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特集

ThinkStation完全検証

株式会社カミ・コア 代表取締役、山際東氏

株式会社カミ・コア 代表取締役、山際東氏

2015年末に登場したモバイルワークステーションThinkPad P50/P70。NVIDIA Quadroグラフィックスと最新となるSkylake世代のインテル® Xeon® プロセッサー、または第6世代 インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーを搭載した最強クラスのモバイルワークステーションであることはすでに紹介したとおり。登場から数カ月がすぎ、存分に活用されている人もみかけるようになってきた。
その中のおひとりが株式会社カミ・コアの代表取締役、山際東氏だ。BIMを専門的に手掛ける株式会社ビムアーキテクツを率いるBIMのエキスパート。BIMの活用度合いを高めることでコスト低減に加えて工期を大幅短縮したという実績を数多く持っている。

紙素材を使った内装パネル活用に特化した会社

その山際氏がこのたびスタートさせた会社が「カミ・コア」。その中の“カミ”は紙のことで、紙を使った新しい材料を用いて新しい取り組みを目指す目的でスタートした会社となる。空間設計だけでなく家具のデザインや開発まで幅広い活用まで視野に入れている。

これまでに山際氏がBIMで設計を手掛ける中、愛媛県松山市で2015年9月に竣工した結婚式場がある。設計から施工管理を行う中で、芯材に紙を使ったパネルを用い、パネルの特性を活かした内装デザインだけでなく、BIMと組み合わせることで大幅な工期短縮を実現できた。バンケット、チャペル、ロビーの内装は通常ならもっと工期がかかるところを5日の現場作業で終えることができた。決して楽な施工というわけではなく、BIMの活用も含めて念入りな前準備があったからこその結果なのだが、コストも目標に収めることができたという。
そして、カミ・コアが取り扱うキーの素材となるのは松山の現場で使った新建材パネル「紙庵(しあん)」。このパネルは紙で作られたベースの芯材に薄い木の板を組み合わせることで、見た目はしっかりとした内装パネルながら、非常に軽いパネルに仕上がっている。また、組み合わせによっては光を透過させることもでき、独特の空間演出に活用することができる。

  • 左の板が紙を芯材とした新建材パネル「紙庵」の完成形。右側の紙の芯材は複数のタイプがある

    左の板が紙を芯材とした新建材パネル「紙庵」の完成形。右側の紙の芯材は複数のタイプがある

  • 芯材は上から乗っても大丈夫な強度がある

    芯材は上から乗っても大丈夫な強度がある

  • 裏からライトを当てると光が透過し、デザインとしても利用できる

    裏からライトを当てると光が透過し、デザインとしても利用できる

何よりも軽いという特徴を持つため、単に新しい建材というだけでなく、新しい活用方法が秘められている。カミ・コアでは単に新材料を提供するだけでなく、このパネルが持つ新しい活用方法まで含めた内装のソリューションとして企画し提供することがミッションとなる。
作業期間短縮という当初のメリットを細かく見ていくと、通常の内装工事では、スケルトンの状態から内装の骨組みを作り、ボード貼り、その上にクロス貼りと3工程が必要で、複数の分野の職人が必要だった。それを、事前に工場で内装材を作り上げてしまい、しかも軽量ならばより現場での手間が減り、工期が短縮してくことになる。

現場では組み付けのためのアンカー類を仕込み、あとは設計書どおりにパネルを組み上げるだけでよい。現場で携わる職人の種類を減らした上で現場工期、コストを大幅にシュリンクすることができる。
もちろんこれを実現する大前提としてBIMによる設計が不可欠となる。内装の詳細設計まで一体で設計してしまうからこそ、事前に必要なパネルの詳細をコンピューター上で設計することができ、現場に持ち込んでも寸分違わないパネルを事前に用意することが可能になる。
ここまではBIMと新しい建材があれば実現可能だが、ここからカミ・コアの独自の展開となる。
まず、新建材パネル「紙庵」を使えば軽いことと施工性が良いため、内装を変更する必要が出てきた場合でも「組み換え」で済ますようなことも考えられる。従来は内装の変更工事といっても、そのほとんどは解体&再設置工事となり、大量に廃棄物が出るという点でも問題があった。
その問題をコンピューターでパネルのサイズや数量、デザインなどを管理することで、組み換えをしたり、違う現場と材料の融通を図ったりすることで、内装を変更した場合でも廃棄物を少なくしながらも、簡単に変更が可能になることが期待される。

