はオートデスクの3D CADソフトウェア「Inventor」を使用し、実際に現場で扱われるデータに近い、約1万5000パーツから構成される工場やビルに張り巡らされている設備配管のモデルを用意して検証を行った。

3D CADの世界ではパーツ数が1万を超えると大規模アセンブリの領域に入るとされる。これは自動車のエンジンなどを構成する部品数よりも多いレベルであり、一般的な事務用PCでは、ファイルを開くことすらできないか、もしくは開けたとしても視点を動かそうとするだけでフリーズしてしまう。

約1万5000パーツから構成される「設備配管モデル」

一方、P3 Tinyで同じデータを開いてみると、数十秒で問題なく展開が完了。自動的に負荷を軽減する簡易モードでの動作はもちろんのこと、全パラメーターやプロパティ情報をメモリに読み込む「完全ロード」の状態であっても、その挙動は安定していた。

モデル全体を回転させるオービット操作や、配管が複雑に入り組んだ箇所へのズームイン・ズームアウトを繰り返しても、画面が大きくカクついたり、描画が遅れたりすることなく、設計者のマウス操作にスムーズに追従。図面ビューの作成機能を用いたテストでも、3Dモデルから2Dの図面を生成する高負荷な処理を、ソフトウェアが落ちることなく完遂した。

「P3 Tinyは手のひらサイズの筐体であるものの、1万5000パーツの大規模アセンブリでもスムーズに動かすことができます。日常の設計作業やモデリング、干渉チェック、あるいは簡単な応力解析であれば、P3 Tinyに搭載されたプロ向けGPUはしっかりと機能しており、実務に十分に応えてくれるパフォーマンスであったと考えます」と千野氏は評価する。


「デスクトップの持ち運び」がリモートワークの新定番になる可能性も?

P3 Tinyの真の価値は、その処理能力だけでなく、超小型サイズがもたらす運用面の柔軟性にある。現代の設計現場が抱える物理的な課題を解決するツールとして、これほど適した形はないだろう。

お客様先に持ち出して提案活動を行えるのもP3 Tinyならではの軽量さゆえと千野氏は言う

設計者のデスクは、PCのモニターとキーボードだけで完結するものではない。A3やA1サイズの紙図面を大きく広げ、寸法を追いながら関数電卓を叩き、手書きで修正指示を書き込むといったアナログな作業スペースが常に必要となる。その点、P3 Tinyであれば、机の片隅に置いても邪魔にならず、専用のマウントキットを用いてモニターの背面に固定してしまえば、机上スペースをほとんど占有しない。

さらに、この携帯性は設計部門に新たな運用の可能性をもたらしている。千野氏は、「当社のエンジニアがP3 Tinyを実務で使用しているため、お客様先へのデモや現場支援の際にそのまま本体を持参することがあります。実際に持ち込むと小ささに驚かれることがほとんどで、『これほど小さくても動くのか』『もっと早く知りたかった』というお声をいただくことも多くあります」と語る。デスクトップワークステーションを持ち運ぶという、これまでにない新しい働き方が現場で生まれつつあると言えよう。

350mlペットボトルよりも少し高いくらいのサイズ感

もちろん、近年増えつつあるフリーアドレス環境での利用にも有用だ。例えば、各デスクにモニターとキーボードだけを常設しておき、出社した設計者が自身のP3 Tiny本体を持参して電源とディスプレイケーブルを挿すだけで、瞬時にデュアルディスプレイ環境を構築できる。加えて、小型筐体でありながらUSB Type-A/Type-Cや有線LAN、DisplayPort、HDMIなど豊富なポートを備えているため、計測機器や外付けドライブなど複数の周辺機器もハブなしで接続可能だ。

「P3 Tinyを使い始める前は、筐体が小型になるとポートの数や種類が足りないのでは?と不安に思っていましたが、様々な種類に対応しており今では自社において必要不可欠な機種です」と千野氏も高く評価している。

このようにP3 Tinyは、従来のモバイルワークステーションでも据え置きのデスクトップでもない、『持ち運べるデスクトップ』という新たな可能性をもたらす1台になるだろう。


