導入事例
福岡市立吉塚小学校
導入について
Society 5.0時代に求められる能力を育むためにはICTが必要
福岡市立吉塚小学校(福岡市博多区)は、福岡の中心地である博多駅から近郊の住宅街にあり、落ち着いた教育環境のもと、全459名(2020年7月1日現在)の児童が学んでいます。「自主的・主体的に考え、行動できる児童の育成」を学校教育目標に掲げ、2019年度からはICT活用を重視した教育活動にも取り組み始めました。
同校がICT活用に取り組むきっかけになったのは、2018年に福岡市教育センター研究協力事業の研究協力校に指定されたことでした。福岡市は当時、ICT環境整備が遅れており、プログラミング教育の取り組みも進んでいたわけではありませんが、同校の太田康治校長は子供たちが未来の社会で生き抜く力を育てるためにはICTやプログラミングは必須だと考え、学校での取り組みに着手したのです。ちょうどタイミング良く、地域の方のプログラミング教育への協力なども得られ、太田校長は情報収集や学校視察を精力的に行うようになります。その過程でまなびポケットとChromebookの実証事業に出会ったというのです。
「これからの時代の教育はICT活用を基盤に置くべきだと考えました。Society 5.0時代を生きる子供たちに必要な資質・能力を考えたとき、学んだことをさまざまな形でアウトプットできる能力が重要であり、小学校段階では言語能力、情報活用能力、問題発見・課題解決能力の育成に力を入れ、その学習にICTを取り入れていく必要があると考えました」(太田校長)。
太田校長はこうした考えを「吉塚NEXT2030 学びのリニューアル」という教育方針にまとめ、すべての教科においてICTを活用していく考えを示しました。また3年生から6年生までの総合的な学習の時間のテーマとして「Society5.0に生きる」を位置づけ、年35時間をプログラミング教育やICT教育の時間とし、子供たちが体系的に学べる環境を整えたのです。
まなびポケットとChromebookで、さまざまな場面のICT活用に挑戦!
吉塚小学校では2019年9月から、まなびポケットとChromebookの実証事業に取り組みました。端末はLenovo 300e Chromebookが40台配備され、5~6年生が共有で使用したといいます。
同校が最初に取り組んだのは、まなびポケットのコンテンツのひとつ、学級経営アセスメントツール「WEBQU」でした。同校では以前から紙ベースの「Q-U」を実施していましたが、マークシートの記入漏れや判別できない解答の確認作業などが教師の負担になっていました。
そこで5~6年生はLenovo 300e Chromebookで、1~4年生はパソコン教室のコンピューターを使って、全学年でWEBQUを実施。太田校長は「低学年もコンピューターに慣れる一環として取り組みましたが、スムーズに進めることができました。コンピューターを使うと、もう紙ベースのアンケートには戻れません」と、学級経営にICTを使うメリットを述べています。
同じくまなびポケットのオンライン動画教材「eboard」を活用し、5年生の算数で個別学習にも挑戦しました。授業中に、教師が教えるのではなく、子供たちが自分で動画を見ながら自律的に学習を進めることは可能なのか。今後の学び方として増えるであろう個別最適化学習を見据えて、子供たちがどれくらい自学で理解できるのかを検証したというのです。
「結果としては、“子供たちはできる”という手応えを得ることができました。eboardで学ぶ方が知識習得の時間も短く、テストを実施しても極端に点数が下がったりすることはありませんでした。自分のペースで進められる個別最適化はこれから重要になってくると思います」と語る太田校長は、今後もICTを使った個別最適化に意欲を示しています。
また、コロナ禍の休校期間中は、まなびポケットのタイムラインでメッセージを送受信できる「チャンネル機能」が非常に役立ったといいます。学校からの連絡事項を保護者に伝えたり、担任が子供たちの様子を聞いたりとコミュニケーションを取ることができました。吉塚小学校では休校措置が終了し、学校が再開してからも、5~6年生にはチャンネル機能を使って連絡をしています。授業だけでなく、学校生活の中でICTが活かされています。
“壊れたらどうしよう”の心配がない優れた堅牢性と、タブレットとしても使える柔軟性を高く評価
太田校長にはLenovo 300e Chromebookについてもお話を伺いました。学校現場ではWindows PCが普及しているため、Chromebookは触ったことがなかったと話す太田校長ですが、使っていくうちに自然に慣れたといいます。「そもそもChromebookは、そんなに機能も多くないので、慣れるのも早かったです。子供たちが使うことを考えても余計なアプリが入っておらず、シンプルで使いやすいだろうと思いました。起動が早いのも良いですね」(太田校長)。
Lenovo 300e Chromebookについては、頑丈で堅牢性が優れていることを評価いただきました。子供たちが机から落としてしまうこともあるようですが、壊れることもなく使えているそうです。また最初のうちは、ついつい端末を強く叩いて閉めてしまったりする子供たちもいましたが、特に問題は起きていません。