  • 新建材パネル「紙庵」を使った壁の試作品を仮設置したところ

    新建材パネル「紙庵」を使った壁の試作品を仮設置したところ

  • 非常に軽量なので材料は片手で持ち上げることができる

    非常に軽量なので材料は片手で持ち上げることができる

カミ・コアが考えるレンタルサービスを軸としたビジネスモデル

カミ・コアが考えるレンタルサービスを軸としたビジネスモデル

そして、内装の変更が容易になるということは変更コストも安くなる。そうなるとそのまま使い続けた場合よりも、プラスの効果が期待できるなら内装変更をしてしまおうと判断する業種や企業が現れる。商業施設ならなおさらだ。季節ごとや必要な期間だけ内装や間取りを変更することを前提とする設計にも応用ができる。
カミ・コアでは、さらにこの仕組みを進めて、内装をレンタルで提供することまで視野に入れている。レンタルとすれば、定期的に内装を変更することがより低コストで可能になる。利用者が増えれば、部材の利用状況の平準化が進んだり、コストや選択範囲が増えたりするなど、メリットはさらに大きくなる。
つまり、これはBIMだけでなく、レンタル在庫管理などICTの分野も含め、コンピューターをフル活用することでもある。そしてこれがカミ・コアのやろうとしていることとなる。代表の山際氏によれば、こうした仕組みで受注を開始するのは間もなくとのこと。そして、山際氏の構想はまだこれだけではなく、BIMはもちろんのこと、さらにITをフル活用した新しい何かを構想しているという。

山際氏が驚いたというThinkPad P50の性能

山際氏は、紙の芯材のパネルを使い、新たな活用のシステムを作りだそうとしているが、キーになっているのはBIMをストレスなく活用できるワークステーションの存在だ。これまでデスクトップ型や、別のタイプのモバイルワークステーションを使っていたが、インテル® Xeon® プロセッサー E3-1505M v5とNVIDIA Quadro M2000Mを搭載するThinkPad P50と出会ってから仕事のスタイルに変化が現れた。
その変化とは、シームレスにモバイルで利用できるということ。持ち歩いて出先で大がかりな作業をし、3D表示させてそのままプレゼンをするようなことは、これからの検討課題だが、持ち運びできるサイズに、これまで使っていたデスクトップ型に匹敵する性能を持っていることが何よりの驚きだという。
山際氏が現在、主に使っているソフトウェアは「Autodesk Revit」、「Lumion 3D」、「Adobe Illustrator CC」など。最近はAutodesk Revitのファイルをリアルタイムでレンダリング表示する「Enscape」の活用も始めている。これらのほとんどがグラフィックスの性能が必要な非常に重いソフトウェア。
モバイルワークステーションでも電源アダプターに接続してACで使っているときは、これまでも作業が可能だったが、問題は電源アダプターを外してバッテリー駆動となったとき。ぐっと性能が落ちて使い勝手に大幅な制約が出てしまうのが常だったという。ところがThinkPad P50はバッテリー駆動に変えても作業が続けられるほどパフォーマンスに変化がない。
たとえば会議室や打ち合わせスペースで話し合いながら作業を進める場合でも非常に有効という。自席とミーティングスペースがシームレスで作業場となり、仕事が続けられる。また、複数のオフィスを移動することのある山際氏は、複数の拠点でも1台のThinkPad P50を使うことで、同じ環境で仕事が続けられるメリットを実感しているという。
また、熱設計の良さも実感している。これまで、ノート型のモバイルワークステーションが高いフォーマンスを発揮しているときは、冷却ファンが激しい騒音を発していた。ところがThinkPad P50はいたって静か。しかも、熱くなりすぎていることもない。レンダリング作業でも安定してパワーを発揮しているという。

  • ThinkPad P50

    15型スタンダードモバイル・ワークステーション

    使用モデルのスペック
    • インテル Xeonプロセッサー E3-1505M v5(2.8-3.7GHz/4コア)