振動・粉塵・油をはじめとする製造現場の過酷な環境に耐える堅牢性

P3 Tinyの活躍の場は、オフィスだけにとどまらない。その小型・堅牢な筐体は、生産現場への設置にも高い適性を持つ。例えば、工場内で稼働するプレス機やベルトコンベアのすぐ横には、図面確認や機械制御のためのPCが必要となるが、常に振動が発生する環境での運用はPCにとって過酷だ。しかも設置スペースは限られており、オペレーターが油の付いた手袋のままPCを操作する場面も少なくない。こうした現場では、スペース上の理由からノートPCを設置するケースが多いが、そこには思わぬリスクが潜んでいる。

「キーボードが故障した際、ノートPCであれば本体ごと修理に出さなければならず、その間、業務が完全に停止してしまいます」(千野氏)

その点、P3 TinyはMIL-STD-810Hに準拠した耐久テストをクリアしており、激しい温度変化や落下衝撃、粉塵、継続的な振動といった複合的なストレス環境下でも安定稼働できるよう設計されている。また、本体をモニター背面などに配置し、手元には外付けキーボードとマウスだけを置く運用が可能なため、万が一キーボードが故障しても交換するだけで数分後には業務を再開でき、保守性とダウンタイムの最小化という観点からも、実現場環境への適性は高いといえるだろう。


高い冷却性能ゆえに静音性と長寿命を両立

ワークステーションにとって、性能の高さと同じくらい重要なのが「長時間、負荷をかけ続けても安定して動き続けること」である。特に小型の筐体では内部に熱がこもりやすく、温度上昇を防ぐために性能を強制的に落とす現象が発生しやすい。また、高温状態が続くことは部品の劣化を早め、製品寿命の短縮にも直結する。

しかし、P3 Tinyは、内部にぎっしりと部品が詰まった筐体でありながら、レノボが培ってきた熱設計の技術により、効率よく内部の熱を外部へ排出できる構造を持つ。

緻密に計算されつくした内部設計ゆえに排熱性能が非常に優れている

「大規模アセンブリを展開し、長時間にわたって負荷をかけ続ける検証を行っても、筐体が極端な熱を持つことはありませんでした。本体に触れても、ほんのり温かいと感じる程度です」(千野氏)

熱を持ちにくいということは、部品への負担が少なく、長期にわたって安定して使い続けられることも意味する。そして、冷却性能の高さは静音性にも直結している。

「動作音は図書館のささやき声レベルで、Web会議や電話の際にファンの回転音が邪魔になったと感じたことはありません」(千野氏)

熱と音という、作業環境に影響する要素がしっかりとコントロールされている点も、実務において見逃せないポイントだ。

まとめ:エントリーモデルの見直しがもたらす、真の投資対効果

今回の検証と現場目線での評価を通じて明らかになったのは、P3 Tinyが設計実務で存分に活躍できるワークステーションであるという事実だ。

「これまで多くの企業が、エントリークラスのワークステーションを導入・リプレイスする際、無意識のうちにタワー型マシンを選定しがちであったと思います。しかし、実際の設計作業の大部分は、このサイズのマシンで十分に対応可能なのです」(千野氏)

一方で、すべての業務をP3 Tinyでカバーできるわけではない。 「日常的なパーツのモデリング、アセンブリの組み立て、設備レイアウトの配置検討、あるいは基本的な干渉チェックや簡単な応力解析であれば、P3 Tinyのパフォーマンスで対応可能です。しかし、数十万パーツを超えるような超大規模アセンブリのモデルデータや流体解析(CFD)、点群データの処理、高画質レンダリングといった高負荷な業務を担う部門には、さらに上位の機種が望ましいです」(千野氏)

こうした高負荷タスクには、拡張性を備えたタワー型ワークステーションを配置するのが良いだろう。

「設計者や生産技術の担当者にはP3 Tinyを、解析専任者や3D CGを扱うデザイナーにはタワー型を割り当てる。こうした適材適所な機材配置が、企業全体のIT投資の最適化につながります」(千野氏)

設計現場や生産現場のPCリプレイスを検討する際には、手のひらサイズのワークステーション・P3 Tinyを、実用的な選択肢の1つとして積極的に加えてみていただくのはどうだろうか。


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