「落としてすぐに割れてしまうような端末だったら、教師は“壊れたらどうしよう”と使うのをためらってしまいますが、Lenovo 300e Chromebookはそうした心配なく使えるのが良いですね」と太田校長は語ってくれました。
もうひとつ、Lenovo 300e Chromebookは液晶画面を360度回転させることでタブレットとしても使えるのが良いと語ります。「5~ 6年生を見ていると、キーボード入力が苦手な子供もまだまだ多くいます。また低学年は、キーボード入力自体もむずかしいです。そうした時にLenovo 300e Chromebookはタブレットにしてタッチパネルで学習が進められるのはありがたいです」と太田校長。発達年齢や学習用途に合わせて、柔軟にお使いいただいています。
今の子供たちが本来持っている力を引き出し、学習の舞台で発揮できるように
Chromebookやまなびポケットなど、ICTを活用した学びで、子供たちはどのような変化が見られたのでしょうか。
太田校長は「子供たちが変わったというよりも、これが子供たちが本来持っていた力なのだと実感しました」と率直な感想をお話いただきました。福岡市では小学校のパソコン教室に20台しかコンピューターが整備されておらず、しかも厳しい制限が設けられていて、子供たちは自由に使えない状態でした。そこにLenovo 300e Chromebookが届いて、子供たちが教室内で必要に応じてICTを活用するようになり、抵抗なく使えている姿に驚いたというのです。
なかでも、高学年の子供たちと担任の間でやり取りされるタイムラインは、太田校長にとって興味深いようです。子供たちはどんどんキーボード入力ができるようになり、担任とのコミュニケーションもスムーズに、楽しく行えるようになっているといいます。もちろん、今の子供たちがテキストによるコミュニケーションに慣れていることも要因のひとつでしょうが、一方で学校は、子供たちのこういう一面を引き出せていなかったと太田校長は言います。
「今までICT環境が整備されていなかったので、引き出すこともむずかしかったのですが、今はICTを使うことで、ようやく子供たちの持っている力を学習の舞台で発揮できるようになりました。子供たちは日常生活でデジタルに親しんでいるわけですし、使っていないのはむしろ大人のほうですね」(太田校長)。
一方で、吉塚小学校ではLenovo 300e Chromebookの導入をきっかけに、教師たちによる新たな挑戦も生まれています。たとえば、東京にいる講師とビデオ会議サービス「Zoom」でつなぎ、まなびポケットで使える授業支援システム「schoolTakt」のオンライン研修会を実施しました。またコロナ禍の休校期間中はできることからやってみようと、新学期の担任紹介もZoomで開催。まなびポケットのチャンネル機能で、Zoomのビデオ会議参加用のURLとパスワードを保護者に送信し、新しい形の交流に挑戦しました。
その結果、なんと8割もの家庭が参加し、Google Formでアンケートを実施したところ、多くの保護者から高評価を得たといいます。「普段は直接ご意見を表現されない保護者の方も、学校に期待していることがわかりました。やってよかったと思いましたし、学校関係者が考えている以上に、保護者と子供はオンラインのやり取りに慣れています」と太田校長は話しています。
オンライン授業を通して、ICTを活用した学びの楽しさを味わう子供たちも
吉塚小学校のICTに対する取り組みは、その後、福岡市でも注目を集めています。同市の教育委員会からは、オンライン授業の検証も求められたそうです。その検証結果を踏まえて,福岡市では基礎疾患のある子供たちとのオンライン授業を実施に移すようになりました。
「オンライン授業は最初、顔を出すのが恥ずかしいなど苦手な子もいましたが、2回目には積極的に参加するようになり、顔を見せてくれるようになりました。ICTに慣れていない子供たちもやってみたら意外に楽しかったようで、オンライン授業を通してICTを使う楽しさも味わえていると思います」(太田校長)。
現在の課題については、タイピングスキルを高めることだといいます。タイピングはキーボードを使う頻度が増えれば増えるほど、子供たちも自然にできるようになっていくようですが、「タイピングができるのと、できないのでは、自分の表現できる内容が異なってくる」と太田校長は述べています。
今後はCBT形式のテストも増えることが予想されるため、学校でもタイピングスキルを伸ばす機会を作りたいようです。具体的には、3年生で習うローマ字入力を2年生の段階から遊び感覚で学べるような環境を用意したり、子供たちがタイピングに親しめるような企画を校務分掌担当者が積極的に考えるようになってきたりしたといいます。
コロナ禍の学校においては、第2波、第3波に備え、学びを継続できる環境の整備が求められています。またGIGAスクール構想も前倒しになり、1人1台時代に向けて学びをアップデートすることも必要でしょう。
太田校長はそのひとつとして、Lenovo 300e Chromebookとeboardを使った反転学習や個別最適化学習に挑戦したいと考えており、これからも子供たちが自分で学びを進められる力を育んでいきたい考えです。
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