    • 16GB(8GB×2)DDR4 2133MHz ECCメモリー

    • 512GB M.2 SATA SSDストレージ

    • NVIDIA Quadro M2000Mグラフィックス

    • 15.6フルHDディスプレイ(1980×1020)

    • Windows 7 Pro 64bit(Windows 10 DG)

高性能液晶モニター、EIZO FlexScanと併用する

モバイルワークステーションは、本体の液晶で作業をすることもあるが、デスクで作業をする際は、外部液晶モニターを併用することが多い。山際氏も本体と外部モニターを併用、作業効率をアップさせている。 併用するモニターはEIZOのFlexScan EV2455。24.1型IPS液晶で解像度は1920×1200ドット。表面はノングレアで、4種類のインターフェースを持ち、多彩なPC等との接続をサポートしている。スペックとして書いてしまえばそこまでの特徴しかないが、山際氏によればFlexScan EV2455にはそれ以上の魅力があるという。
似たような液晶ディスプレイは世の中に多くあり、仕事場では他のモニターもあるが、FlexScan EV2455は液晶サイズや解像度だけでない違いを感じているとのこと。それは、ひとことで言えば正確で疲れない表示性能。疲れ軽減、ブルーカット機能などカタログスペックではさまざまな文字が並ぶが、実際に使ってみるとたいへん見やすく、必要な図や線が確認しやすく、正確な表示ができていると感じる点だという。
また、表示エリアの縦横比が16:10、つまり1920×1200ドットという点も評価している。通常ハイビジョンなど映像コンテンツに合わせた16:9(1920×1080ドット)のモニターが多いが、それでは作業によって縦方向の表示範囲が足りなく感じる。最近のアプリケーションのインターフェースは「リボン」のデザインが採用され、上下に表示スペースを必要とする傾向があるからだ。そこで、FlexScan EV2455のような1920×1200ドットになることで縦方向の狭さが解消。わずかのようでも違いは大きく、効率的に作業できるのだという。
そのほか、高さ調節範囲が非常に大きく、他よりもしっかりとした構造の付属スタンドや、狭いフレーム幅により、液晶モニターの余計な部分が見えないすっきりさも気に入っているとしている。

  • EIZO FlexScan EV2455

    24.1型 IPS フレームレスモニター

    スペック
    • 24.1型ワイド(1920x1200)

    • IPS(ノングレア)

    • 300cd/m2、5ms

    • DVI-D, DP, HDMI, D-Sub15ピン

そして、外部モニターを使う際に便利なオプションとして、「ThinkPad Workstationドック」を使っている。上にThinkPad P50を載せてカチっとはめるだけの簡単ドッキングで、外部モニター出力はもとより、電源、LAN、キーボードやマウスなどのUSB機器を一発で接続出来てしまう。
ドックに接続できるモニターも1台ではない。山際氏は2台接続して複数の大画面モニターで広い作業画面が使えることも指摘、ThinkPad WorkstationドックはThinkPad P50を活用する上で非常にメリットの大きなオプションだと評価している。

  • FlexScan EV2455(ホワイト)とThinkPad P50でマルチモニター利用中

    FlexScan EV2455(ホワイト)とThinkPad P50でマルチモニター利用中

  • 27.0型FlexScan EV2750(ホワイト)も合わせて利用している

    27.0型FlexScan EV2750(ホワイト)も合わせて利用している

  • ThinkPad Workstation ドックでThinkPad P50の着脱は一瞬で済む。電源も各種インターフェースもすべて同時に接続まで完了する

    ThinkPad Workstation ドックでThinkPad P50の着脱は一瞬で済む。電源も各種インターフェースもすべて同時に接続まで完了する

3Dソフトを存分に活用できるモバイルワークステーション

ThinkPad P50は本体が持つ非常に高い処理能力と、それを持ち運んでも継続して使用できるバッテリー、さらにThinkPad Workstationドックを介して外部モニターを接続し、オフィスで活用するなど、多彩な活用ができるモバイルワークステーション。
デスクトップタイプも検討しているが、持ち運びや外部作業を可能にすると、さらに作業の幅が広がるなら、ThinkPad P50やThinkPad P70とドック、外部モニターという組み合わせもぜひ検討してみてほしい。

協力:EIZO株式会社

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